ミステリ読書録

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クレオ・コイル/「名探偵のコーヒーのいれ方 コクと深みの名推理1」/ランダムハウス講談社刊

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クレオ・コイル「名探偵のコーヒーのいれ方 コクと深みの迷推理1(小川敏子訳)」。

完璧なコーヒーをいれたいなら、絶対に手を抜いてはだめ。そして事件の謎に立ち向かう時も―。
NYの老舗コーヒーハウスを切り盛りするクレアがその朝、店で発見したのは、芳ばしい香りでなく
階段から転落した店員の姿。警察は事故と判断したが、不審に思ったクレアは捜査に乗り出し…!?
エスプレッソに焼きたてのお菓子。こだわりの味を守る老舗店を舞台に、焙煎したての満ち足りた
香りが漂うミステリシリーズ第1弾(紹介文抜粋)。


今年最後の今月の一冊。なんとか、最後の最後もUPすることが出来て嬉しいです。今回は、書架で
見かけて、純粋に私がタイトルと表紙の可愛らしさに惹かれて選んだ一冊。というか、これの
続巻もたくさん置いてあったのですが、全部にコーヒー関係の言葉が入ったタイトルになってる
んですよ。カプチーノだとかなんちゃらラテだとか。コーヒー好きにとっては、なかなか心
踊るタイトルではないですか。しかも表紙の猫ちゃんのイラストがどの巻もとってもキュート
なんですもの。これ、ジャケ買いしちゃう人もかなり多いんじゃないでしょうか。

私は、自他ともに認めるコーヒー派。外出先で飲み物を頼む時はほぼ95%くらいはコーヒー関係
を頼みます(その時々でホットだったりアイスだったり、カフェオレだったりカプチーノだったり
といろいろですが)。といっても、味にそれほど拘りはなくて、家では完全にインスタントだし、
ファーストフード店のコーヒーでも全然構わない。ただ、コーヒーであればそれでOK。
私の職場の人はものすごいコーヒーに対して拘りがあって、スタバのコーヒーなんてまずくて
飲めないと豪語しちゃう人なんですけど・・・^^;めんどくさいので、コーヒーの話題に
なると、適当にうんうん頷いてやり過ごします(苦笑)。

とと、コーヒー談義はそれくらいにして。本題に入らねば^^;
本書の主人公は、老舗コーヒーハウスのやり手女性マネージャー、クレア。コーヒーには並々
ならぬ拘りを持った女性です。彼女の淹れるコーヒーは本当に美味しそう。本書の読みどころと
いえば、ミステリよりも、どちらかといえばコーヒーに関する薀蓄なんじゃないかと思えるくらい、
コーヒーに関する描写は細かい。ローストしたコーヒー豆のいい香りが、行間から漂ってくるような
感じがしました。ひとくちにコーヒーといっても、本当にいろんな種類があるので、奥が深いんだ
なーと思わされました。作中にコーヒーのことを『世界で一番飲まれている飲み物』と話すくだりが
出て来るんですが(多分、水以外でってことでしょう)、確かにそうかもしれないなーと思いました。
一瞬、ビールとどっちが多いかな?と思ったりもしたんですが、お酒は年齢的に飲めない世代も
いるし、コース料理の最後には大抵コーヒーがつくし、コーヒーと紅茶を比べた場合も、コーヒー
の割合の方がやっぱり多いだろうな、とも思いますしね。まぁ、実際統計取った訳じゃないで
しょうから、本当にそうなのかはわかりませんけど^^;

そんなクレアが、朝お店に出勤して、お店で働く女性店員が階段から転落して倒れているのを
発見するところから事件は始まります。警察は事故として片付けようとしますが、クレアは不審な
何かを嗅ぎとり、事故ではなく誰かによる故意の出来事なのではないかと考え、独自で事件の
真相を調べ始めることにする・・・というのが大筋。まぁ、はっきり云ってミステリとしては
ゆるいです。途中、クレアの元夫や事件を調べるクィン警部補とのちょっとした恋愛絡みなんかも
出て来て、危うくミステリであることを忘れそうになったくらいです^^;事件の関係者への
聞き込みも、素人だから仕方ないとはいえ、なんとも危機感のないゆるいものばかり。ちょっと
途中は中だるみする感じがあったのは否めなかったです。ただ、要所要所で、芳しいコーヒー
を淹れる動作の描写や、それと共に供されるスイーツの美味しそうな描写が出て来るので、
そこは読んでて楽しかったです。

女性店員を突き落とした犯人はちょっと意外だったかな。人間性を疑う犯行動機にはムカムカ
しました。ただ、突き落とされた店員も半分は自業自得だったのかな、とも思いましたけどね。

主人公の一人称なので、海外ものにしては読みやすかったのも良かったです。軽めのコージー
ミステリって感じでしょうか。
クレアの愛猫ジャヴァちゃんがもっと活躍したら良かったな。ミステリと猫は非常に相性が
良いからね。
続きもたくさん出てるみたいなので、月一企画で困ったら手を出すのもアリかな(笑)。

お気に入りのコーヒーと共に読みたいシリーズですね。コーヒー党の方にはお薦めかな。