ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

山本弘「君の知らない方程式 BISビブリオバトル部」(東京創元社)

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シリーズ第四弾。今回は、空の恋愛がメイン。あのSF小説バカの空が恋愛!!

しかも、なぜか突然三角関係!!!前作から、ちょっと武人に対して気持ちが

動いているのかも?って予感はしていたから、彼との恋愛がメインだったら

もっとワクワクして読めたと思うんですが、思わぬ伏兵が出て来て、全く

予想外の展開になって目が点状態。思うんですけど、山本さんって、恋愛小説

書くのは全く向いてないんじゃないかしら。男女の恋愛感情の機微の部分、

まったく私には共感出来なかった。まぁ、このシリーズの登場人物が特殊な

性格しているせいなのかもしれないですけど、それにしても、空を始め、

彼女を巡る二人の男性それぞれに関しても、恋愛に関してはツッコミ所満載。

そうじゃないだろ!って何度ツッコミ入れたくなったことか・・・!!

当の空本人そっちのけで、男性二人でどちらが空と付き合うか決着をつけようと

するところもおかしいし、それをビブリオバトルで競うってのも変だし。

いやいや、恋愛ってそうじゃないでしょ、と叫びたくなりました。みんな、

自分のことしか考えてないじゃん。でも、一番がっかりしたのは、空自身が

出した答えですよ・・・!!何、ソレ。人のことバカにしてんの!?って

言いたくなりました。でも、男性陣は彼女の答えに納得してて。それにまた

ガックリ。どこまでもズレた人たちだなぁ。これ、少女マンガだったら、ほんと

編集部にものすごい苦情が殺到するんじゃないかしら。こんな結末だったら、

空の恋愛なんか書かない方が良かった気がするよ・・・。彼女の辛い過去の

部分をもっと掘り下げるとかさ。いじめっ子が空のバイト先に来るくだりの

顛末にはスカッとしたのになぁ。あの武人の行動で、普通に彼に心を動かされる

って展開にするとかだったら、全然印象が変わってたと思うのに。なんかもう、

いろいろとがっかりな展開だった。こういう意表をつく展開にすること自体が、

SF作家らしいんだろうか。だとしたら、やっぱり私にはSFって合わないや。

ビブリオバトルの部分は相変わらず楽しめたんですけどね。

続きは気になるところですし、作者ご自身ももう第5弾の構想があったそう

なのですが、悲しいことに、作者の山本さんは少し前に脳梗塞を患われて、

今は闘病中とのこと。回復には向かわれているそうですが、ご本人が、もう

作家活動が出来るかわからないようなことをおっしゃっていたらしい・・・

奇跡が起きて欲しいと願わずにはいられません。

シリーズを、もやもやしたこの作品で終わりにしてほしくないです。

第5弾が出ると信じたいです。