ミステリ読書録

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蘇部健一/「古い腕時計 きのう逢えたら・・・」/徳間書店刊

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蘇部健一さんの「古い腕時計 きのう逢えたら・・・」。

想いを寄せる女性が、目の前でトラックに撥ねられた。だが、不思議な時計の力で前日の世界に
もどった男は、事故現場へと走る。(「片想いの結末」)
チャンスに弱い四番打者は、病気の子供との約束を守るため、もう一度打席に立つ。(「四番打者
は逆転ホームランを打ったか?」)
売れない漫才師は、余命三ヶ月の相方を連れて、敗者復活戦の舞台へと向かう。(「最後の舞台」)
号泣必死の時間SFファンタジー!(紹介文抜粋)


ソブケン最新作。今回も切ない系にしてタイムスリップもの。よっぽどこの題材好きなんですか
ねぇ・・・。不思議な腕時計をつけると、その人物が後悔している出来事が起きる直前の
時間に戻って、一度だけ人生をやり直すことが出来る。この不思議な腕時計を手にした7人の
人物それぞれの物語が収められています。一応連作短編形式で、最後にちょっとした仕掛けが
あって、消化不良に思っていた部分が少しすっきりした感じになってます。腑に落ちない終わり方を
した作品にも、最後にフォローがあるので、読後感は悪くはないです。最初の方の二作なんかは、
『結局人生をもう一度やり直しても悪い結末になる』っていうオチで終わってるように見えるの
ですが、ちゃんと最後まで読むとそうでもないことがわかります。

ただ、紹介文に『号泣必至の時間SFファンタジー!』って文句が入っているのですが・・・
ご、号泣??この作品で号泣出来る人なんているのかしら・・・。確かに、それぞれ『ちょっと
いい話』ではあるんですけど・・・号泣って言われるとちょっと?のような^^;
一冊通して、温かい気持ちになれる優しいお話ではあると思いますけどね。



以下、ネタバレあり。未読の方はご注意ください。











七話目の『運命の予感』のラストに出て来た両親のことを語る男性って、一話目の中丸祐樹
ってことでいいんですかね。で、話し相手の女性は、猫の飼い主。彼女が語る『あの子』=
轢かれそうになった子猫ってことでしょうか。
時計は6つしかないのに、なんで七話あるのかなーと思ったんですが、一話目と七話目の
時計が同じものである(祐樹が父から譲り受けたもの)からってことですよね。最初、いまひとつ
ピンとこなくて、何度か読み返してしまいました(バカ)。













まぁ、ソブケンファンは、ソブケンには多くを望まないので(笑)、これはこれでまぁ、いいや
って感じで読みましたけどね(苦笑)。一作づつ読んでる限りでは、なんてことないお話
だったりするんですが(^^;)、通して読むと結構良く出来てることがわかりました。
ちょっとわかりづらかったですけどね^^;;

ソブケンらしいといえば、とてもソブケンらしい作品でありました。
でも、やっぱり私はソブケンにはバカミス書いてて欲しいなぁって思うんですよね。
六とん5はまだかな。