ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

「作家の放課後」/新潮文庫刊

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「作家の放課後」。

畠中恵酒井順子西加奈子万城目学辛酸なめ子有吉玉青山本文緒中島京子谷村志穂
角田光代森絵都森見登美彦斎藤由香、及川賢治、小池昌代大森望辻村深月豊崎由美
乃南アサ青山七恵朝井リョウ岸本佐知子。そこまでやるか? 人気作家が己の限界に挑戦する、
爆笑体験記!

人間だから、得手不得手はある。出来ない、やりたくないと決め付けて、今まで目を背けてきた
こともある。大人になった今だからこそ、勇気を出してチャレンジしてみようじゃない! 現代を
代表する人気作家が、時に及び腰になりながらも、持ち前の情熱と根性で登山や断食など未経験の
分野に挑む。その貴重な体験を克明に記した、雑誌「yom yom」連載の爆笑エッセイアンソロジー
(紹介文抜粋)。


雑誌yom yomに連載された、人気作家による初体験エッセイ集。好きな作家さんが結構
入っていたので借りてみました。
それぞれの作家さんが、編集部から提示されたいろんなことにチャレンジし、その体験談
を綴っています。レポート形式なので、面白おかしく綴ってる人もいれば、淡々と体験した
ことを記述する人もいて、作家さんごとの特色が出てる感じがしましたね。ただ、↑の
紹介文に書かれてるような『爆笑』出来るエッセイはひとつもなかったなぁ。モリミーの
なんかは、所々くすり、と出来る文章もありましたけども。基本的には、みんな真面目に
その課題に取り組んで一生懸命になってるところが真摯に書かれてる印象でした。
中に出て来るものは、私も経験したことがないものがほとんどだったので、なかなかに
興味深く読めました。こういう世界もあるのかー、ってな感じ。挑戦しようとか考えた
こともなかったものもたくさん。
個人的には本関係の体験談が楽しかったな。酒井順子さんの古書店街散策とか、有吉玉青
さんの自分の本を一冊だけ皮装幀にするやつとか、及川賢治さんの製本工場見学とか、
大森望さんの一箱古本市(これって、以前ちいらばさんが記事にしてらしたやつですよね)
のとか。本に纏わる体験記って、いつ読んでもワクワクしちゃう。

あと気になったのは山本文緒さんの断食道場体験記。これは絶対私には無理だー、と思いました^^;
でも、正しい断食って、かなり健康に良いって聞きますよね。今はとりあえず必要に迫られる
体型ではないけど、かなり太りやすい体質なので、10年後辺りに切羽詰まった状況で参加
しているかも・・・(笑)。

モリミーの文章はやっぱり真面目なこと書いてても面白いですね。本人が名言してるように、
文章読んでもさっぱり富士山には登りたくならなかったですけど(笑)。酸素が薄い所に
行くのは嫌だー。富士山、五合目までなら行ったことあるんですけどね・・・車(しかも
助手席)で(おい)。

豊崎由美さんの釣り体験記も面白かったな。トヨザキ社長の文章自体がくだけてて面白い。
そういえば、大森さんとの文学賞メッタ斬り!シリーズはもう出さないのだろうか・・・
(大好きなのに!)。


初めましての作家さんもたくさんいましたが、それぞれの作家さんが未体験の物事に必死で
チャレンジする様はどれも微笑ましかったです。この年になると、なかなか新しいことに
チャレンジする勇気が出なかったりするので、こういう風に機会を与えてもらえるのって
羨ましいなーと思いました。
体験談エッセイなので、以前に読んだ三浦しをんさんのいろんなお仕事現場にお邪魔して
お話を伺うお仕事エッセイを思い出しました。未知の世界のお話を読むのは面白い。
私も何かに挑戦してみたくなりました。