ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本三冊。

どうもこんばんは。なんだか急に夏ですね。今年の5月はほんとに暑かったなぁ^^;
今からこんなに暑くって、夏になったらどうなっちゃうんでしょう・・・。
最近地震やら火山噴火やら天変地異も多いですし、なんだか地球が
おかしくなってるような気がして怖いです。何かの前兆なのかなぁ(><)。

読了本は前回記事に出来なかった一冊も含めて三冊。前回記事に
し損ねたやつは手元にもうないので、適当な記憶で書くしかないけど^^;


ではでは、一冊づつご紹介~。


柚木麻子「ナイルパーチの女子会」(文藝春秋
いやー、いろんな意味でめっちゃ怖い本でした。共感出来る部分もないでは
ないのだけど、ほとんどの登場人物が嫌悪感しか覚えなかったですね。
女同士の友情がテーマなのだけれど、こんな友情ならいらない~って
思うことばかりでした。というか、そもそもここに登場する女二人には
友情ってものが何かわかってないのだろうな、と思いました。
主人公は、恵まれた家庭に育ち、有名大学を卒業して大手の商社に
勤めるバリバリのキャリアウーマン、栄利子と、ぐーたら主婦の
日常を綴って最近人気のブロガー、翔子。同い年でお互いに友だちが
いないという共通点を持つ二人が、ひょんなことで出会ったことから、
物語は思わぬ方向に進んで行きます。
もともと翔子のブログのファンだった栄利子は、ある日カフェで
憧れのブロガー翔子に出会い、交友のきっかけを持ったことで有頂天に
なってしまいます。友だちのいない栄利子は、翔子こそ自分の理想の
友だちなのだと思い込み、彼女に執着し始めます。一方翔子の方も、
ブログにはたくさんの支持者がいるものの、プライベートでは親しい同性の
友だちが出来ず、話し相手は専ら夫のみ。キャリアウーマンの栄利子が友だち
だったら毎日がもっと刺激的になるのではないかと思い、彼女との交流を
好ましく思っていました。けれども、ある出来事がきっかけで、二人の
関係は大きく崩れて行くことになります。そこからの展開はひたすら『恐怖』
の一言。友だちがストーカーになり、脅迫者になり・・・。なんでそこまで
一人の人間に執着するのかなぁ、と理解できないことばかりでしたねぇ。
そこまでして友だちが欲しいのかな。私はあんまり物とか人とかに執着心が
ない方だから、ちょっと理解しがたいものがありました。いやもちろん、
友だちってとても大事なものだし、いたら有難い存在だとも思うけれど。
栄利子は自尊心が強いだけに、『友だちがいない自分』に、異常に
コンプレックスを感じる人間なんですね。それを会社の人間に気取られたく
なくて、さも友だちがいるように振る舞ったりしてしまう。だから、翔子の
存在にどうしてもしがみつきかった。彼女に友だちでいて欲しかった。
いや、栄利子の中では、彼女は友だちで『あらねばならなかった』
その心の動きは、共感は出来ずとも、理解出来なくはなかったです。やっぱり、
友だちがいないって、人としてどこか欠陥があるからなんじゃないかと思われて
しまいそうですから。でもね、そこまで行くと、はっきり云ってもう病気。
だって、脅迫して一緒に旅行行くとか、とても友だちにすることじゃないと
思うし、相手が一緒にいたいと思わないのに、無理矢理一緒にいても
虚しいだけじゃないのかな、と思う。思い込みが激しすぎて、栄利子の
性格にはほんとについていけなかったです。こんな人間に目をつけられて
しまった翔子が気の毒でしたね。ただ、翔子は翔子で問題のある人間なので、
彼女のこともさほど好きにはなれなかったですけど。そもそも、専業主婦で
あんなに家事が手抜きだったら、最近の風潮だともっとバッシングされると
思うんだけど。書籍化の話が出るほどの人気ブログになったというところに
ちょっと首を傾げたくなりました。まぁ、彼女の語り口とか飄々とした感じが
人気だったのもわかるのですけど・・・うーん。
それにしても、一番怖かったのは栄利子の後輩の真織。あの突然の豹変ぶりには
本当に背筋が震え上がりました。元ヤンなんでしょうかね・・・。彼女の奸計にはまった
栄利子の同僚、杉下の今後がちょっと心配です。杉下だって全然好感持てた訳じゃ
ないけど、さすがにあれは可哀想だ。後半の、芋けんぴのシーンの鬼気迫り方は
半端じゃないです。あれで警察沙汰にならないのが不思議でしょうがない・・・。

私もブログをやっているので、翔子のブログのくだりにはいろいろと考えさせられ
ました。他人に乗っ取られて勝手に更新されるとか、私だったら絶対嫌だけど・・・。
ネットで私生活を公開することの怖さも思い知らされましたね。
いろんな意味の怖さが詰まった小説だと思います。なんだかんだで、先が
気になってぐいぐい読まされてしまいました。怖いもの見たさ、というか。
最後、なんだかんだで二人が和解して・・・というような甘い展開はやっぱり
用意されていませんでした(そりゃそうだが)。最後の最後まで、苦さ100%
の作品だと思います。でも面白かったです。友だちって何だろう、と
考えさせられることは間違いないでしょうね。


