ある日電車の中でモーゼのように乗客たちを遠ざけているホームレスに会った私は、そのまま彼の
後について『ホームレス』になった。モーゼは酔うと饒舌になり、大ボラを吹いて「アメリカ兵を
ぶん殴った」話をしたりする。そんなモーゼとの会話を始め、公園でのホームレス生活は楽しかった。
しかし、ある日コンビニのゴミ置き場で残飯探しをしている時、ある一人の青年と出会って私は
再び現実の世界に戻る決心をした――心を癒す5つの連作短編集。
後について『ホームレス』になった。モーゼは酔うと饒舌になり、大ボラを吹いて「アメリカ兵を
ぶん殴った」話をしたりする。そんなモーゼとの会話を始め、公園でのホームレス生活は楽しかった。
しかし、ある日コンビニのゴミ置き場で残飯探しをしている時、ある一人の青年と出会って私は
再び現実の世界に戻る決心をした――心を癒す5つの連作短編集。
かねてから読みたいと思っていた本書。気付いた時には大幅に予約に乗り遅れ、文庫を買うか
迷っていたところ、目出度く開架で発見。しかも何故か二冊もあった・・・(^^;)。
普段あまりベストセラーに心を動かされる方ではないのだけど、これは巷の評判がなかなか
良いようだし、連作になっているというので興味を惹かれていました。それに、もともと劇団
ひとりは割と好きな芸人さんで、ブラウン管を通して「この人絶対頭いい」し、「この人絶対
いいひとだ」というのが伝わって来るから。実際のところどうなのかはわからないけど、でも、
多分直感はそうはずれていないはず、と、本書を読んで改めてそう感じました。
まぁ、何よりこの本はあのV6の岡田君が絶賛していた本だからね・・・!(そこかよ)
迷っていたところ、目出度く開架で発見。しかも何故か二冊もあった・・・(^^;)。
普段あまりベストセラーに心を動かされる方ではないのだけど、これは巷の評判がなかなか
良いようだし、連作になっているというので興味を惹かれていました。それに、もともと劇団
ひとりは割と好きな芸人さんで、ブラウン管を通して「この人絶対頭いい」し、「この人絶対
いいひとだ」というのが伝わって来るから。実際のところどうなのかはわからないけど、でも、
多分直感はそうはずれていないはず、と、本書を読んで改めてそう感じました。
まぁ、何よりこの本はあのV6の岡田君が絶賛していた本だからね・・・!(そこかよ)
いやはや。驚きました。ここまで「よく出来た話」だとは。これはそこらの芸人本の域を遥かに
超えた良質のエンタメ作品だと思う。確かに、文章的にはそれ程突出してはいないけれど、それぞれの
お話を少しづつリンクさせて、要所要所に潜ませた伏線をラストで見事に回収させる手腕が素晴らしい。
一作づつを切り取ってもきちんと『読ませる』短編に仕上がっているし、それがラストにきちんと
繋がっていて、最後まで読んで改めて感動出来る構成になっている。『読ませる』ことを知っている
書き手さんだと感心しました。ちゃんと『小説』の書き方を知っている人が書いたことがわかる。
やっぱり、この人頭いいんだなぁと思いました。中には叙述トリック的な手法を使った作品もあって、
ちょっとした驚きもありました。
一つ一つのお話もじんわり心が温まるものばかりで、あっさりと簡単に読めてしまうけど、心に
響きました。こういうお話は、人に対して「優しい目線」を持っている人じゃないと書けないの
ではないかなぁ。うん。劇団ひとりという芸人さんが更に好きになりました。二時間くらいで
すぐ読めちゃうけど、どこぞの世界の中心でなにやら叫んじゃう小説なんかよりよっぽどベスト
セラーと言われても納得できる作品でした(また引き合いにだしちゃった・・・あははは(逃))。
超えた良質のエンタメ作品だと思う。確かに、文章的にはそれ程突出してはいないけれど、それぞれの
お話を少しづつリンクさせて、要所要所に潜ませた伏線をラストで見事に回収させる手腕が素晴らしい。
一作づつを切り取ってもきちんと『読ませる』短編に仕上がっているし、それがラストにきちんと
繋がっていて、最後まで読んで改めて感動出来る構成になっている。『読ませる』ことを知っている
書き手さんだと感心しました。ちゃんと『小説』の書き方を知っている人が書いたことがわかる。
やっぱり、この人頭いいんだなぁと思いました。中には叙述トリック的な手法を使った作品もあって、
ちょっとした驚きもありました。
一つ一つのお話もじんわり心が温まるものばかりで、あっさりと簡単に読めてしまうけど、心に
