謎解き直前に『読者への挑戦』が入る、犯人当てに特化したアンソロジー。六作が
収録されています。米澤(穂信)さんの小市民シリーズのもののみ既読だった
ため、そちらは読み飛ばしましたが。なかなかに豪華な作家陣で読み応えありました。
予約本ラッシュで好きな作家のだけ読もうかと思いましたが、全部読みたかったので、
結局読まなかったのは既読の米澤さんのみで、他は全部読んじゃいました(笑)。
犯人当て小説ですが、推理出来たものはひとつもなく。というか、考えることすら
放棄して、さっさとページをめくったのでした(苦笑)。
では、一作づつ感想を。
市川憂人『赤鉛筆は要らない』
『ジェリーフィッシュは凍らない』のスピンオフらしい。実は、『ジェリー~』は
挫折してまして。巷の評価が高かったのでちゃんと読み切りたかったのですが、
どうにも世界観に入って行けず。なんか、SFっぽかったんだよね。冒頭の方で
挫折しちゃったから、もうちょっと読み進めてたら違った感想だったかもしれない
のですけど。こちらは短編だし普通のミステリだったので読みやすかったです。
雪密室もの。足跡の真相はなかなかおもしろかったです。なるほどって感じ。
タイトルの意味も、最後にわかりました。九条の手紙の答えだったんですね。
米澤穂信『伯林あげぱんの謎』
先述したように、既読だったため今回は読み飛ばし。内容ばっちり覚えてますし。
ただただ、小佐内さんが災難だったという感想しかないけれど(苦笑)。
東川篤哉『アリバイのある容疑者たち』
ア○クサという新しいものを取り入れるところが東川さんらしい。しかも、なぜか
意思もってるし(笑)。スマートスピーカーと探偵のやり取りがコントみたいで
可笑しかったです。アリバイ崩しとしては割とオーソドックスな真相。いくら
お酒飲んでいても、電車の中でアレを4時間以上もするってのはちょっと無理が
あるような気もしましたが。
麻耶雄嵩『紅葉の錦』
温泉旅館で起きる殺人事件が題材。チュウルウ様とか洞窟とか、個人的には好み
ど真ん中の舞台設定。大学生たちがメインの登場人物だし、ちょっと金田一少年
みたいな感じ(あっちは高校生だけど)。同じ旅館に居合わせた木更津探偵が
謎を解くことに。木更津さん、久しぶりだなー。動機は匂わせ程度ではっきり
書かれなかったのがちと消化不良。合宿に来なかった子には一体何があったのか。
そして、ラスト一行の語り手の奇禍に頭が真っ白に。ええー、どういうこと!?
何かいろいろ謎が残ったままだったな。でも、これが麻耶さんらしいのかも。
事故物件で起きる殺人事件の謎を解くお話。エアコンフィルターを犯人が持ち去った
理由には、なるほど、と思いました。被害者が殺されたのは自業自得だとしか
思わなかったですけどね。事故物件に住もうという気になること自体、私には
ありえないですけどね。
白井智之『尻の青い死体』
映画製作現場で起きた殺人事件の謎を解くお話。白井さんはずっと気になっていた
作家さんなので、読めて良かったです。でも、多分本来もっとシュールな作風
なじゃないかと思うんですけど。これは割と普通の謎解き小説。被害者の女優
のキャラが鼻について好きになれなかった。殺されていいとは思わないけど、
自業自得の面もあると思いましたね。被害者の尻に残っていた蒙古斑の設定が
もっと謎解きに絡んで来るのかと思っていたのでちょっと拍子抜けだった。ラスト
一行が書きたいが為の設定だとしたらちょっと外していたような・・・^^;