マカンマランシリーズが大のお気に入りになった古内さんの新作。マカンマラン
シリーズは、優しく心温まるお話ばかりだったけれど、こちらはひんやりとした
悪意が散りばめられていて、胸をえぐられるようなお話が多かった。花言葉が
モチーフになったお話ばかりが集められているのですが、その花言葉が、
悪い意味よりの不穏なものが多いというか。その理由はラストから二番目のお話で
明らかになるのですが。あと、すべてがきょうだいのお話(姉妹、兄弟☓2、兄妹、
姉弟、姉義妹と、続柄同士はいろいろですが)。きょうだい間って、いろんな
感情が芽生えますからね。それぞれの家庭で、関係性も全然違うし。ここに出て
来るきょうだいたちのように、悪意や嫉妬が芽生えても、全然不思議じゃないと
思う。血が繋がった家族への仄暗い感情は、読んでいて気が滅入って来たけれど。
私も兄と姉がいるので、共感出来る感情もありました。まぁ、そんなにきょうだい
仲は悪くなかったですけど。でも、家族だからこそ抱く感情っていうのもある訳で。
長男である兄は、やっぱり親に大事にされているなと感じていたし。姉とは、
根本的な性格が正反対な為、その言動には小さい頃から振り回されて来たし。
それでも、やっぱり家族だから大事なことに変わりはないけれども。
ツイッターに出て来る花言葉診断と、それぞれの物語の主人公のその時の境遇が
リンクして行くお話の展開は、うまいなぁと思いました。オチが大抵暗いので、
最後までこうだったら読後感悪そうだなぁと思っていたのだけれど・・・最後の
お話はスカッと終われる古内さんらしいお話だったので、痛快な気持ちで
読み終えられました。特に、その一つ前の『ツリフネソウの姉弟』のオチが
あまりにも暗かったので・・・どんよりした気持ちになっていただけに、
余計にラストの一作が救いに思えました。それにしても、『ツリフネソウ~』
に出て来た、ツイッターの花言葉診断の作者の正体にはビックリでした。
若くても、才能ある人っていうのはいくらでもいるんでしょうねぇ。現実に、
こういうことをやってる同じくらいの年齢の人も多そうですし。私にはとても
無理ですけど・・・。その人物の終盤の行動には息が止まりそうになりました。
目の前でこんなことをやられた日には・・・家族だったらショックでたまらない
でしょうね。
その暗いお話の後で、最終話の『カリフォルニアポピーの義妹』を持って来る
辺り、古内さんの構成の巧さを感じました。主人公の義妹になる女性の髪が
オレンジ色ってだけでも、画面に明るさが浮かび上がって来る感じがして、
華やかでした。最初の登場は最悪でしたけど・・・。その後の彼女の本性を知って、
なんで彼女はわざわざ義姉になる人に対して、ああいう態度を取っていたのかなぁ
と、ちょっと首を傾げてしまったところはありましたけど。まともに挨拶しようと
思えば、いくらでも出来る分別は持っていたはずなんですが。まぁ、弟といる時
の普段の彼女で会いたかったのでしょうけどね。
面接の結果はちょっと残念。一緒に働いたら、いい右腕になりそうなのになー
と思いました。ま、気を使うのは間違いないでしょうけど。
普段あまり馴染みのないお花が扱われているので、実物の写真(白黒でもいいから)
でも挿入されていたらイメージしやすかったかもしれないなーと思いました。
彼岸花の英語名がリコリスというのは知らなかったです。リコリスって名前自体は
聞き覚えがありましたけど。
私も自分の名前で花言葉診断してみたくなりました(暗いのが出たらイヤ
だけど^^;)。