ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

NATSUMI「大正浪漫 YOASOBI『大正浪漫』原作小説」(双葉社)

f:id:belarbre820:20220127202858j:plain

二人組ボーカルユニットYOASOBIの『大正浪漫』の元となる原作小説。現代に

生きる中学男子の時翔と、大正時代に生きる少女千代子、時空を超えた文通相手

に恋をする二人。千代子からの告白に、自分の想いも伝えようとした時翔だったが、

千代子の世界で大地震が起きて――。

読みやすいので、今回もすぐに読めてしまいました。ツッコミ所満載過ぎるような

内容ではありましたが、歌詞の世界観を体験出来ただけでも良かったのかな、と。

この原作を踏まえた上で、また曲を聴いたら、違った感慨がありそうです。

主人公の時翔君のまっすぐで優しい性格は良かったですね。千代子ちゃんとの

初々しい手紙のやり取りにも甘酸っぱい気持ちになりました。

ただ、第三章の展開は、さすがにご都合主義過ぎて、興ざめしたところも

ありましたけど。いくら何でも、偶然が過ぎるでしょ・・・。さすがに、サツキまで

が繋がっているのはやりすぎじゃないですか・・・。伏線が回収されたという

意味ではすっきりしましたし、構成の上手さに感心するところでもあるんですが。

ただ、リアリティとしてはゼロに近いですね。ま、ファンタジーですし、そこを

突っついても仕方ないってところもありますけどね。

でもまぁ、時翔と千代子の想いがそれぞれ最後に伝わって良かったです。

冒頭の一節から、時翔のひいおばあちゃんが誰なのかは明らかですね。作品中に、

自分の子供につけたい名前って言ってましたからね(結局女系のせいで、ひ孫に

つけることになった訳ですけど)。

この作品の内容を踏まえて、改めて『大正浪漫』を聴き直してみたいな、と思い

ました。