ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

青柳碧人「赤ずきん、アラビアンナイトで死体と出会う。」(双葉社)

赤ずきんシリーズ第三弾。今回は、赤ずきんアラビアンナイトの世界に迷い込み、

様々な殺人事件と出会います。この赤ずきんの物語を語っているのは、ペルシャ

王シャハリアールの妻・シェヘラザード。シャハリアール王は、結婚した女性に

何度も裏切られたことから女性不信に陥り、新しい妻を迎えては、その日の夜に

首を斬って殺してしまう。そんなことを繰り返しているうちに、若い女

シェヘラザードだけになり、ついに彼女がシャハリアールに嫁ぐ日がやって来る。

聡明な彼女は、首を斬られないよう、夜毎に面白い話を聞かせ、続きが気になる

ところで話を止めてしまうことで、翌日まで命を長らえさせる作戦に出ることに。

彼女が話したのは、不可解な殺人事件を持ち前の頭脳で次々と解決してしまう、

赤いずきんの少女の話だった・・・。

今回も、特殊な世界ならではの小道具をうまく使って、殺人事件の謎を解いて

行くところに唸らされました。元ネタにこんな設定出て来るのかな?と首を

傾げるところもちょこちょこありましたけど・・・元ネタをそれほど知らないので、

そういうものだと思って読むしかないんですけどもね。千夜一夜物語は、むかーし

に一巻だけ読んだ覚えがあるんだけどね。アラビアンナイトの世界観と赤ずきん

というなんともミスマッチな設定が、なかなかうまくハマっていて面白かったな。

青柳さん、次から次へとよくこんなにヘンテコな設定を考えつくよなぁ(褒めて

ますw)。今回、赤ずきんの協力者になるのが、ランプの精ならぬ指輪の精って

ところも、ちょっと小物感というか、胡散臭さがあってかえって良かった気が

しましたね。ランプだと持ち歩くのも大変だけど、指輪だったら持ち運びやすい

しね。

 

では、各作品の感想を。

『アラジンと魔法のアリバイ』

トリックとしては、これが一番おもしろかったなぁ。熟成庫で大臣を溺死させた

方法には目が点。でも、ひとつひとつの状況証拠を考えると、なるほど・・・!

と言わざるを得なかった。魔法の世界ならではのトリックですよねぇ。挿絵で

見ると、状況がすんなり理解出来ました。ただ、この絵で全部トリックがわかって

しまうと思うので、これから読む人はパラ読み禁止でお願いしたい。

 

『アリババと首吊り盗賊』

石化の泉の水をとてもうまくトリックに反映させてますね。そういえば、前には

若返りの泉の水を上手く使ったトリックがありましたっけ。いろんな泉の水が

あるもんだ・・・(苦笑)。しかし、犯人の動機にはずっこけた。えー・・・。

 

『シンドバッドと三つ子の事件』

三つ子の殺人の謎を赤ずきんがすっきりと解明したかに思えましたが・・・それらは

すべてが間違っていました。これは今までにない展開でしたね。船室の鍵に

関しては、私も、あの特異体質で開けられたんじゃないの?って単純に思って

しまったので、そりゃ、そんなに簡単なわけないよな、と思いました。赤ずきん

物語をシェヘラザードから毎晩のように聞くことで、少しづつシャハリアール王の

態度が軟化して来て喜んでいたのですが・・・突然の態度の豹変にガッカリでした。

 

『アラビアの夜にミステリは尽きず』

三つ子の事件の謎解きに失敗した赤ずきん。事件の真相が明らかにされます。

そして、シェヘラザードが赤ずきんの物語を語っていた理由も。シェヘラザードが

王に開けさせた小箱の中に入っていたものにびっくりでした。今までの伏線も

しっかり回収されて、すっきりしました。三つ子の殺人の真相もこちらの方が

説得力ありましたね。

今回もさすがの完成度だと思いました。赤ずきんのキャラ大好きなので、これからも

続いて欲しいな。

 

 

なんとか今年中にアップ出来て良かった~^^;

ベスト記事に入れたいと思ったので・・・ただ、記事自体は年明けに

なっちゃいそうです。まだ全然考えてないや^^;ミステリ1位だけは

決まってるけども。

というわけで、これが今年最後の記事になりそうです。

12月は風邪をこじらせて二週間くらい体調不良が続いていたので、

なんだか気がついたらひと月終わってたなぁ。年末らしいことは何もしていない

・・・年賀状さえまだ書いていないし(焦)。

今年は年明けから暗いニュースが続いて、気持ちも塞がり気味だったし、

体調崩すことも多かったから、来年こそは明るく健康な一年にしたいなぁと

思いますね。

一年、駄文まみれのしょうもない読書記事にお付き合いくださり、

ありがとうございました。

来年も不定期更新になりそうですが、懲りずにお付き合いくださると嬉しいです。

みなさまの健康と御多幸をお祈りして、締めくくりたいと思います。

どうぞ、良いお年をお迎えくださいませ。