はい、どうもこんばんは~。
桜もすっかり葉桜ですねぇ。みなさん、お花見されました?
私は、ちょうどお花見に行こうと言っていた日がまさかの大雨&突風の日で、
相方が運転する車の中から桜並木を眺めた後、近くにあるコメダでシロノワールを
食べてお茶しただけで終わりました・・・。
まぁ、桜散る桜並木を通るのもまた風情があってよかったですけどね。
桜もすっかり葉桜ですねぇ。みなさん、お花見されました?
私は、ちょうどお花見に行こうと言っていた日がまさかの大雨&突風の日で、
相方が運転する車の中から桜並木を眺めた後、近くにあるコメダでシロノワールを
食べてお茶しただけで終わりました・・・。
まぁ、桜散る桜並木を通るのもまた風情があってよかったですけどね。
読了本は二冊。今回は初めましての作家さん二連発。
全くタイプの違う作品二作となりました。
全くタイプの違う作品二作となりました。
では、一冊づつ感想をば。
桜木紫乃「LOVELESS(ラブレス)」(新潮社)
言わずと知れた、直木賞受賞作家さん。本当は受賞作の『ホテルローヤル』の方が読みたい
ところなのですが、予約数がとんでもないことになっているので、とりあえず開架に
置いてあったこちらの方から。とはいえ、実は直木賞獲る前から本書はずっと読んで
みたいと思っていた一冊でした。というのも、確か『文学賞メッタ斬り!』で、高く
評価されていて、ずっと心に引っかかっていた作品なんですよね。いつか読みたいと思って
いたので、今回読めてよかったです。
言わずと知れた、直木賞受賞作家さん。本当は受賞作の『ホテルローヤル』の方が読みたい
ところなのですが、予約数がとんでもないことになっているので、とりあえず開架に
置いてあったこちらの方から。とはいえ、実は直木賞獲る前から本書はずっと読んで
みたいと思っていた一冊でした。というのも、確か『文学賞メッタ斬り!』で、高く
評価されていて、ずっと心に引っかかっていた作品なんですよね。いつか読みたいと思って
いたので、今回読めてよかったです。
で、内容はというと、波瀾万丈に生きた女性の一生を描いた長編小説。三世代に亘る
女性たちが出て来るので、大河小説とも言えるのかしら。桜庭さんの『赤朽葉家』みたいな
感じ?ま、内容は全く被ってないですけど(苦笑)。
中心となって出て来るのは、百合江と里実という二人の姉妹。時代は昭和二十年代から
始まります。二人の姉妹は、家庭が貧しかったが故に、全く違った子供時代を送らざるを
得なくなります。妹の里実は幼い頃に里子に出され、家族とは一人別の家庭で育った時期が
あるし、姉の百合江は中学を卒業と同時に進学も夢だったバスガイドも諦め、奉公に出されます。
貧しい時代には、そういうことが当たり前に行われていたのでしょうね・・・。今では
考えられない貧しい暮らしぶりには、読んでいて顔をしかめたくなることもしばしば。
また、父親がどうしようもない男で。働きもせずにお酒ばかり飲んで、酔っては暴れて。
典型的なDV男。この父親の言動の救いのなさには、何度も腸が煮えくり返る思いをさせられ
ました。里実の結婚式で、百合江が一生懸命父親に粗相をさせないように健気に気を配っている
ところが哀れだったなぁ。娘にそんな気を遣わせる父親って・・・。ほんと、子供は親を選べない
というけれど、百合江も里実も可哀想でした。
しかし、なんといっても、百合江の波瀾万丈な人生が凄まじかった。奉公先を飛び出して
旅芸人の一座に仲間入りして全国放浪のその日暮らし。事情があって一座解散の後は、
東京に出て、仲間のギター弾きと共に飲み屋街で流しの歌手として細々と食いつなぐ。
ギター弾きとの子供を身籠ると、子が生まれると同時に男が逃亡。シングルマザーとして
ひっそりと暮らしている中、役場の職員に見初められ、結婚するも、その男がまた
とんでもないハズレ夫で、莫大な借金を抱えている。借金を返済する為、百合江が温泉宿で
働かされる羽目になり・・・と、とにかく、次から次へと不幸が襲いかかるんです。そりゃもう、
