ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

桜庭一樹/「本に埋もれて暮らしたい」/東京創元社刊

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桜庭一樹さんの「本に埋もれて暮らしたい」。

作家サクラバカズキは最近、ますます忙しい。ドナドナ(みたい)になったり、暴走族(風)に
なったり、白い魔物(あいふぉん)に翻弄されたり……。それでも嵐が来ようが、風が吹こうが、
毎日毎日、書店に出かけていき、本を読まないと一日が終らない。どんなに忙しくったって、
やっぱり本がなくては生きてゆけない! のだ。『私の男』赤朽葉家の伝説』『GOSICK』の
著者にして、稀代の読書魔が、縦横無尽に読んで過ごした一年間!(紹介文抜粋)。


桜庭さんの読書日記シリーズ第四弾。今回も、まぁ、読むわ、読むわ。結婚されても、相変わらず
全く生活スタイルが変わらないところがすごいと思いますね。今回も、これでもか!ってくらい
いろんな本が紹介されています。東京創元社のK島さんや、F嬢や、角川書店のK子女史なんかとの
マニアックな会話がとっても楽しそうで、読んでるこちらもニヤニヤしちゃいました。その中に
入って行けるほどの読書知識が欲しいなぁ。桜庭さんの読書日記を読んでいると、世の中って、
こんなに知らない作家がいっぱいいるのか!と愕然とさせられますね。そして、自分がいかに
狭い読書世界の中にいるのか思い知らされてしまいます。桜庭さんのすごいところは、どんな
ジャンルの本に対しても、誰からかお薦めされたら躊躇なく読んでしまえるところだと思います。
あらゆる本に対する垣根がない、というか。私だったら、「あー、そのジャンルは苦手だな」と
思ったら、まず他人から薦められても手に取らないですもん。そこで、一歩踏み込んで読んで
みたら、きっと更なる読書の世界が広がるんでしょうけれどね。やっぱり、苦手なジャンルだと
尻込みしちゃいますもの。でも、最近の月イチ海外モノ企画のおかけで、いつもは海外作品
なんて全滅なのに、読んでる本があって嬉しかったです(アデアの『閉じた本』と、マクロイの
『幽霊の2/3』)。今後の月イチ企画に参考になりそうな海外作品もわんさとあって、この
本買っとけばそれで一年悩まずに済むんじゃない?って思っちゃったくらいです(笑)。
気になる本もたくさんあったのだけど、わざわざメモしたりしてないからすぐ忘れちゃいそうだな^^;
とりあえず『トワイライト』かな(笑)。桜庭さんがそこまではまるとは。私の友人(翻訳モノに
強く、原文でも読めちゃう人)も、話題になる大分前に面白いと言ってましたけども。海外版の
ラノベ、とも言っていたな。私みたいに翻訳の文章が苦手でも、読みやすそうかなぁ。でも、
全9巻・・・。しかし、桜庭さんは、それを一月で三回読んだっていうのだから、やっぱり
とんでもない人だ。だって、仕事もしてて、他の本も山ほど読んでて、その中で9巻×3回だよ!?
一体、いつ寝てるんだろう・・・と思うのですが、毎回エッセイの最後では本読みながら寝ちゃう
オチになってるんで、しっかり睡眠は取ってるみたいなんですよねぇ。謎だ・・・。桜庭さんの
読書への情熱には毎回感心を通り越して呆気に取られてしまいます。でも、普段の言動が可愛
らしいので、その読書知識の凄さとか、直木賞作家ってことをつい忘れちゃいそうになるんです
よね(苦笑)。ただ、K島さん(だったと思うけど、違ってたらスミマセン)が言うように、
新人編集者にとっては、桜庭さんって『怖い』存在になるでしょうね。だって、そこらの
ベテラン編集者よりも、よっぽど本の知識があるんですもん。若手の編集者なんて、その知識
の前では恐れをなしてひれ伏すしかなくなりそうじゃないですか。怖い、怖い。

それにしても、新作の『ばらばら死体の夜』、めちゃくちゃ面白そうなんですけど。早く
本にまとまらないかな。スゴイタイトルだけど(笑)。久々にミステリっぽいし、古書店
舞台ってところもツボにはまりそうだ。

あと本文中に出て来た作品で読みたいと思ったのは、佐藤正午さんの『身の上話』(これは
以前から気になってはいたのだけど、ミステリだとは思わなかったのでなんとなくスルーして
いました)とか、山田風太郎さんの『妖異金瓶梅とか。マクロイの話題の時には、そういえば
『幽霊~』読んだ時に『ひとりで歩く女』もお薦めされていたことを思いだして読みたく
なったし、津原泰水さんの『バレエ・メカニック』も気になってたんだったと思い出しました。

桜庭さんて、時代物が苦手らしいのに、今回は結構時代ものが多く取り上げられていたような
気がします。

ところで、ようやく買われた本棚にほくほくしている桜庭さんに微笑ましい気持ちにはなった
のですが、ご自慢の壁本棚』、私はついつい壁本・棚』(正しくは、壁・本棚なのですが^^;)、
に思えてしまい、壁本ばかりが並んでいる棚を想像してしまったのでした・・・(おいおい)。

とにかく、今回も大いに読書欲をそそられるエッセイでした。桜庭さんのように読むのは到底
無理だけど、読みたい本は山のようにあるから、私も頑張って読まなくちゃ。
ラストのK島さんとの会話の中で、桜庭さんの『ひとつのジャンルを、がーっと読んで詳しく
なるんじゃなくて、全体のバランスを取りながら、小説という文化全般をうっすらとよく
わかりたい』という言葉が印象に残りました。なるほど、だからあんなにいろんなジャンルを
抵抗なく読めるんだなぁ、と。見習いたいけど、私にはちょっと無理そうだ(苦笑)。
桜庭さんのような読書エキスパートになるには、まだまだまだまだ、修行が足りないのです。