ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

はやみねかおる/「都会のトム&ソーヤー (1)」/講談社刊

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はやみねかおるさんの「都会のトム&ソーヤー (1)」。

火曜日の午後十時。塾が終わって二十四時間営業のハンバーガーショップハンバーガーを買って
食べながら帰る途中で、ぼくはクラスメイトの竜王創也が歩いているのを見かけた。なぜこんな
時間に創也がこんなところに?わが校始まって以来の秀才と言われる彼がぼくのように塾に行って
いるとは思えない。不思議に思ったぼくは、こっそり創也の後をつけた。やがて、楽しそうに歩く
彼はある通りを左に曲がった。同じようにぼくも通りを左に曲がって創也の後を追いかけようと
すると、彼の姿は忽然と消えていた。一体創也はどこに行ったのか?翌日、ぼくは創也にその
疑問をぶつける為、いつも彼がいる図書室に向かった。ぼくの疑問を聞いた創也は、ポケット
から一個のかぎを取り出してぼくに渡した。創也は「明日ぼくは午後からこのかぎがかかった
場所にいる。気が向いたら、おいで」というのだ。これは創也からぼくへの挑戦状だ。ぼくは
創也をが消えたあの場所にもう一度行ってみることに――。


以前から気になっていたはやみねさんのこのシリーズ。早く読みたいと思っていたのだけれど、
人気があるのか、なかなか1巻が借りられずにいました。先日ようやく隣町図書館で発見。
やっぱり、ジュヴナイルは隣町図書館に限るぜ(隣町図書館、なぜかYAコーナーがやたらに
充実しているのです。これジュヴナイルか?って本もなぜか置いてあったりする変な棚でも
あるのですが^^;)。

うんうん。はやみねさんらしい直球の青春ジュヴナイルで良いですね!ミステリーって
いうよりは、タイトル通り、都市を舞台にした少年たちの冒険って感じ。ただ、ちょこちょこと
ミステリーに拘りのある著者らしい要素が盛り込まれているところが楽しい。例えば、四大ゲーム
のタイトル。『子牛缶殺人事件』『モグラ・マグロ』『ジャムへの荷物』『匣の中の潑剌』
もちろん、ミステリ好きの方なら元ネタが何かは一目瞭然ですよね^^ゲームの内容は元ネタ
とは全く関係のない、ほんとにこれが優れたゲームなのかって感じのものでしたけど(苦笑)。
ただ、五番目のゲーム『ルージュ・レーブ』の元ネタだけわからなかったのですが・・・
あるんでしょうか?(ぐ、愚問?^^;;;)。あれ、もしかして勇嶺薫さんの作品からか?
『赤い夢』・・・)

なんといっても、キャラ造詣が良いです。特に、主人公の内人君。クールで頭脳明晰な創也の
キャラ自体はそれほど目新しさは感じないけれど(いや、こういうタイプ大好きですけど^^;)、
一見平々凡々な内人が、実は雑学知識に長けていて、その雑学知識で二人の窮地を救う役に立ったり
するところが面白い。創也は頭脳、内人は雑学、ちゃんと役割分担があって、二人で一人って
感じの関係が好きですね。その内人君の雑学がおばあちゃんから来ているってのもニクイ。しかし、
おばあちゃんの知恵袋を超えるような理系の知識もありましたけど^^;その雑学を知ってる
内人のおばあちゃんが実は一番スゴイ人なのかも・・・(笑)。いやー、内人みたいなお友達が
欲しいですね。困った時にそこらにある物を使って何とかしてくれそうだもん(笑)。

栗井栄太を捜す方法に関してはちょっと強引なところもありますが、ジュヴナイルとしては十分
楽しめる作品となっていると思います。意外性のある創也の側近・卓也さんのキャラもいいですね~。
愛読書が就職情報誌って^^;なんだかんだいって、彼はこの先も転職出来ずに創也の側について
苦労させられそう。でも、案外実は本人が一番楽しんでいたりして(笑)。創也 V.S. 卓也の
攻防も楽しみの一つになりそう。

夢水シリーズとはまた全然違うテイストですが、こちらはこちらでとっても楽しめました。
創也と内人、二人のコンビが生き生きしていて良かったです。雑学知識も養えるしね(笑)。
二人の冒険はまだまだ始まったばかり。栗井栄太の正体は次の巻でわかるようなので、早く続きも
読みたいです(はやみねさんは、その正体に関して本書で伏線が張ってあるとおっしゃってますが、
全然わかりません~^^;)。