なんで、彼女ばっかり!?と言いたくなるくらい、悲惨な目に遭いまくる。ただ、百合江の
すごいところは、そうやって悲惨な目に遭っても、さして悲観することなく、素直に運命を
受け入れるところ。ジタバタしないで、いつでもしっかり前を見据えて生きて行くんです。
弱々しそうな性格かと思いきや、相当に強かというか。めげない彼女の生き方には、素直に
感心させられました。娘の綾子がいなくなった時だけは、人が違ったように動揺して狂った
ようになりましたけど・・・だから余計に百合江の綾子への愛の深さに胸が痛んだのだけれど。
嫌な人間もたくさん出て来るのだけれど、父親同様、いやそれ以上に義母と夫には嫌悪感
しか覚えなかったです。世の中にこんな嫌な人間がいるのか、と思うくらい、彼らの言動は
悪意に満ちていました。百合江がただただ、可哀想でした。綾子が一体どうなったのか、
最後まで気をもんだのだけれど、最悪の事態になっていた訳でなくてほっとしました。
妹の里実は里実で山あり谷ありの人生ではあったのですが、やっぱり百合江のそれが凄まじ
すぎて、印象は薄いかな。より強かなのは里実の方かもしれないですがね。
女性たちが出て来るので、大河小説とも言えるのかしら。桜庭さんの『赤朽葉家』みたいな
感じ?ま、内容は全く被ってないですけど(苦笑)。
中心となって出て来るのは、百合江と里実という二人の姉妹。時代は昭和二十年代から
始まります。二人の姉妹は、家庭が貧しかったが故に、全く違った子供時代を送らざるを
得なくなります。妹の里実は幼い頃に里子に出され、家族とは一人別の家庭で育った時期が
あるし、姉の百合江は中学を卒業と同時に進学も夢だったバスガイドも諦め、奉公に出されます。
貧しい時代には、そういうことが当たり前に行われていたのでしょうね・・・。今では
考えられない貧しい暮らしぶりには、読んでいて顔をしかめたくなることもしばしば。
また、父親がどうしようもない男で。働きもせずにお酒ばかり飲んで、酔っては暴れて。
典型的なDV男。この父親の言動の救いのなさには、何度も腸が煮えくり返る思いをさせられ
ました。里実の結婚式で、百合江が一生懸命父親に粗相をさせないように健気に気を配っている
ところが哀れだったなぁ。娘にそんな気を遣わせる父親って・・・。ほんと、子供は親を選べない
というけれど、百合江も里実も可哀想でした。
しかし、なんといっても、百合江の波瀾万丈な人生が凄まじかった。奉公先を飛び出して
旅芸人の一座に仲間入りして全国放浪のその日暮らし。事情があって一座解散の後は、
東京に出て、仲間のギター弾きと共に飲み屋街で流しの歌手として細々と食いつなぐ。
ギター弾きとの子供を身籠ると、子が生まれると同時に男が逃亡。シングルマザーとして
ひっそりと暮らしている中、役場の職員に見初められ、結婚するも、その男がまた
とんでもないハズレ夫で、莫大な借金を抱えている。借金を返済する為、百合江が温泉宿で
働かされる羽目になり・・・と、とにかく、次から次へと不幸が襲いかかるんです。そりゃもう、
なんで、彼女ばっかり!?と言いたくなるくらい、悲惨な目に遭いまくる。ただ、百合江の
すごいところは、そうやって悲惨な目に遭っても、さして悲観することなく、素直に運命を
受け入れるところ。ジタバタしないで、いつでもしっかり前を見据えて生きて行くんです。
弱々しそうな性格かと思いきや、相当に強かというか。めげない彼女の生き方には、素直に
感心させられました。娘の綾子がいなくなった時だけは、人が違ったように動揺して狂った
ようになりましたけど・・・だから余計に百合江の綾子への愛の深さに胸が痛んだのだけれど。
嫌な人間もたくさん出て来るのだけれど、父親同様、いやそれ以上に義母と夫には嫌悪感
しか覚えなかったです。世の中にこんな嫌な人間がいるのか、と思うくらい、彼らの言動は
悪意に満ちていました。百合江がただただ、可哀想でした。綾子が一体どうなったのか、
