ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

大崎梢/「キミは知らない」/幻冬舎刊

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大崎梢さんの「キミは知らない」。


赴任したばかりの非常勤講師・津田の突然の退職。淡い恋心を抱いていた高校2年の悠奈はショック
を受ける。しかし12年前に火災事故で亡くした父の手帳から津田と父の接点を知り、悠奈はたまらず
ひとりで後を追う。やがて田舎町で再会したのは「穏やかな先生」とは別人のような鋭い眼差しの男。
さらに、戸惑う悠奈の前に「お迎えにあがりました」と見知らぬ男たちが現れ、拉致されてしまう。
次々と降りかかる事件は、やがて隠された過去と父が遺した謎へと迫りーー(あらすじ抜粋)。


大崎さんの最新作。前作の『かがみのもり』はイマイチ楽しみ切れなかったのですが、こちらは
なかなか良かったです。ただ、『かがみのもり』と若干内容的に被ってる部分があるような気も
したのですが^^;
ふとした出来心で、いなくなった非常勤講師の津田を追いかけて、彼の実家があると思われる
土地に出かけた主人公の悠奈が、そこから次々と騒動に巻き込まれるジェットコースタームービー
みたいなトラベルならぬ、トラブルミステリー(なんて言葉があるのかどうか知らないですが^^;)。
主人公の悠奈が、なんとも、まぁ、呆れるくらい次々と新たなトラブルを背負い込むので、ちょっと
可哀想になりました^^;彼女自身は常にひたすら『家に帰りたい』と訴えている訳ですからね^^;
まぁ、父親の死の真相が知りたい、という好奇心を満たす為の行動が災いしてトラブルに巻き
込まれているところも少なからずあるので、自業自得の部分もあるのですけれどね^^;
かなり人物関係や舞台背景が複雑でごちゃごちゃしていて、頭の中で整理しきれずに読んでいた
ところもあったので、その辺り、もう少しすっきり読ませて欲しかった気もしましたが、終盤の
展開はなかなかドラマチックで、引き込まれました。





以下、一部真相に関するネタバレがあります。未読の方はご注意を。










でも、滝巳が12年前の事件の前日に脚立に乗って天井に両手を差し伸べてしていたことって、
何だったんでしょう。火事を起こす為にしていた細工には違いないのでしょうが・・・。
でも、火事の原因は納戸のコンセントがショートしたことだっていうし、天井に細工する動作が
何に繋がるのか、よくわからなかったです(単なる毎度の読み取り不足かな^^;;)。










なんとなく、腑に落ちない部分もいくつか残っている気もするんですが、最後は上手く収まって
大団円だったので、まぁいいか、という気分になりました(苦笑)。
何といっても、ラストシーンが良かったです。なんだかんだで、彼女のことを見守りたいと思って
戻って来たんでしょうね~。ま、大公路の人間の誰かからけしかけられたって可能性もなくは
ないですけど(苦笑)。
大公路家サイドの人たちはみんないいキャラクターでしたね。約一名を除いて、ですが(苦笑)。
ただ、深川さんと佃島さんと浅草さん、最後まで誰が誰だか区別がつかなかったです・・・^^;
それぞれにいいキャラクターだったとは思うんですけどね^^;誰が味方で誰が敵か、というのも
場面場面ですぐにひっくり返されてしまうので、最後まで気が抜けないストーリーでした。

装幀もきれいでいいですね。ちょっと、ラノベっぽい表紙だけど^^;
前作が前作だっただけに、あまり期待しないで読んだのですが(←失礼^^;)、なかなか読み応え
のある青春ミステリーでした。面白かったです。