ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

中村航「デビクロくんの恋と魔法」/飴村行「路地裏のヒミコ」

どうもみなさまこんばんは。
今日は初夏のような陽気でしたねー。昼間外にいたら暑いくらいでした^^;
でも、夜になるとやっぱり大分涼しくなって来ますね。
一日の中でも寒暖の差が激しい季節なので、みなさまご自愛下さいね。


今回の読了本はまた二冊。見事に180度タイプの違う作品となりました。
この落差は一体・・・。まぁ、自分らしいな、とも思いますけれど(苦笑)。


では、一冊づつご紹介~。


中村航「デビクロくんの恋と魔法」(小学館
初めまして、の作家さん。お名前と作品は存じ上げてましたけれど、どうも自分好みでない
雰囲気がぷんぷん漂っていて、食指が動かずにいました。
でも、本書は新刊時に書店で見かけて、タイトルが気になってパラパラと中を見てみたら、
なんとなく面白そうな雰囲気。気になっていたところ、先日目出度く開架で見かけて
借りてみました。
読み終わってから知ったのですが、近々映画化されるそうで。その割にもう開架に
置いてあったのが不思議なのですが^^;映画公開が近くなったらまた予約が増える
のかもしれませんね。

んでもって、率直な感想はですね、超ドストレートな恋愛小説でした。恋愛小説っていう
より、もうまさに中高生向け恋愛少女マンガの世界って感じでしたね。ここまでベタな恋愛
小説読んだのは久しぶりかも。小説で読む程の内容かと言われるとちょっと答えに窮するところは
確かにある。ただ、少女マンガ大好き人間としては、こういう王道でベタな恋愛にはかなり
キュンキュンしちゃう方なんで、意外と楽しめちゃいました(笑)。
デビクロくんのキャラがどうにも他人に思えなかったせいかもしれないですが(笑)。
ただ、デビクロくん自体をもう少し活躍させて欲しかったという気はする。デビクロ出現で彼が
やることが、デビクロ通信のチラシ(?)を手当たり次第に貼りまくるだけ、ってのが何とも。
それで結局、君は一体何がしたいんだい?とツッコミたくなりました^^;デビクロ通信の
内容も、いまいち心に響かなかったんだよなぁ。絵は可愛らしかったですけどね。
何といっても、杏奈視点のパートを読むのが切なかったですね~・・・。なんともはや、
今どきこんな健気な女の子が存在するのかい!?と言いたくなる程に、光に対して献身的。
それに全く気付かない光に腹が立つやら、もどかしいやら。こんなかわいい女の子が身近に
いるのに、何で他の女に一目惚れするんじゃ、このボケ!と言いたくなりました(笑)。
終盤の展開は、それこそ少女マンガそのもの。超ご都合主義的展開ですが、まぁ、杏奈が幸せ
ならそれですべてよし。光のアッサリすぎる心変わりにちょっと拍子抜けしたところはありました
けれど。ソヨンへの気持ちは何だったんだ^^;
ただ、デビクロ通信1号の内容には驚かされました。すべての発端がそこにあったんですねぇ。
おしるこキャンディの為だったとは~!

映画では光を嵐の相葉君がやるのだそう。気が弱いけど心優しい光にピッタリの配役ですね。
先に知ってたら、間違いなく光=相葉君で読んでいただろうなぁ。映画まで観るつもりは
全くないけれど、優しくて心温まる作品になるのではないかな。
他の作品も読んでみたいと思ったかというと正直微妙ですが(一作でもうお腹いっぱい^^;)、
疲れている時にはこういう作品がいいのかも。ベタ甘で可愛らしい一作でした。


飴村行「路地裏のヒミコ」
ベタ甘小説とは対極にある飴村作品。最近新作出ないなぁと寂しく思っていたところだったので、
図書館の新刊情報に本書が載っていたのを見つけた時はとても嬉しかったです。
今回はどんな下衆な作品が待っているのかなぁ・・・ワクワク(←期待するものが何かおかしい)。
期待に胸を膨らませて読みました。
二作の中編が収められています。一作目は『水銀のエンゼル』。
読み始めた時、正直、飴村さんらしくない!?とちょっぴりガッカリしました。なんか、ふつう?
いやでも、なんかがおかしい気もするし!
絶対このまま終わらないだろう、と更に読み進め終盤・・・キタキタキターーーー!!!
って感じでした(意味不明)。やっぱり、飴村小説が普通に終わる訳ありません。みなものキャラ
は絶対何かあるだろうと思ってたんですよ。ちょこちょこ伏線ありましたしね。しかし、あそこまで
キチ○イキャラだとは・・・(絶句)。とんでもない女でしたね・・・。怖い、怖すぎる。
ただまぁ、主人公の下衆っぷりも酷かったんで。これは因果応報、自分が蒔いた種ってやつでしょう。
全く同情は出来なかったですね(容赦のない感想)。
ミステリとしては、表題作よりもこちらの方が面白かったかな。ラストの畳み掛けるような怒涛の
展開には目が点に。そこまでの展開があまりにも陳腐だっただけに、余計に凄まじさが際立つように
感じました。この辺りの構成の巧さはさすが。読ませますね。

二作目は表題作の『路地裏のヒミコ』
こちらは、ミステリというよりはホラーよりの作品ですかね。途中、円山失踪の謎の部分で
ミステリ的な展開になるかと思ってちょっと期待したんですけど、あっさり謎が明かされて
しまって拍子抜け。茂夫と大輝のアホっぽい会話なんかは飴村さんのユーモアが出ていて
面白かったのですが、ストーリーはラストでカオス的展開になって、これまた目が点状態でした^^;
この滅茶苦茶さ加減が好きなんですけどね。ただ、円山の『円環性宇宙論の抜粋文章は
ちょっと読むのが面倒だったかな。
大輝の水玉ワンピースのくだりにはあっと言わされました。こういう仕掛けは、まぁ、この手の
ホラー小説にはありがちではあるんですけどね。

二作ともそれぞれに面白かったんですが、やっぱり粘膜シリーズと比べちゃうと大人しい印象
は否めませんね。ちょっとやっぱり食い足りない感じ。表紙に豚がいるんで、へもやんみたいなの
期待しちゃったら全然だったし(何を期待しているのか^^;)。
飴村さんならもっと痛くてエグくて鬼畜な作品書ける筈!!とか思っちゃう私って一体・・・。
また粘膜シリーズ書いて欲しいなぁ。あの、ねとねとしたねっちゃりした粘膜世界に浸りたい
・・・(病気か^^;)。
次回作に期待します。





ほんとに二作の落差激しすぎ^^:ド健全小説とド不健全小説(笑)。
それぞれに楽しめましたけどもね。