最後まで気をもんだのだけれど、最悪の事態になっていた訳でなくてほっとしました。
妹の里実は里実で山あり谷ありの人生ではあったのですが、やっぱり百合江のそれが凄まじ
すぎて、印象は薄いかな。より強かなのは里実の方かもしれないですがね。
とにかく、百合江の人生に一喜一憂、ものすごい吸引力で物語が進んで行きました。文章は
ところどころわかりづらいところもあるし、キャラも百合江と里実の娘たちがどっちが
どっちかわからなくなっちゃったりして、もう少しそれぞれの書き分けがはっきりしていると
良かったかな、と思えるところなんかもありました。
それでも、面白い小説を読んだ、という満足感は十分得られました。百合江の最後の姿を
思うと、彼女の人生って何だったんだろう、と思わなくもないけれど、綾子をこの世に生み
出したってだけでも、彼女の人生に意味はあったし、幸せだったんじゃないのかな。
最後の最後、百合江の元に来てくれたのが『彼』で良かったのだと思う。自分勝手過ぎ!と
ムカっとしたところもあるけれど。百合江にとっては、良かったと思う。でも、どうやって
その場所の情報を得たのか謎でしたが。
ところどころわかりづらいところもあるし、キャラも百合江と里実の娘たちがどっちが
どっちかわからなくなっちゃったりして、もう少しそれぞれの書き分けがはっきりしていると
良かったかな、と思えるところなんかもありました。
それでも、面白い小説を読んだ、という満足感は十分得られました。百合江の最後の姿を
思うと、彼女の人生って何だったんだろう、と思わなくもないけれど、綾子をこの世に生み
出したってだけでも、彼女の人生に意味はあったし、幸せだったんじゃないのかな。
最後の最後、百合江の元に来てくれたのが『彼』で良かったのだと思う。自分勝手過ぎ!と
ムカっとしたところもあるけれど。百合江にとっては、良かったと思う。でも、どうやって
その場所の情報を得たのか謎でしたが。
うん。面白かった。桜木さん、他の作品も読んでみたくなりました。
十市社「ゴースト≠ノイズ(リダクション)」(東京創元社)
久しぶりのミステリ・フロンティアシリーズ。新刊として書店で並んでいる時、帯で誰だったか
好きな作家(多分綾辻さんかな?)が絶賛したようなことが書いてあって、読みたくなりました。
なかなか良かったです。ただ、どうも全体的に中だるみする感じがあるというか、文章が冗長
というか、途中ちょっと読んでてだらける感じがあったのが残念だったかな。もうちょっと
行間がすっきりしていると読みやすくなるのでは。文章表現なんかは光るものもあると思うので、
この辺りは書き慣れると変わって来るのかも。初期の道尾さんもそんな感じありましたからね。
クラスの中でどこにも行き場のない孤独な少年の諦観や、やるせなさを含んだ内面描写なんかは
非常にリアルで共感出来ました。
キャラ設定は、綾辻さんの『Another』とか、三雲岳斗さんの『少女ノイズ』を彷彿とさせる感じ。
相沢沙呼さんのサンドリヨンシリーズなんかとも通じるものがあるかな。まぁ、端的にいうと、
私好みってことです(笑)。
クラスから幽霊扱いされてる主人公が、クールな女子高生と友だちになり、クラスメートに
隠れて行動を共にするようになる。彼にも彼女にも、誰にも言えない秘密があって・・・と
いう感じの青春学園ミステリー。主人公が幽霊扱いされている、というところがこの作品
最大のキモ。彼が本当に幽霊なのかそうでないのか、二転三転するところは読ませるなーと
感心しました。
最初、連続動物虐待死事件がミステリーの核になるのだと思っていたので、その真相が
あっさり明かされた時は拍子抜けしました。ただ、終盤ではきちんとミステリーとしての
仕掛けがいくつも用意されているので、しっかり騙されてしまいました。説明が中途半端で若干
わかりにくいところもありましたけど。ま、敢えてこういう書き方してるんだろうな、とは
思ったんですけども。
いろいろ消化不良な部分もなくはないのだけど、主人公の存在自体の謎や、ラストの火事の