響きました。こういうお話は、人に対して「優しい目線」を持っている人じゃないと書けないの
ではないかなぁ。うん。劇団ひとりという芸人さんが更に好きになりました。二時間くらいで
すぐ読めちゃうけど、どこぞの世界の中心でなにやら叫んじゃう小説なんかよりよっぽどベスト
セラーと言われても納得できる作品でした(また引き合いにだしちゃった・・・あははは(逃))。
気に入ったのは『ピンボケな私』『Over run』『鳴き砂を歩く犬』かな。他の二つも悪くは
なかったんだけど。『ピンボケ~』は前述したように、叙述トリックものと云って差し支えないと
思う。ラスト、完全にやられた。使い古された手法なのに、芸人がまさかこういうトリックを
仕掛けてくるとはおもわないもん・・・(いい訳)。完全に油断していたので作者の術中にまんまと
はまってしまった。でも、だからこそ爽快な気分で読み終えられました。最初はヒロインの
語り口が甘ったるくて読んでてイライラしたんだけど。それも作者が意図してそうしたんだろうな
っていうちょっとした『あざとさ』みたいなものは感じたのですが。『Over run』は、結末は
なんとなく見えていたのだけど、やっぱり不覚にもラストでちょっぴり泣いてしまった。
だからー、老人と若者のこういう話に弱いんだってば・・・。映画ではこれの青年役を岡田君が
やっていたようです。こんなダメ人間を演じたのか・・・^^;
そして、『鳴き砂~』で、今までの人間関係がすべて明かされるラストに素直に感動。きちんと
きれいに繋がっていて、しっかり計算して書かれているのがわかって感心しきり。そこらの小説家
だって最後辻褄合わなくて消化不良に感じる作品が多いのに。ちゃんと一冊の作品として完成
されているところが秀逸だと思いました。
なかったんだけど。『ピンボケ~』は前述したように、叙述トリックものと云って差し支えないと
思う。ラスト、完全にやられた。使い古された手法なのに、芸人がまさかこういうトリックを
仕掛けてくるとはおもわないもん・・・(いい訳)。完全に油断していたので作者の術中にまんまと
はまってしまった。でも、だからこそ爽快な気分で読み終えられました。最初はヒロインの
語り口が甘ったるくて読んでてイライラしたんだけど。それも作者が意図してそうしたんだろうな
っていうちょっとした『あざとさ』みたいなものは感じたのですが。『Over run』は、結末は
なんとなく見えていたのだけど、やっぱり不覚にもラストでちょっぴり泣いてしまった。
だからー、老人と若者のこういう話に弱いんだってば・・・。映画ではこれの青年役を岡田君が
やっていたようです。こんなダメ人間を演じたのか・・・^^;
そして、『鳴き砂~』で、今までの人間関係がすべて明かされるラストに素直に感動。きちんと
きれいに繋がっていて、しっかり計算して書かれているのがわかって感心しきり。そこらの小説家
だって最後辻褄合わなくて消化不良に感じる作品が多いのに。ちゃんと一冊の作品として完成
されているところが秀逸だと思いました。
どれも短くてあっさり読めてしまうので小説としての深みはそれほどないかもしれませんが、
それぞれに心温まる作品で癒されました。いやー、思っていたよりもずっと面白かった。
芸人本なんてと侮っている方には是非一読をおススメしたい。伊坂さんや金城さんの作品を
もっと大衆向けに読みやすくした感じかなぁ。このひと、書きなれたらもっといい作品が
生み出されそうな気がする。二作目も大いに期待したい。映画も観たいなぁ・・・。
それぞれに心温まる作品で癒されました。いやー、思っていたよりもずっと面白かった。
芸人本なんてと侮っている方には是非一読をおススメしたい。伊坂さんや金城さんの作品を
もっと大衆向けに読みやすくした感じかなぁ。このひと、書きなれたらもっといい作品が
生み出されそうな気がする。二作目も大いに期待したい。映画も観たいなぁ・・・。
余談ですが、実は私、この作品のタイトル、最初「向日葵(ひまわり)に咲く」だと思ってたん
ですよね・・・よく考えるとそれだと文法的におかしいんだけど^^;ベストセラーになって
話題になってからかなり経って本当のタイトルに気付いたという。思い込みって恥ずかしい
・・・^^;;
ですよね・・・よく考えるとそれだと文法的におかしいんだけど^^;ベストセラーになって
話題になってからかなり経って本当のタイトルに気付いたという。思い込みって恥ずかしい
・・・^^;;