絶筆して八年になるかつてのベストセラー作家・咲良怜花は、編集者の熱心な復活のアプローチに
半生を語り始めた。明かされたのは、怜花がまだOL「後藤和子」だった時に始まる、木之内徹との
長きに渡る恋愛の変遷だった。和子は作家としてデビューし、地位を固めてゆくが、背後には木之内
との恋愛から生じる屈託が常にあった。年月は過ぎ、咲良怜花は絶筆の契機となる「ある出来事」に
直面する──。恋愛の愉楽と地獄を描ききった、貫井徳郎のあらたな傑作!(紹介文抜粋)
半生を語り始めた。明かされたのは、怜花がまだOL「後藤和子」だった時に始まる、木之内徹との
長きに渡る恋愛の変遷だった。和子は作家としてデビューし、地位を固めてゆくが、背後には木之内
との恋愛から生じる屈託が常にあった。年月は過ぎ、咲良怜花は絶筆の契機となる「ある出来事」に
直面する──。恋愛の愉楽と地獄を描ききった、貫井徳郎のあらたな傑作!(紹介文抜粋)
貫井さんの新作。560ページの大作です。貫井さんの作品はページ数多くてもぐいぐい
読まされてしまうのであっという間に読了しちゃうのが定石だったんですが、今回はとにかく
読む時間が取れなくて、読んでも読んでも終わらない地獄にはまってしまいました・・・。
また、ページ数多い割に、ほとんどが主人公の内面描写なので、会話文が少なく、行間が
ぎっしり埋まってるのもやたらに時間がかかった要因かも^^;
読まされてしまうのであっという間に読了しちゃうのが定石だったんですが、今回はとにかく
読む時間が取れなくて、読んでも読んでも終わらない地獄にはまってしまいました・・・。
また、ページ数多い割に、ほとんどが主人公の内面描写なので、会話文が少なく、行間が
ぎっしり埋まってるのもやたらに時間がかかった要因かも^^;
で、内容はというと、一言で言えば、断筆した女流作家の自叙伝。それをほぼ500ページに
亘って書き尽くしただけの作品。貫井さんだから、少しはミステリー要素が入っているかと
思いましたが、それも全くなし。なぜ一人の作家が生まれて、消えて行ったか、その壮絶な
半生を描いています。
まぁ、面白かったといえば、面白かったんですけど、主人公に共感出来るところがほとんど
ないので、読んでいてあまり気持ちのいい作品ではなかったですね。顔にコンプレックスが
あって、好きな男性の為に綺麗になりたいって気持ちは理解出来ますけど、その当の好きな
男が私からしてみれば全然魅力的でないので、なんでこんな男にここまでのめり込んじゃう
のかなぁ、とちょっと納得いかない気持ちでした。いや、恋ってそういうものだってことも
わかるんですけどね。でも、すぐにほいほい二股かけるような男、それも一度や二度じゃなく、
病気のように自分以外の女と浮気する男なんて、どこがいいんだろう、と思っちゃうんですよねぇ、
読んでて。それで、自分の手が届かない所に行ってしまったことで創作活動始めて、向こうから
見限られた筈なのに、小説家として認められ始めたらまた連絡してきて、よりを戻そうとする
ような男、ほんと最低としか思えないんですが。それでも、主人公はどんな時でも頑なにその
男に執着し続ける。自分が小説家として大成し始めて、周りからちやほやされても、それでも
他の女と結婚した男にしがみついて生きる。まぁ、主人公和子の良いところは、整形して顔が
綺麗になって周りからちやほやされるようになっても、傲慢な性格にならず、自分の容姿や
能力を冷静な目で見ているところだと思いますが。でも、自分の感情のままに、自分に好意を
寄せる男に対して、一度は思わせぶりな態度を取って相手に期待させておきながら、結局最後は
愛する木乃内から離れられないことを再認識して、振り回しただけで振ってしまう身勝手な所は
ムカムカしました。
亘って書き尽くしただけの作品。貫井さんだから、少しはミステリー要素が入っているかと
思いましたが、それも全くなし。なぜ一人の作家が生まれて、消えて行ったか、その壮絶な
半生を描いています。
まぁ、面白かったといえば、面白かったんですけど、主人公に共感出来るところがほとんど
ないので、読んでいてあまり気持ちのいい作品ではなかったですね。顔にコンプレックスが
あって、好きな男性の為に綺麗になりたいって気持ちは理解出来ますけど、その当の好きな
男が私からしてみれば全然魅力的でないので、なんでこんな男にここまでのめり込んじゃう
