ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

大崎梢/「天才探偵Sen 公園七不思議」/ポプラ社刊

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大崎梢さんの「天才探偵Sen 公園七不思議」。

テストは満点、診断テストも決まってトップ、さつき小始まって以来の天才と呼ばれる六年生の千。
性格はクールだけど、弱点は大人の綺麗な女の人。特に、保健室の万希先生のことが大好き。
同級生で幼なじみの香奈と信太郎と作っている壁新聞は、先生に褒められたくて毎回保健をテーマ
にしている。しかし、ある日香奈が次の壁新聞のテーマはさつき小の学区内にある七つの児童公園
に伝わる七不思議にしようと提案してくる。しかも、最近、公園で不審な出来事が相次いでいるという。
七不思議の解明が、公園の不審な出来事の解明にも繋がるかもしれない――しぶしぶながら、
千は調査に乗り出すことに・・・。著者初の児童書。


大崎さん初のジュヴナイル。こんな本が出ていることを最近まで知らなかったのですが、ある
書評サイトで存在を知り読みたいなぁと思っていたところに目出度く図書館入荷。すでに
2巻も出ていて、そちらも予約済み。

ジュヴナイルということで、とっても軽いです。ライトさははやみねかおるさんの夢水
シリーズと同程度。千のキャラが小6の割にクールで達観してるので(なんたって
『天才』って設定だし^^;)、夢水シリーズよりもシリアスなくらいです。公園に
纏わる七不思議という設定が面白かった。七不思議でジュヴナイルというとミステリYA!
篠田真由美さんの学園七不思議シリーズを思い出しますが、こっちの方が対象年齢が
低いせいか、ずっと直球のジュヴナイルらしくて読みやすい。でも、大人でも十分楽しめる
作品に仕上がってます。千が『蒼穹の涙』を盗んだ犯人に罠を仕掛けるところなんか、
なかなか緊迫感がありますし、小学生とは思えない名探偵っぷりに感心しました。千のキャラ
はいまいちまだ掴めていない部分もあるのですが^^;クールな天才って設定なのに、きれいな
大人の女の人に弱い、という設定にちょっと首をかしげてしまった。なんか、千のキャラに
似つかわしくない弱点だなぁって気がするんですが。金田一少年のはじめちゃんもIQ200
だかの天才なのにきれいな女性に弱いけど、彼はもともとおちゃらけキャラだしね。

ミステリの真相については、着眼点は面白かったけど、かなり無理があるように思いました^^;
だって、公園にある○○をそんなに簡単に移動できるものなの?だいたい、一つの公園に
一時的とはいえ○○が二つあるって絶対あり得ない光景って気がするんですが^^;
ま、小学校高学年対象の作品にそんな細かいツッコミをする方が野暮というもの。あまり
深く考えずに、気軽に読めるライトミステリとして楽しむ作品でしょうね。

今回はまだ香奈ちゃんや信太郎君の活躍少ないし、意味深に出て来たジャーナリストの
和人や敦也青年の出番も少なかったので、まずはキャラ見せという感じですね。彼らが
今後千とどう絡んで来るのかも楽しみです。

イラストがとっても可愛い。小生意気な千に気の強い香奈、気弱で王子様風美少年の
信太郎。それぞれにイメージぴったりです。久都りかさんって初めて聞きました。
漫画家さんかと思ったらイラストレーターさんだそう。漫画化したら売れそうです。

書店シリーズとはまた違った作風ですが、なかなか楽しく読めるジュヴナイルでした。
続編は予約2名なのでさほど待たずに回って来そう。天才少年千君の今後の活躍に
期待したいです。