ミステリ読書録

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東野圭吾/「禁断の魔術 ガリレオ8」/文藝春秋刊

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東野圭吾さんの「禁断の魔術 ガリレオ8」。

姉を見殺しにされ、天涯孤独となった青年が企てた計画。愛弟子に対し、湯川が取った驚愕の行動
とは──。ガリレオ短篇の最高傑作(紹介文抜粋)。


前作のひと月後に刊行されたガリレオ最新作。前作は雑誌掲載をまとめたものでしたが、
こっちは書きおろし短編なのだとか。ファンにとっては嬉しい限りです。ガリレオの短編は
しばらくもう書かれないのかな?サイトを観ると、東野さんは前作で短編は終わりのつもり
だったのだとか。そう言いつつ本書が出たのだから、アイデアが湧いたら、きっとまた新たな
短編を書いて下さいますよね(そう信じたい)。

今回もどの作品も安定して楽しめたのですが、なんといっても最後の表題作が読みどころの一つ
でしょう。湯川先生の意外な行動に驚かされました。トリック的にガリレオ短篇の最高傑作』
かどうかはともかく、湯川先生を取りまく人間ドラマの面では非常に読ませる展開の一作でした。


以下、各作品の感想。

第一章『透視す(みとおす)』
不可思議な透視能力も、トリックがわかると『なーんだ』って感じですね。被害者のモモンガ好き
がああいう風に効いてくるとは予想出来なかったです。なんでいきなりモモンガなのかなぁ、と
首を傾げていたので^^;
それにしても、草薙刑事がああいうお店に頻繁に行っているっていうのがちょっとショックでした^^;
もうちょっと硬派だと思っていたのにー(><)。

第二章『曲球る(まがる)』
冷えた夫婦のお話なのかなぁと思って読んでいたので、ラストは温かい気持ちになりました。
奥さんの気持ちに旦那がもうちょっと早く気付いていたら・・・と思うとやりきれません。
でも、柳沢選手はまだまだ現役でいられそうですね。湯川先生の協力もありますからね^^

第三章『念波る(おくる)』
双子のテレパシーって実際ありそうですよね。でも、そこをしっかり論理的に説明がつけられる
所がこのシリーズならでは。説明されると、これまた『なーんだ』っていうからくりでしたが^^;
説明がつかないラストの不思議に戸惑う湯川先生を見て、嬉しげな草薙刑事が笑えました(笑)。

第四章『猛射つ(うつ)』
弟子の為とはいえ、湯川先生があそこまでやるとは驚きました。普段はクールな湯川先生ですが、
なんだかんだでお人好しというか、困った人を見捨てておけない性格なんですよね。ラストは
はらはらしましたが、湯川先生の誠意が伝わって良かったです。もしそうじゃなかったとしたら
・・・私は、内海刑事の予想の方が正しい気がしますね。湯川先生なら、躊躇なく行動に移して
いたのかもしれません。
このラストだと、しばらくガリレオシリーズはお休みなんですかね。それとも、今度は舞台を
海外に移すのかしら。海外での湯川先生の活躍も、ちょっと読んでみたい気はしますけれどね。


それにしても、相変わらずタイトル読めませんね^^;特に『念波る』『おくる』は絶対
読めないでしょう^^;本書の発売前に、サイトで今回の四作の読み方クイズが出されてましたけど、
全問正解者っていたんですかねぇ。


これで二冊分の短篇がたまった訳で・・・来年またドラマ化ですかねー。月九で。『猛射つ』は
前後編で引っ張れそうですしね(笑)。映画公開に合せてドラマ化、なんて流れになりそうだ。