二人組ボーカルユニットYOASOBIの『大正浪漫』の元となる原作小説。現代に
生きる中学男子の時翔と、大正時代に生きる少女千代子、時空を超えた文通相手
に恋をする二人。千代子からの告白に、自分の想いも伝えようとした時翔だったが、
千代子の世界で大地震が起きて――。
読みやすいので、今回もすぐに読めてしまいました。ツッコミ所満載過ぎるような
内容ではありましたが、歌詞の世界観を体験出来ただけでも良かったのかな、と。
この原作を踏まえた上で、また曲を聴いたら、違った感慨がありそうです。
主人公の時翔君のまっすぐで優しい性格は良かったですね。千代子ちゃんとの
初々しい手紙のやり取りにも甘酸っぱい気持ちになりました。
ただ、第三章の展開は、さすがにご都合主義過ぎて、興ざめしたところも
ありましたけど。いくら何でも、偶然が過ぎるでしょ・・・。さすがに、サツキまで
が繋がっているのはやりすぎじゃないですか・・・。伏線が回収されたという
意味ではすっきりしましたし、構成の上手さに感心するところでもあるんですが。
ただ、リアリティとしてはゼロに近いですね。ま、ファンタジーですし、そこを
突っついても仕方ないってところもありますけどね。
でもまぁ、時翔と千代子の想いがそれぞれ最後に伝わって良かったです。
冒頭の一節から、時翔のひいおばあちゃんが誰なのかは明らかですね。作品中に、
自分の子供につけたい名前って言ってましたからね(結局女系のせいで、ひ孫に
つけることになった訳ですけど)。
この作品の内容を踏まえて、改めて『大正浪漫』を聴き直してみたいな、と思い
ました。