ミステリ読書録

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湊かなえ/「白ゆき姫殺人事件」/集英社刊

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湊かなえさんの「白ゆき姫殺人事件」。

疑惑の女性の周囲をとりまく、「噂話」の嵐
「あの事件の犯人、隣の課の城野さんらしいよ…」美女OLが惨殺された不可解な事件を巡り、
一人の女に疑惑の目が集まった。噂が噂を増幅する。果たして彼女は残忍な魔女なのか、それとも
──(紹介文抜粋)。


久しぶりの湊さん。予約に乗り遅れた為、100何番目かの予約待ちをした末、ようやっと
回って来ました。確かこれの前だか後だかのやつは結局予約スルーしちゃったんだよね。
それにしても、精力的に書かれてますよねぇ。これだけコンスタントに新作が出せるというのも、
ある意味すごいと思います。『告白』読んだ時は一発屋になるかな~と思ったりもしたけど、
確実に職業作家として実力をつけているのを感じますね(って、何で上から目線^^;)。
最近は作風を変えて切ない系のお話を書かれることも多くなってますが、本書は湊さんの
本領発揮!とばかりのイヤミスでありました。女ってコワイわぁ、というのが実感出来る
お話となっているのではないでしょうか。

事件は、ある化粧品会社の美人OLが雑木林の中でめった刺しにされた上、火をつけられて
まる焦げの死体になって発見されるところから始まります。事件を追う記者が、関係者から
話を聞いて回ると、一人の女が容疑者として浮かび上がります。事件直後から、女は失踪して
行方がわからなくなっています。聞き込みを続ければ続ける程、その女が犯人であることが確実
であるように思われて行きますが、果たして、女は本当に犯人なのか――というのが大筋。湊さん
お得意の独白形式で構成されているので、とても読みやすい。巻末には、事件を追う記者による
週刊誌記事がそのままの形で載っていたり、ツイッターのようなネットのつぶやきサイトで記者が
事件について仲間と好き勝手にやり取りした様子がサイトのページごと載っていたりと、なかなか
凝った作りになっています。ただ、こうした資料がミステリとして劇的な効果をもたらしているかと
いうと・・・そうでもないんですけどね^^;最後に掲載されている新聞記事で一応事件の真犯人と
動機らしきものは載せられているのですけども。正直、動機に関してはちょっと首を傾げる部分も
ありました。いくら恨みがあっても、あそこまで惨殺した理由もよくわからないですし。まぁ、
つもりつもった恨みと、多分に美人に対するやっかみみたいなものもあったんでしょうけれど。


今回もまぁ、どの人物にも全く共感も好感も覚えなかったですね。他人事だと思って、みんな
自分勝手な思い込みで好きなように被害者や容疑者のことを喋りまくる。特別悪意がある訳でも
ないところが厄介。私がもし、何かの事件の容疑者になったとして、周りに聞き込みとかされたら、
同じように適当なこと言われるのかなぁ・・・そして、何もしてないのに、気がついたら犯人に
仕立てあげられている・・・こ、怖いーーー(><)。
今はネットがあるから、そうした噂が広がるのも早い。ネット上の噂の無責任さにも辟易
しました。平気でネットで実名晒しちゃうもんねぇ。

犯人に関しては、うーん、やっぱりそう来たかーって感じでしたかね。意外性があるといえば
あるんですけど、ミステリ読み慣れてる人間だと、そこが一番疑ってかかるところじゃないかと。
その人物のインタビューに引っかかるところもありましたしね。かといって、はっきり『こいつ
犯人!』って思ってた訳でもなかったんですけどね(おい)。

そういえば、城野美姫の同級生、江藤慎吾が高校時代に自転車で怪我した時のブレーキ故障って、
本当は誰の仕業だったんですかねぇ。城野自身、彼の自転車がどんな形や色をしているかさえ
知らなかったと言っているから、彼女ではあり得ない。同じサッカー部員辺りから妬まれていた
とかなのかしら。
美姫を庇った発言をしてるようで、その実かなり彼女を貶めている江藤の発言にも好感は持て
なかったですね。ま、江藤に限らず、彼女の周りの人間ほとんどの発言が好感持てなかった
ですけどね^^;唯一、夕子だけが美姫の理解者だったのかな。大学の女子学生アパートの
友だちも、美姫を庇うそぶりを見せながらも、結構好き勝手喋ってましたからねぇ。
収録されているコミュニティサイト『マンマロー』で発言していたのが誰なのか、登場人物と
照らし合わせながら読むと面白いですね。最初は全然わからなかったんですが^^;ネットで
いろいろネタバレ記事読みながら読み返してみると、これは誰でこれは誰、みたいなのが
わかって来ますね。まぁ、人物が特定できない書き込みも多いですけど。


うーん、今回も黒かったですね~^^;
無責任な噂の怖さを思い知らされるような一作でした。ミステリとして傑作かと言われると
ちょっと困るけれども、普通に読み物としては面白かったです。イヤミス女王の面目躍如
といったところでしょうか。

ちなみに、これから読まれる方は、巻末の参考資料を先に読むのは絶対やめて下さいね。
犯人わかっちゃいますから^^;;資料だと思って、読んでる途中にチラ見する人絶対いそう
だと思うんだけどな。ちょっと不親切かなーと思いました。