薬丸岳「誓約」(幻冬舎
薬丸さんの最新作。過去に罪を犯し、顔と名前を変えて新たな人生を歩む
男が、過去に交わした約束によって現在の幸せを脅かされるという話。
かつては顔に醜いあざがあり、まともな職にも就けず犯罪を繰り返していた
主人公。多額の借金を抱え追われていたところ、ある女性と出会う。
その女性は、ある条件で、お金を用立ててもいいと言う。その条件とは、
彼女の娘を暴行し殺した二人組の男が刑務所から出て来たら彼女の代わりに
殺害して欲しいというものだった。彼女は末期のガンで、余命いくばくも
ない状態だった。迷った末男は条件を飲んでお金を受け取り、戸籍を
変えて整形手術をし、新たな人生をスタートさせた。
十数年が経ち、男は向井聡という新たな名前でレストランの共同オーナー
になり、バーテンダーとして働いていた。結婚して可愛い娘もいて、
仕事も順調、順風満帆な毎日を過ごしていた。しかし、ある日、あの時
約束した二人が出所したという手紙が届く。あの時の女はすでに死んで
いる筈なのに何故・・・。約束を果たせ、果たさなければあの時の自分と
同じ苦しみを味わわせると迫る手紙に翻弄させられる向井。死んだ筈の手紙を
書いているのは果たして誰なのか――。

さすがに薬丸さん。読ませる筆力は健在です。過去の約束に怯える主人公の
心情が痛い程伝わって来て、緊迫感がありました。現在の向井が幸せだからこそ、
過去に交わした約束の重さが胸に迫りました。娘の命と殺人の重さという天秤。
向井が殺人という倫理を犯すのか、最後までハラハラさせられました。
手紙を出していた人物は意外でしたね。ああ、そういう繋がりがあったのか!と
驚かされました。ちょっと繋がり過ぎかな?と思わないでもなかったけれど、
そもそもの出発点からして仕組まれていたものだとわかったので、まぁ、
アリかな、と。最後はちょっと拍子抜けしたところもあったのですが、
読後感はそれほど悪くなくてほっとしました。向井が過去に犯した罪は
消せないけれど、過去の彼も性根から腐っていた訳ではなかったとわかって
嬉しかったです。人間の心をちゃんと持っていれば、悪いことをしても
更生出来るんですね。
向井と落合の関係がいいな、と思っていただけに、終盤の展開は辛いものが
ありましたが・・・。
ラスト、写真の裏側に書いてあった文字が何だったのか、気になりました。
向井にとって良いことが書いてあったのは間違いないとは思いますが。
過去に罪を犯した人間が幸せになってもいいのかどうか。犯した罪の種類にも
よると思うので、一概にこうだとは言えないかもしれないけれど、
向井のような人間ならば、私は幸せになる権利は十分にあると思いました。


近藤史恵「岩窟姫」(徳間書店
アイドルとして人気絶頂だった蓮美。しかし、同じ事務所で親友だった
沙霧が突然自殺し、その原因が蓮美のいじめによるものだと彼女のブログに綴られて
いたことから、蓮美の人気は地に堕ちた。しかし、蓮美は沙霧をいじめてなど
いなかった。沙霧はなぜあんなことをブログに書いたのか?蓮美は、自分の
無実を証明する為、沙霧の死を調べ始めた――。
キラキラとしたアイドル業界の裏事情を描いた作品。実際こういうことが
行われているとしたら、アイドルなんてほんとに作られた虚像でしかないんだな、と
唾棄したくなりますが・・・(そうではないと、思いたい・・・)。
美しかった蓮美が、外出できなくて引きこもりになったことであっという間に
20キロ太ってしまうというのはちょっと極端だなぁと思いました。人間、
そんなに短期間で太れるものなのかな^^;一体どんな食生活してたんだ・・・。
人気のある時はあんなにちやほやされていたのに、蓮美がいじめをしていたと
いう噂が流れた途端に手のひらを返したように冷たくあしらわれてしまう、
芸能界って怖い世界だな、と思いました。それが事実かどうかもわからない
ままに、イメージが違ったというだけで非難され中傷される。事務所すら
守ってくれなければ、そりゃ誰も信じられなくなるよなーと思いました。
それだけ厳しい世界ってことなんでしょうけども。
でも、蓮美が自分の名誉を守る為、そして沙霧のことを知る為に、立ち上がって
行動するところがカッコ良かったです。容姿はグズグズに太って綺麗じゃ
なくなっても、彼女の心は凛としたまま変わらずにいたところが素敵でした。
彼女が一番不幸だったところは、事務所に恵まれなかったことでしょうね・・・。
別の事務所にいたら、もっと違ったアイドル人生が歩めたんだろうなぁ。
でも、そうだったら沙霧にも会えなかったでしょうけれど。蓮美は、それは
望んでないでしょうね。
斎木の正体には驚かされました。怪しげな仕事してるし、最初は胡散臭いだけの
人物だと思ってたんですが・・・意外でした。人間不信に陥ってる蓮美にとっては、
ああいう胡散臭さの方がかえって信じられたのかもしれないですけどね。
彼女の人を見る目が正しくて良かったです。

沙霧があんな風になっちゃったのはショックだったけど、ラストは少し
救われる気持ちになりました。ただ、蓮美にとっては良かったかもしれないけど、
沙霧にとってはどうなのかな・・・あの状況は・・・。彼女にとっては、苦しい
だけなのかもしれない。
それに、沙霧が自殺した理由には暗澹たる気持ちになりました。出来れば、
自殺する前に蓮美に相談してあげて欲しかったな。そうしたら、お互いに何かが
違っていたんじゃないのかなって思えて残念でした。
リアルな芸能界でこんな出来事がないといいな、と思いました。