真相や結末など、素直に驚かされたところも多いので、トータルでは面白かったです。
一部の評論家やミステリ好きの人にはかなり評価されている作品らしいですね。個人的には
そこまで絶賛する程でもないかなーって感じだったんですけど^^;作者の仕掛けには確かに
騙されたんですが、トリック自体はどこぞで見かけたような二番煎じ的なものに近かったので・・・。
それにしても、一居士架(いちこじかける)に玖波高町(くばたかまち)。主役どちらも変わった
名前ですよねぇ・・・。高町って女の子の名前か!?とツッコミたくなりましたよ。ってか、
最初、玖波高町でひとつの苗字かと思っちゃいました(苦笑)。
ちなみに、作者の名前は「とおちのやしろ」と読むそう。こっちも変わってますね。
高町の今後がちょっと心配ですが、前を向いて生きて行って欲しいと思います。
架と再会出来ると良いのだけれど・・・。
青春ミステリの新たな書き手として、今後が楽しみですね。次回作も期待したいです。
久しぶりのミステリ・フロンティアシリーズ。新刊として書店で並んでいる時、帯で誰だったか
好きな作家(多分綾辻さんかな?)が絶賛したようなことが書いてあって、読みたくなりました。
なかなか良かったです。ただ、どうも全体的に中だるみする感じがあるというか、文章が冗長
というか、途中ちょっと読んでてだらける感じがあったのが残念だったかな。もうちょっと
行間がすっきりしていると読みやすくなるのでは。文章表現なんかは光るものもあると思うので、
この辺りは書き慣れると変わって来るのかも。初期の道尾さんもそんな感じありましたからね。
クラスの中でどこにも行き場のない孤独な少年の諦観や、やるせなさを含んだ内面描写なんかは
非常にリアルで共感出来ました。
キャラ設定は、綾辻さんの『Another』とか、三雲岳斗さんの『少女ノイズ』を彷彿とさせる感じ。
相沢沙呼さんのサンドリヨンシリーズなんかとも通じるものがあるかな。まぁ、端的にいうと、
私好みってことです(笑)。
クラスから幽霊扱いされてる主人公が、クールな女子高生と友だちになり、クラスメートに
隠れて行動を共にするようになる。彼にも彼女にも、誰にも言えない秘密があって・・・と
いう感じの青春学園ミステリー。主人公が幽霊扱いされている、というところがこの作品
最大のキモ。彼が本当に幽霊なのかそうでないのか、二転三転するところは読ませるなーと
感心しました。
最初、連続動物虐待死事件がミステリーの核になるのだと思っていたので、その真相が
あっさり明かされた時は拍子抜けしました。ただ、終盤ではきちんとミステリーとしての
仕掛けがいくつも用意されているので、しっかり騙されてしまいました。説明が中途半端で若干
わかりにくいところもありましたけど。ま、敢えてこういう書き方してるんだろうな、とは
思ったんですけども。
いろいろ消化不良な部分もなくはないのだけど、主人公の存在自体の謎や、ラストの火事の
真相や結末など、素直に驚かされたところも多いので、トータルでは面白かったです。
一部の評論家やミステリ好きの人にはかなり評価されている作品らしいですね。個人的には
そこまで絶賛する程でもないかなーって感じだったんですけど^^;作者の仕掛けには確かに
騙されたんですが、トリック自体はどこぞで見かけたような二番煎じ的なものに近かったので・・・。
それにしても、一居士架(いちこじかける)に玖波高町(くばたかまち)。主役どちらも変わった
名前ですよねぇ・・・。高町って女の子の名前か!?とツッコミたくなりましたよ。ってか、
最初、玖波高町でひとつの苗字かと思っちゃいました(苦笑)。
ちなみに、作者の名前は「とおちのやしろ」と読むそう。こっちも変わってますね。
高町の今後がちょっと心配ですが、前を向いて生きて行って欲しいと思います。
架と再会出来ると良いのだけれど・・・。
青春ミステリの新たな書き手として、今後が楽しみですね。次回作も期待したいです。