のかなぁ、とちょっと納得いかない気持ちでした。いや、恋ってそういうものだってことも
わかるんですけどね。でも、すぐにほいほい二股かけるような男、それも一度や二度じゃなく、
病気のように自分以外の女と浮気する男なんて、どこがいいんだろう、と思っちゃうんですよねぇ、
読んでて。それで、自分の手が届かない所に行ってしまったことで創作活動始めて、向こうから
見限られた筈なのに、小説家として認められ始めたらまた連絡してきて、よりを戻そうとする
ような男、ほんと最低としか思えないんですが。それでも、主人公はどんな時でも頑なにその
男に執着し続ける。自分が小説家として大成し始めて、周りからちやほやされても、それでも
他の女と結婚した男にしがみついて生きる。まぁ、主人公和子の良いところは、整形して顔が
綺麗になって周りからちやほやされるようになっても、傲慢な性格にならず、自分の容姿や
能力を冷静な目で見ているところだと思いますが。でも、自分の感情のままに、自分に好意を
寄せる男に対して、一度は思わせぶりな態度を取って相手に期待させておきながら、結局最後は
愛する木乃内から離れられないことを再認識して、振り回しただけで振ってしまう身勝手な所は
ムカムカしました。
今までの貫井さんの作品とはちょっと一線を画すような作品でした。ただ、読み終えて、
『・・・だから?』って思っちゃったんですよね^^;確かに、貫井さんご自身が、作家
咲良怜花になり代わって書いたかのような、行間から怜花の情念がにじみ出してくるような
作品ではあったので、傑作には間違いないとは思うのですが。出来れば、一人の女の半生を
描いて、その先に何か見えてくるものが欲しかったな、と。エピローグのあっけなさも、
ちょっと拍子抜けしたところがありましたし。そんな結末?と、今まで500ページ以上も
長々と女の独白に付き合って来た挙句が、それなのか、と脱力してしまいました。せめて
ミステリー要素があったらなぁ、とも思うし。文春から出てるし、直木賞狙いなのかな、これも。
作中に出て来た怜花の文学賞総ナメのくだりは、ご自身の作家人生に対する皮肉か願望だったり
するのかなー、とちょっと穿った見方をしてしまいました。貫井さんだって、十分いろんな文学賞
獲られているのですけどね。直木賞候補にもなってますしねぇ(私は、『乱反射』で獲って
欲しかったけれど)。作中の怜花が、あるきっかけで作風が変わって作家として一皮剥けるくだりが
あるのですが、貫井さんも、本書で新境地を開いて一皮剥けたいと思ったのかな、とか思って
しまいました(余計なお世話ですかね^^;)。
『・・・だから?』って思っちゃったんですよね^^;確かに、貫井さんご自身が、作家
咲良怜花になり代わって書いたかのような、行間から怜花の情念がにじみ出してくるような
作品ではあったので、傑作には間違いないとは思うのですが。出来れば、一人の女の半生を
描いて、その先に何か見えてくるものが欲しかったな、と。エピローグのあっけなさも、
ちょっと拍子抜けしたところがありましたし。そんな結末?と、今まで500ページ以上も
長々と女の独白に付き合って来た挙句が、それなのか、と脱力してしまいました。せめて
ミステリー要素があったらなぁ、とも思うし。文春から出てるし、直木賞狙いなのかな、これも。
作中に出て来た怜花の文学賞総ナメのくだりは、ご自身の作家人生に対する皮肉か願望だったり
するのかなー、とちょっと穿った見方をしてしまいました。貫井さんだって、十分いろんな文学賞
獲られているのですけどね。直木賞候補にもなってますしねぇ(私は、『乱反射』で獲って
欲しかったけれど)。作中の怜花が、あるきっかけで作風が変わって作家として一皮剥けるくだりが
あるのですが、貫井さんも、本書で新境地を開いて一皮剥けたいと思ったのかな、とか思って
しまいました(余計なお世話ですかね^^;)。
ただ、不実な男を追いかける女の半生、として見ると、昭和時代の話なだけに、ちょっと
ステロタイプで展開がありきたりだったかなーと思わなくもなかったです。陳腐な恋愛模様
というかねぇ。私自身が、恋愛小説があんまり得意じゃないからそう思っちゃったのかもしれない
ですけどね。
ステロタイプで展開がありきたりだったかなーと思わなくもなかったです。陳腐な恋愛模様
というかねぇ。私自身が、恋愛小説があんまり得意じゃないからそう思っちゃったのかもしれない
ですけどね。