ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

三浦しをん/「神去なあなあ夜話」/徳間書店刊

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三浦しをんさんの「神去なあなあ夜話」。

100年先を見据えて作業をしている、神去村の林業の現場。そこへ放り込まれた平野勇気も、
村で暮らして1年が過ぎ、20歳になった。山仕事にも慣れ、憧れの直紀さんとドライブに出かけ
たりもするようになったけれど……。
お仕事小説の名手が描く林業エンタメ第二弾! 秘密がいっぱいの神去村へ、ようこそ!
(紹介文抜粋)


世間からかなり遅れましたが、ようやっと読めました。予約に乗り遅れたせいで、かーなり
待たされましたねぇ。最近予約に乗り遅れまくりだなぁ^^;

さてさて、久しぶりに再会した神去村のメンバーたち、今回もみんな元気でしたね~。
主人公の勇気は前作の最初の頃とは別人のように神去村に馴染んで良い青年になっているし、
ヨキは相変わらずゴーイングマイウェイに生きているし(笑)、繁ばあちゃんはどこまでも
可愛いハイカラ元気おばあちゃんだし、山太は天使か!ってくらいにすべての言動が愛らしいし。
前作と変わらない世界がそこにあって、何だか嬉しくなりました。ノコにも癒されたなー。

今回は短篇形式。一話づつ勇気の神去村での体験記が語られます。日記というよりは、勇気が
見えない読者に向けて一人密かにパソコンに向かって書いているという形なんですが、なかなか
どうして、素人とは思えない楽しい文章を書くではないですか。繁ばあちゃんに書いているのが
バレて、彼女のリクエストを取り入れて時代劇風の文章を書いてみるなんて試みもしたりして
(すぐに限界が来てもとの文章に戻ったけど(笑))。繁ばあちゃんが続きを読みたがるのも
うなずけますね(笑)。彼女が、勇気を装って勝手に文章書いてたのにはウケました(笑)。
ほんと、可愛いおばあちゃんだな~。勇気が変えた、新しいパスワードに気付く日もそう遠くは
ない気がするなぁ(苦笑)。

意外だったのは、村の過去の事件。同じ日に大量の人が死んでいるって状況、八つ墓村か!?
と思っちゃったんですが、思った以上に重い出来事でしたね・・・。村の多くの人が、そんな
重い過去を抱えて生きていたんですね・・・。あの脳天気なヨキでさえ。みんなそういう過去を
乗り越えて生きているんだなぁ、神去村の村人たちの明るさは、そういったものを乗り越えた
強さでもあるんだろうな、と思わされました。

ただ、何といっても、今回一番の感心ごとは、勇気と直紀の恋。いやー、一途な勇気の想いに
なかなか応えてくれない直紀さんの本心がわからなくて、じれったいこと、じれったいこと。
ここまでストレートに想いをぶつけてるのに、はぐらかされるって可哀想なやつだなーと
哀れになりました^^;だって、ひと目だけでも会いたいが為に、40分の山道を歩いて
行くんだからね。
でも、最終話のちょっとスネてる直紀さんは可愛かったな。うーん、こういう所に勇気は
ほだされちゃうんだろうなぁ、と思ったりして(笑)。村のみんなが勇気の恋を応援して
あげてるところが、ほのぼのとしてて良かったな。ま、自分が勇気の立場だったら、村中の
関心を浴びながらの恋愛なんて、絶対嫌だと思うけど・・・^^;;
そういえば、ヨキとみきさんの馴れ初め話も強烈だったな。みきさんの一途さは、勇気以上
かもしれないですねぇ。でも、出会うべくして出会ったふたり、って感じが素敵ですよね。

最終話では、とりあえず落ち着くところに落ち着いた感じで、良かったですね。この先が
知りたい!と思うのは、読者のわがままでしょうかね。
いやいや、まだまだ神去村の珍事はたくさんあるはず!
ぜひ、また勇気には神去村体験日記を再開してもらいたいですね。
今回も、とっても楽しく読み終えられました。