東川さん最新作。今回は、両親が探偵業をやっているオカルト好きの中学生男子と、
寂れた廃工場に住む、自称天才発明家のふたりが、オカルトまがいの事件に挑む
連作ミステリー。相変わらず、キャラも設定もゆるゆる(笑)。ツッコミ所満載
ですが、いいのいいの、これが東川さんだからッ(ファンの贔屓目爆発発言)。
でも、謎解き部分はしっかり本格テイスト入ってますし、ミステリーとしての
体裁は整っているので!!オカルトを信じる中学生男子・丘晴人が体験した
不可思議な現象を、オカルトなど一ミリも信じていない謎の天才(自称w)博士・
暁ヒカルが持ち前のひらめき力と推理力で解き明かす、というのが大まかなあらすじ。
一話目の、狐憑きの女性の口からおばあさんの声が聞こえて来るトリック、三話目
の幽体離脱のトリック、四話目の、誰もいない所から『うらめしや~』の声が聞こえ、
突然ガラスが割れた真相は、それぞれに感心させられました。二話目の赤いワンピース
の女性のトリックもなるほど、とは思ったのだけど、アレを縦にして人を映した
ところで、実際の人と見間違えるものかな?と若干半信半疑な印象がありました。
まぁ、人の思い込みをうまく利用したトリックとも云えるのかもしれませんが・・・。
あと、五話目の、アレのスタンプも、絶対不自然になるんじゃない?ってツッコミ
たくなってしまった。そもそも、このラスト一話に関しては、基本設定の筈の、
オカルト的な要素が全くないってところもね。シリーズとして破綻してるよね。
東川さん、オカルト要素を考えるのが五話目にして面倒になっちゃったのかな
(苦笑)。できれば、そこの部分は拘っててほしかったですけどね・・・(タイトル
がアレだしさ)。
『ひらめき研究所』所長(といっても、所員は一人だけだけどw)のヒカルさんの
キャラは、東川さんの作品にも今まであまりいなかったタイプの女性キャラって
感じがする。男性でこういうタイプはいそうだけど・・・(誰とは思い浮かば
ないけれど^^;)。天才的な発明家という触れ込みの割に、発明品はポンコツ
ばかりだし、晴人が『ヒカルさん』と呼ぶと不機嫌になって、『博士と呼べ』と
強要するという、なかなかに面倒な性格。でも、なんだかんだで晴人が持ち込む
謎をちゃんと解いてくれるので、基本的には良い人なのかな。しかも、手柄は
全部晴人の探偵事務所になってる訳だし(本人、そこは特に拘りがないもよう)。
まぁ、ある意味、ほんとに天才肌なのかもね。謎解きの才能は間違いなくある
訳ですしね。ちょいちょい入る、晴人のツッコミが面白かったです。なかなか
良いコンビなんじゃないかと。
いつもの如くに、ゆるゆるな空気で楽しめました。