ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

東川篤哉/「謎解きはディナーのあとで 3」/小学館刊

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宝生邸に眠る秘宝が怪盗に狙われる?体中から装飾品を奪われた女性の変死体発見?続々と発生する
難事件に、麗子ピンチ…しかしながら「お嬢様は無駄にディナーをお召し上がりになっていらっしゃい
ます」影山の毒舌と推理は絶好調!そして、ラストシーンでは麗子と影山、風祭の3人の関係にも
大きな変化が訪れて―!?大人気ミステリ第3弾(紹介文抜粋)。


大人気シリーズ第三弾。一応最終巻・・・らしいです。ネット検索してたら、扉絵を描いて
らっしゃる中村佑介さんのブログに当たりまして、中村さんご自身が『最終巻』とおっしゃって
ましたので。ただ、今後また復活する可能性もあるけれども、みたいなことも書かれてました
けれど。
確かに、最終話読んだ感じでも、これで終わりなのかなーと思えるラストではあったので、
最終巻と言われても意外だとは思わないですけどね。これだけの人気シリーズになったのに、
あえて終わらせちゃうというのは勿体ない気もするんですけど。さすがにネタ切れだったの
ですかねぇ・・・。影山の毒舌のネタ切れだったりして(笑)。最初の頃に比べて、毒舌も
キレがなくなって来てるような感じもしましたしねー。でも、好きなシリーズなので、終わっちゃう
のは寂しいなぁ。

今回も、ちょっとゆるめの本格ミステリが六作収録されています。今回は、麗子と影山という
よりは、麗子と風祭のやり取りの方が笑えたかも。影山よりも、風祭警部の方が存在感あった
ような・・・^^;これもドラマの影響なんですかね(ドラマは、どう考えても椎名さんが
櫻井君を食ってる印象だったものね・・・)。
でも、影山の毒舌が出る度に、異常なくらい過激な反応を見せる麗子お嬢様の動揺っぷりが面白
かったです。一般人に混じって働いて大分一般常識が身について来た麗子お嬢様でも、影山の毒舌
にだけはいつまで経っても免疫が出来ないようですね(苦笑)。


では、各短篇の感想を。

第一話『犯人に毒を与えないでください』
三十七度二分で熱があるって、なめてんのかー!と言いたくなるけれど、私も前は平熱が異常に
低くて(35度台前半とか)、七度超えると高熱!って感じだったので、気持ちはわかるなーと
思いました(基本冷え性なんで^^;)。しかし、それでほんとに仕事休んじゃう風祭警部って
・・・どんだけヘタレなんだー^^;
これに出て来たペットボトルの利用法、読んだ時は「そんなことやるヤツいるのか?」って
思ったんですが、読んだ後でたまたまネット見てたら、全く同じ利用法のことを実行している
人のコメントが出ていて驚きました。普通にやってる人がいるのね^^;

第二話『この川で溺れないでください』
犯人の殺害方法はすぐにピンと来たのですが、車の屋根の桜がヒントになるとは思わなかった
ですね。

第三話『怪盗からの挑戦状でございます』
今までとはちょっと方向性を変えて、麗子の家に怪盗からの挑戦状が届く、というもの。狙われ
たのは、黄金で出来た『金の豚』・・・。
怪盗レジェンドが銀の豚を盗んだ方法は、なるほど、と思いつつも、そんな短時間で実現出来る
のか?という部分でちょっと腑に落ちない気持ちにもなりました。
宝生家お抱えの探偵・御神本のキャラはもうちょっと個性が欲しかったかな。単なるヘタレな
だけだったという^^;

第四話『殺人には自転車をご利用ください』
犯人がわざわざ目立つようにアリバイ作りをする理由がちょっとよくわからなかった。ただ、
殺人のトリック自体はよく出来ているなーと思いました。被害者が幼児用の椅子に座らされて
いた理由にも納得できましたしね。
あと、影山の、『(中略)~風祭警部とどっこいどっこいでございますね』のセリフが笑えました。
どっこいどっこいって^^;前回の『うーけーるぅ』に続き、影山の毒舌がだんだんおかしな
方向に行っているような^^;

第五話『彼女は何を奪われたのでございますか』
立川は結構近場で良く行く場所なので、冒頭に出て来た喫茶店の辺りは実際の場所を頭に思い描き
ながら読めて嬉しかったです。麗子お嬢様クラスのセレブも、立川の伊勢丹とかで買い物するん
ですねぇ。しかし、見に覚えのない壺まで買っちゃうってのはすごい。一体どんな買い物の仕方
なんだ^^;
被害者が奪われたものに関しては全く予想外でした。私も普段身につけてるものですけど、
その上から○○○ってのは絶対やりたくないですね。そりゃ、遠近感がおかしくなっても仕方
ないでしょうね。犯人の動機がよくわからなかったのがちょっと消化不良。

第六話『さよならはディナーのあとで』
ラストの直前まで、いつものシリーズと変わらない展開なので、このタイトルはいったい・・・と
思っていたのですが・・・最後でまさかの事実が明らかに。本書の紹介文に『三人(麗子・影山・
風祭)の関係に変化が!』みたいな書き方がされていたので、何かあるとは思ってたんですが・・・
こういうことだったんですねぇ。私は恋愛関係で変化があるのかと期待してたんですけどねぇ。
でも、ラストの麗子と影山のセリフのやり取りにはニヤリ。ドラマでもこんなやり取りしてません
でしたっけ。麗子にとって、影山は、なんだかんだ言いつつも、とても大事な存在なんでしょうね。
それにしても、風祭警部・・・ああ~~~(涙)。



これで終わりとは寂しいなぁ。またいつか長編とかで復活してくれることを祈ります。