ミステリ読書録

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三上延/「ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~」/メディアワークス文庫刊

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三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~」。

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージ
に合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を
営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大低ではない。人に対してと真逆に、
本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも、彼女は
古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。これは“古書と秘密”
の物語(紹介文抜粋)。


メディアワークス文庫を読むのは、有川浩さんのシアター!シリーズ以外では初めて。
気になってる作品は結構あるんだけど、なかなか文庫って図書館入らないので^^;この本は、
あちこちのブログで紹介されていて、設定だけでもすごく好みそうだったので、絶対読みたい
な~と思っていたところ、めでたく図書館入荷。人気があるみたいで、かなり待たされましたが、
ようやく読むことが出来ました。

うん、面白かった!鎌倉の古書店の美女店主と、ひょんなことからその店でバイトすることに
なった青年による古書にまつわるミステリー。子供の頃のトラウマのせいで、本が読めない
体質になってしまった五浦と、とんでもなく人見知りで内気だけど、古書の知識だけは人並み
はずれている栞子さん、二人のキャラと関係が良かったですね。五浦が持ち込む少ない情報を
聞いただけで、本に関する謎を鮮やかに解き明かして行く栞子さんの安楽椅子探偵っぷりが
素敵でした。ただ、曰くありげな彼女の秘密が解き明かされる最終話は、あまり好きな話では
なかったですが。特に、栞子さんが五浦を利用して、事件を解決させようとしたところには
ガッカリ。純粋に古書を愛しているが故なのもわかるのですが・・・。でも、それがきっかけで、
栞子さん自身にも変化があったのだから、結果的には良かったのかな。このあと、二人の関係が
どうなるのかも気になります。今月2が出る予定とのことで、読むのがとても楽しみ。本来の
古書店に戻って来た栞子さんの活躍も楽しみですし、五浦がバイトを復活させるのか、それとも
他の仕事をしつつ古書店に通って来るのか、その辺りのその後のエピソードも気になります。

本書の中で取り上げられた古書は、一冊も読んだことがありませんでした。二話目の小山清
も良く知らないし、三話目のヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』に至っては、名前さえ
聞いたことがない(っていうか、名前言うだけで舌噛みそうです^^;)。って、多分、専門に
勉強してる人しか知らないんじゃないかとも思うけど^^;でも、こういうジャンルの本の知識も
しっかり持っている栞子さんは改めてすごいなぁと思いました。

本のことを話しだすと止まらない栞子さんにはすごく共感出来ました。本の話に熱中しすぎて
相手に引かれてしまうっていうのもよくわかるなぁ^^;私も、栞子さんほどマニアックな話
ではないけど、本の話しだすと止まらなくなっちゃうところがあるんで^^;多分、そういう時の
私って、周りからするとかなりウザイ人だと思います^^;まぁ、ブログを始めてからは、上には
上がいるってことも、よーくわかりましたけどね(苦笑)。


栞子さんのキャラは、ちょっと文学少女シリーズの遠子先輩を思い出しました(といっても、
胸に関しては対照的ですが(笑))。
本にまつわるお話というのは、本好きにとってはほんとに読んでて楽しいですね。ラノベ並に
軽くさくさく読めますが、古書に関する蘊蓄もちょこちょこと挟まれていて、古書ミステリー
としてはとても楽しめる一冊でした。作者はなかなかにしっかりした古書知識をお持ちの方
なのではないかと思いました。

本好きな方ならきっと楽しめる作品じゃないかな。第二作がすぐに出るみたいなので、
イムリーに読めて良かった。出たらすぐに予約しようっと。