ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

畠中恵「とるとだす」/大門剛明「婚活探偵」

こんばんは。天気の悪い日が続いてますね。猛暑も嫌だけど、もうちょっとすっきり
晴れて欲しい気もするなぁ。
そういえば関係ないんですけど、庭のプランターで今年、きゅうりの苗を二本植えたんですよね。
んで、そのうちの一本はすくすく育って何本か立派なきゅうりが収穫出来ているのですけど
(まだ成長中)、もう一本が全く成長しなくて。花芽はつけるけど、一向に花は咲かないし、
きゅうりらしき実も出来ず。苗自体は伸びて成長しているように見えるのに、一体なんでだろう?
と首を傾げていたら、ある日ついに花が咲いたんです・・・と、ここまでは良かったのですが、
その花の様子がどうもおかしい。なんか、やたらと花がでかいんですよ。んで、よく見ると、
葉っぱの形も、もう一本の苗とは明らかに違う。ん?んんん??これはもしや・・・と
ネット検索してみたら、どうやらこの苗、かぼちゃらしい。しばらくして、一つの花のところに、
本当に丸っこい実が・・・!どうやら、この苗、かぼちゃの苗を台木にして、接ぎ木をした
きゅうり苗だったらしい。そして、台木のかぼちゃの苗の方がきゅうりよりも育ってしまった
という訳。もっと早めに気づいてかぼちゃ部分を切ってしまっておけば、きゅうりとして
育ったのでしょうが。これはこれで面白いので、そのまま育てることにしました。んで、実が
なったかぼちゃは、日々巨大化している途中です・・・(現在、直径15センチほどになっている
でしょうか)。こういうことは、接木苗を買った時に結構あることらしいです。でも、台木に
使うかぼちゃは食用には適していない種類が多いらしく、収穫出来たとしても、美味しく
いただける可能性は低そうですけれどね(苦笑)。


余談が長くてすみません^^;今回も二冊ご紹介。


畠中恵「とるとだす」(新潮社)
年一回のしゃばけシリーズ最新作。今回は、帯に不穏な言葉が書かれてあったので、どうなる
ことかとひやひやしながら読んでました。中にショックなタイトルのお話も入っていたし。
のっけから、一太郎の父親・藤兵衛さんが、薬屋仲間たちから飲まされた得体の知れない
薬のせいで、倒れる羽目に。それを受けて、一作を通して、藤兵衛を助ける為に、一太郎
妖たちが奮闘する、という連作短編形式になっています。先に述べたように、四話目のタイトルが
あまりにもショッキングなので、最悪の事態を想定していたのだけど・・・ちょっと肩透かし
だったかなぁ。いや、ほっとしたのも事実なのだけど、この四話目のタイトル、ちょっと
どういう意図でつけたのかよくわからなかったです。いや、読者を撹乱しようと思ったのは
間違いないのだろうけれど。内容に見合っているとは思えなかったんで。
病弱な一太郎よりも早くおとっつぁんの方が身罷ってしまう羽目になったらどうしようかと
思いましたよ。狂骨が出て来て、一層藤兵衛さんの身が心配になりましたが、ついつい、
狂骨と聞いて京極さんのあのシリーズを思い出してしまった。狂骨になってしまったあの人の
想いがただただ、切なかったです。でも、若旦那たちを恨むのは、どう考えてもお門違いなのでは
とも思いましたが。
最後は大黒様が出て来たり、童話のアノ人やアノ人が出て来たり。なんだか、話が大きくなって
来たなぁ、という感じ。このシリーズは、だんだんと若旦那の周りが不穏な空気が漂って来ている
ような。もっと、妖たちとのんびりほんわかしているお話の方が読んでいて楽しいのだけどな。
作者も、なんとかしてマンネリ化を防ごうといろいろ考えているのかもしれないですが・・・
別にマンネリでもいいと思うんだけどね、個人的には。最終話のラストシーンみたいに、
みんなでわいわい宴会しているところが一番ほっこりしますね。とりあえず、最悪の事態が
現実にならなくて良かったです。一太郎の悲しい顔は、見たくないですからね。今回、栄吉が
全然出て来なかったのか残念だった。一太郎と栄吉が仲良くしているところが好きなんで。
栄吉は前作でいろいろあったから、しばらく菓子作りに専念しているのかもしれないですけどね。


大門剛明「婚活探偵」(双葉社
書店で見かけた時から、面白そう!と思ってチェックしていた作品。無事図書館入荷してくれて
良かった、良かった。
大門さんの作品読むの久しぶりだけど、初期の頃の硬質な作品のイメージとはかけ離れた内容
でした。こういう、軽いのも書ける人だったんだなぁ。
主人公は、元敏腕刑事で、現在はやり手の私立探偵をしている黒崎竜司。仕事は出来るし、
部下からは尊敬される強面の探偵だが、アラフォーになり、このまま一人で一生を終えることに
不安を覚えはじめ、思い立って婚活をすることに。とりあえず結婚相談所に登録してみたものの、
なかなか会ってさえもらえない。相談所の相談員、まどかからアドバイスを受けつつ、誠意を
持って婚活に励むのだが、惨敗に継ぐ惨敗で心が折れかけ・・・。果たして、黒崎に幸せな
未来は訪れるのか――。
表面上は強面でハードボイルドな私立探偵が、裏ではひたすら生真面目に婚活に励むギャップが
面白くて、あっという間に読み終えてしまいました。なまじ、性格が真面目なだけに、それが
災いして、なかなか婚活では上手くいかないところが、ちょっともどかしくも、可笑しかったです。
私立探偵という職業は、完全に婚活では悪条件になってしまうのですねぇ。年収500万なら、
今の時代、十分いい条件って気がするけど。多分、刑事のままだったら、もうちょっと受けが
良かったのでしょうけど。やっぱり、探偵っていうと、不安定な印象は持たれてしまうものねぇ。
でも、本人知らないところで、意外とモテてるんじゃないのかな?黒崎。現に、新菜は黒崎のことを
秘かに想っている訳だし。行きつけのバーのバーテンダー、梓紗も黒崎に対して好意的な感情を
持っているような感じがしたんですよね。まぁ、これは勘繰りすぎだったみたいですけど^^
新菜のことはもっと引っ張るのかな、とちょっと期待したのだけど、そのままスルーしちゃって、
ちょっとがっかり。ツンデレな彼女に、もうちょっと活躍してもらいたかったなぁ。ま、年齢が
離れすぎている気もするけど・・・^^;
客観的に見て、黒崎って夫にするには好物件だと思うんだよね。仕事出来るし、真面目で
ギャンブル等もしないし、貯金ちゃんとしてるし、女性に優しいし。絶対浮気もしなさそうだし。
現に、会うところまで行った女性たちにはかなり受けがいい。いろいろ理由があって、成婚
には至らなかったけど・・・ちょっと、運が悪かったですね。まぁ、黒崎自身にも理由はあった
のですけども。最後はあの女性とどうなるのかなーと思いましたが・・・なんとも、微妙な
結末で^^;でも、希望は持てそうな感じかな?黒崎はとても良い人なので、ちゃんと幸せに
なって欲しいな。
軽く読めて、とても面白かったです。