ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

奥田英朗/「ララピポ」/幻冬舎刊

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奥田英朗さんの「ララピポ」。

対人恐怖症のフリーライター、杉山博(32歳)。NO!と言えないカラオケBOX店員、青柳光一
(26歳)。AV・風俗専門のスカウトマン、栗野健治(23歳)。文芸コンプレックスの
官能小説家、西郷寺敬次郎(52歳)。専業主婦にして一応AV女優、佐藤良枝(43歳)。
デブ専裏DVD女優のテープリライター、玉木小百合(28歳)。選りすぐりの負け犬たち、
ここに集合。最新爆笑小説(紹介文抜粋)。


単なる下ネタを集めたお下劣短編集なのかと思っていたので、読むのに躊躇して結局読み
逃してしまっていたのですが、読んだ方から結構評価されてた気もしたので、思い切って
借りてみました。

うむ。確かにお下劣なのは間違いなかったです・・・全部の話が下ネタなのも。読んでいて
到底気持ちのいいお話では、なかったですね^^;;でも、単なる下ネタ短編集かと思いきや、
そうでもなかったです。きちんと、各作品のラストで目を瞠るようなオチがあるところが巧い。
まぁ、どのお話も、まるで救いはなかったですけど^^;うへー、黒いよー。救われないよー、
ゲンナリしながら次の話へ進むって、感じで、正直途中から食傷気味にもなって来たところも
あったのですが、最終話の最後で全部の話のオチが覆されるところがスゴイ。救われない
話かと思いきや、そうでもなかったってところがなかなかにニクイですね。このラスト一話が
あるのとないのとでは、読後感がまるで違ってしまう。この仕掛けにはかなり驚かされ、
唸らされました。出て来る登場人物には好感・共感どころか、嫌悪しか覚えませんでしたが、
世の中にはこういう人たちもいるってことで・・・^^;快楽に溺れると、ロクなことには
ならないぞってことなんでしょう・・・って、あれ、昨日の作品ではこれがお金だったような^^;
実は、読んだ順番としては、曽根さんよりもこっちの方が随分先だったんですよ。
ちょっと諸事情があって記事が前後してしまいましたが。
ところで、紹介文に『爆笑小説』って書いてありますが、私は全然これ、笑えない話だと
思うんですけど・・・^^;どの主人公も、色欲に負けて身を滅ぼす羽目になってますから。
奥田さんなりの教訓譚・・・なんですかねぇ。賛否両論あるのも頷けます^^;下ネタ嫌いの
人には絶対受け付けない内容だろうなー。この表紙からして・・・ねぇ。外で読む場合、表紙を
隠して読まれることをお勧め致します(表紙をじっくり見られた日には、品位を疑われる可能性大
です^^;)。

ま、どの人物の末路も、自業自得なのは間違いなかったですね。色欲だろうが、金欲だろうが、
つまるところ、人間、欲に溺れちゃダメってことなんでしょう。
普通だったら、総評の後に各作品の感想を書くところなのですが・・・今回は、私の品位(あったのか?!)
に関わりそうなので(^^;)、割愛させて頂きます。

しかし、これ、映画化されたんですよねぇ・・・一体どんな映像になっているのだ・・・怖い^^;
ご覧になった方いるのかしら。是非ご感想をお聞きしたいもんです(やっぱり、官能映画に
なってしまっているのだろうか・・・)。

ところで、タイトルの意味には苦笑。『ララピポ』って一体何なんだろうってずっと不思議に
思ってたので、意味がわかってスッキリ。まぁ、意味があるようで、ほとんどないようなタイトル
とも云えますが^^;なるほどねー、って感じではありました(笑)。
ま、ナンセンス極まりない作品ではありましたが、なんだかんだで結構面白く読んじゃいました。
奥田さん、ニヤニヤしながら書いてたんだろうな(苦笑)。