ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

三浦しをん/「三四郎はそれから門を出た」/ポプラ社刊

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三浦しをんさんの「三四郎はそれから門を出た」。

読書大好き、三浦しをんの本にまつわるエッセイを一冊にまとめた読書指南書。朝日新聞
や雑誌ananに寄稿したコラム等も同時収録。


重い本の後はしをんさんのエッセイに限る。爆笑度は控えめですが、読書に関するエッセイなので、
本好きにとってはとても楽しく読める一冊でした。しをんさん、漫画やBL小説だけじゃなく、
まともな本もたくさん読むんだっていうのがよくわかりました(苦笑)。それも、普通の小説
だけではなく、エッセイやノンフィクションから写真集など、ジャンルは本当に多岐にわたる。
桜庭さんの読書日記でも思うことだけれど、本当の読書家というのは、選り好みせずに、どんな
ジャンルの作品でも自分の読書の一部として楽しめるひとのことだと思う。私のように偏った
ジャンルの作品ばかり読むような人間は、口が裂けても読書家なんて言ってはいけないと思って
しまう。今回、しをんさんが取り上げた本もほとんど読んだことがない本ばかりでしたが、
しをんさんの解説を読んで、普段自分が読まないタイプの本でも読んでみたくなった本がたくさん
ありました。これからどんな本読んでいいかわからないなーって思ってるひとにとってはまさしく
指南書となるようなエッセイ集だと思います。それに、本自体に興味がなくても、しをんさん
独特の切り口で語られる説明文だけでも十分楽しい読書が出来ると思いますしね。
『読書が趣味』と簡単に口にする人々に対して嫉妬しているしをんさんに笑ってしまいました。
私も普通に使っちゃうけど、真の読書家にとっては、読書ってものはそうそう簡単に趣味だなんて
次元で語っちゃいけないものなのですね。『おまえ(本)と俺(しをんさん)との真剣一本勝負』
には笑ってしまった。持てる時間とお金の大半を注ぎこんで打ち込む『読書』。ヘヴィな図書館
ユーザーとしては大層耳に痛いしをんさんの主張に、これからはおいそれと趣味は読書だなんて
言わないようにしよう、と思いました・・・^^;本が好き、とかならいいかなぁ・・・(弱気)。

ちなみに、タイトルは夏目漱石の代表作を羅列したものだそうで。昔に語呂合わせで漱石の小説
タイトルを覚える為に習ったとか。他にも代表作山ほどあるけどねぇ(苦笑)。

もちろん本の紹介もとても面白かったのですが(京極さんが取り上げられていたのが嬉しかった)、
私が個人的に面白かったのは三章の『本のできごころ』の部分かな。タイトルからして何だか
素敵です(笑)。
『本にはさむもの』では、しおりについての古本屋でのアルバイト体験がとても面白かった。
私は普段は単行本の場合は本についてるスピン(栞紐)、ソフトカバーや文庫でスピンがついてない
ものの場合は義理の姉からもらったクリップがついてて本に挿し込んで使うブックマーカー
使ってます。あと姪っ子からもらったディズニーランド(シー?)のおみやげのブックマーカー
もお気に入り。ただ、こっちはすぐに本から落ちちゃうのが玉に瑕。持ち歩くと落としちゃいそう
なので、専ら部屋使い用。
もちろん、それ以外に普通に紙のしおりも使いますが。でも、しをんさんの目撃した、口に出すのも
はばかられるようなモノを使ってしおりにすることはありません・・・ッ!っていうか、本に対する
冒涜だろ!って、私もしをんさん同様憤りを感じましたですよ・・・売るなよ、しかも、それ^^;;


私の愛用ブックマーカー。左がクリップ式。クリップ部分を表紙に挟んで、あとは普通のスピンと
同じように使います。鳥さんがラブリーでお気に入り!右はミニーちゃんの顔がくっついた
ブックマーカー。顔の部分が揺れてなかなか可愛いのです♪
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あと、『理想の本屋さん』に出て来たしをんさんの理想の本屋さん、私もとっても行ってみたく
なりました。こういう妄想するのは楽しいなぁ。自分だけの理想の本屋さん。私の中では『東京
バンドワゴン』の古本屋さんみたいな所が理想かなー。新刊書店だったら『配達あかずきん』
成風堂とか、二巻に出て来たまるう堂とか。残念ながら、今一番使っているのはごくごく普通の
駅ビルに併設されてる京王線ユーザー御用達の啓○堂ですけれど^^;まぁ、そこそこ大きいから
いいんですけどね、市内の大部分の本屋さんがつぶれてしまった今となっては、最後の砦として
いつまでも存続してもらいたいです。そこがなくなっちゃうとほんとに本買うのに隣町に行かなきゃ
ならなくなっちゃうんだよー^^;

『きみとどこまでも』では本を読む姿勢について語られていますが、私も実家にいた時はかなりの
頻度でベッドに寝っ転がって漫画やら本やら読んでました。でも、一人暮らしになってからは
ほとんどいつも使う座椅子に座って読んでますね。っていうか、家にいる時は、ほとんどそこに
しかいない(笑)。PCもそこでやるし、テレビもそこで観るし、ご飯もそこで食べる(笑)。
ほんとに部屋にいる時は動かないので、こんなに座ったままで大丈夫かな、と心配になるくらい
です・・・(眠くなるとそこで横になるし)。


後半の読書以外のエッセイではしをん節が炸裂。本来のしをんさんのエッセイの面白さが味わえて
そちらも面白かったです。個人的に非常に共感出来たのは、盆栽に愛情を注ぐところと、洞窟で興奮
するところ(笑)。盆栽は、私がいつか始めてみたい趣味のひとつ。あの小さな容器の中に、森の
ように出来上がった植物の世界が広がっているところがなんとも観ていて美しいし心を動かされる。
『高木盆栽美術館』・・・ああ、行ってみたい・・・!!そして、洞窟フェチとしては、奥多摩
あるという鍾乳洞にも大変心惹かれたのでした(変人)。

後半はいつもの如くに弟ネタやら自虐恋愛ネタやらで爆笑させてもらいました。しをんさんの
エッセイはやっぱりいいなぁ。桜庭さんの読書日記同様、もっともっと本が読みたくなるエッセイ集
でした。面白かった!