ミステリ読書録

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小島達矢/「夏休みの拡大図」/双葉社刊

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小島達矢さんの「夏休みの拡大図」。

親友は「名探偵」。学校で起きた「事件」を次々と解明する。でも、「あのこと」だけは、私が
真相を見抜かなくては。謎解きの鍵は、あの日の思い出(紹介文抜粋)。


デビュー作『ベンハムの独楽』は、構成的には光るものを感じつつも、全体的にはちょっと微妙な
評価だったワタクシ。とりあえず、二作目も手にとってみることに。

・・・これまた、なんとも微妙な作品^^;作品構成としては悪くないものの、所々設定やら
キャラ造形やら会話やら違和感があって、ツッコミたくなるようなところが多かったです^^;

構成としては、主人公百合香が、数時間後に引越しをする友人ちとせの荷物整理の手伝いに部屋に
来て、引越し作業の傍らで、二人が学生時代に経験した様々な事件を、ちとせがその都度解決に
導いた過程を思い返して行く、というもの(ちょっとわかりづらい説明ですみません^^;;)。

ちとせは、引越しの手伝いにもう一人クラスメイトを呼んでいて、その人物とは、学生時代、
何度も問題を起こして問題児扱いされていた木嶋。百合香は、なぜちとせがそんな男をわざわざ
呼んだのが腑に落ちません。百合香は、小学生の頃に木嶋が起こしたある行動が今だに許せず、彼の
ことが嫌いだったから余計に。
この木嶋のキャラは、ちょっと辻村さんの『オーダーメイド殺人クラブ』の徳川を彷彿とさせ
ました。キモ系男子って意味で(苦笑)。あれは昆虫系男子だったっけか。
彼が小学生の頃に同級生の女の子に水をかけちゃった事件の真相、ちとせじゃなくたってすぐに
気づきましたよ。なんで、百合香がそこに気づかなかったのか不思議なくらい。

一つ一つの事件の真相が、そんな感じで、どうも詰めが甘いというか、ちとせの解決にケチつける
訳じゃないんだけど、なんかあんまり感心出来るものがなかったです。一応、日常の謎系ミステリ、
のカテゴリに入るんだろうけど。

百合香がずっと気にしていた、学生ボタンの真相もぐだぐだだったし^^;
っていうか、一番の友人に、一番大事なことを隠されていたっていうのは、どうなんだろう。
百合香のためを思って、っていうけど、はっきり伝えてあげることの方が親切なんじゃないのかなぁ。
結果、百合香はいつまでもそのことを引きずったまま、他の恋愛も出来なかった訳で。下手に
未練を残してしまう方が可哀想な気がするけどね。まぁ、ショックはショックでしょうけども。

ちとせが就職したくない理由とかも、もうちょっと掘り下げて欲しかった気がするなぁ。
でも、百合香と木嶋の最後のやり取りは好きでした。
木嶋の想いがいつかちとせに届くのか、それが気になるな。

うーーむ。悪くはないんだけど・・・小島さん、今後読み続けるかは、ちょっと微妙かなぁ・・・。