ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

麻耶雄嵩「化石少女と7つの冒険」(徳間書店)

麻耶さん最新作。シリーズ二作目に当たりますが、前作の内容を全く覚えており

ませんでした。恐ろしいことに、ブログ友達のゆきあやさんのところで本書の

記事を見かけて、前作を読んだことすら忘れていたので、自分の記事検索かけて

みたら、ちゃんと読んでいたという。麻耶さんの作品って、結構ラストが強烈

なのが多いから、なんで忘れていたのか謎。当然ながら、衝撃的なラストだった

はずなのに(自分の記事調べ)。

あ、前作のその衝撃のラストのネタバレが、本書の初めの方から堂々と出て来ます

ので、前作を未読の方は、まずは必ずそちらを読んでから本書を読まれた方が

よろしいかと(←覚えてないかったくせに偉そうに)。

本書を読んでいる間に、少しづつ、主人公のキャラとか化石少女まりあのキャラとか

はぼんやり思い出して行きましたね。

部員二名の零細クラブ・古生物部の部長で化石マニアの神舞まりあと、彼女の

お目付け役であり副部長の桑島彰が、学園内で起きる7つの殺人事件を解き明かす

学園ミステリー。全体的に、ツッコミ所がありすぎる設定ですが、まぁ、麻耶さん

だからさ・・・。そもそも、同じ学園内で、いくらなんでも、短期間に殺人事件が

起こりすぎじゃない!?金田一少年かよ!ってツッコミたくなりましたよ(笑)。

語り手の桑島も、学園内で殺人事件が起きても、『この学園では殺人が風物詩

みたいなもの』とか表現してるし。おい!殺人が風物詩って!!!(ひー)

こんな学園ヤダーーー。

しかも、それぞれの殺人事件を一応まりあが推理して、犯人を特定したりは

するんですが、それを横から桑島だったり、途中から古生物部に入部した後輩

高萩だったりが否定して、まりあの探偵活動を妨害するものだから、結局

事件はそのままお蔵入りするものが多く。一作読み終えるごとに、読者は

もやもやを抱えたまま次の話に進む訳です。殺人犯が捕まることなく、同じ学校

に居続けられることにもなります(大抵犯人は学園関係者)。桑島はまりあの

推理が正しいことに気づいているから、逃げ果せた殺人犯と普通に会話したり

することもある。いや、普通無理でしょ・・・。ただ、桑島の場合は自分自身が

抱えている秘密もあるので、感覚がマヒしてるんでしょうね。高萩もそうだし。

みんな、どっか異常な人物ばっかり。まともなのはまりあくらい?いやまぁ、

化石バカだし変な子なのは間違いないけどさ。

 

 

以下、若干ネタバレ気味です。ラストに触れています。

未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

毎回モヤモヤした読後感で、最後一体どうなるんだろうなぁと思いましたが、

さすがにそこは麻耶さん。ちゃんとラスト一作には仕掛が施されていました。これは

完全に騙されてましたねぇ。まりあがあの人物と付き合っていたというのにも

びっくりしたけど。えぇ、どういう流れでそうなったの・・・とちょっとショック

だった。まぁ、確かに桑島と恋仲になることはないだろうとは思いましたけど

・・・完全に下僕だし。でも、表面上の関係性はそうでも、なんだかんだでちょっと

は恋愛感情あったりするのでは?って思ってたんですけどね。桑島の方はそうでも、

まりあには全くなかったってことなんでしょうね。桑島はあれだけのことをして

まりあを守っていたのに、なんか報われないなぁ、と気の毒になりました。

ああでも、桑島だって、同級生の美少女・亜希子とキスしたりしてたんだから、

お互い様か。それにしても、主要登場人物がほとんど○○○って!(まりあは

除外)どんな話やねん!!(なぜか関西風ツッコミ)

この黒さがなんとも麻耶さんらしくて笑っちゃうレベルですけどね。

さて、このラストを受けて、更に続編は出るのでしょうか。まりあ大学編とか?

桑島はやっぱりまりあを追いかけて同じ大学に入ったりするんですかねぇ。

まりあに恋人もできたし、さすがにもう、お役御免かな。