ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

加藤実秋/「Dカラーバケーション インディゴの夜4」/東京創元社刊

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加藤実秋さんの「Dカラーバケーション インディゴの夜4」。

2006年5月、大幅改正された風俗営業法の施行により、風俗営業に該当する店は営業形態の
変更を余儀なくされることとなった。club indigoも例にもれず、現在の営業形態を変更せざるを
得なくなり、営業時間を一部と二部に分けることになった。それによって、一部を担当する
レギュラーメンバーと、二部を担当する若手メンバーとの間に溝が出来てしまい、お店の空気が
悪くなりつつあり、オーナーの晶は頭を悩ませていた。そんな中、若手メンバーたちが相次いで
小さなトラブルに見舞われる出来事が起きた。ジョン太によると、最近巷を騒がせている都市伝説
が原因だと言うのだが――渋谷のホストクラブを舞台に繰り広げられる大人気ホストミステリー、
シリーズ第四弾。


インディゴシリーズ新刊です。出版形態が今回初めてミステリフロンティアのソフトカバーでは
なく、一般書の単行本形式になりました。でも、このシリーズはやっぱりソフトカバーで統一
して欲しいなぁ。なんとなく、ソフトカバーのライトさが合っていると思うので・・・。内容は
従来通りのキャラ重視のドタバタなので、ちょっと単行本だと違和感あるような。昼ドラで
人気が出たことで、出世(?)した結果なのかもしれないですが。結局昼ドラの方はほとんど
観ることが出来なかったのだけれど、割とキャラのイメージとかは合っていて、ストーリーも
結構原作に忠実っぽい感じだったので(実際はどうか知りませんが^^;)、ちゃんと観て
みたかったなぁ。晶さん役の森口瑤子さんはなかなかハマリ役だったのでは。この作品をネット
検索していたら、森口さんのブログにHITしたので覗いてみたら、本書もいち早く読まれていて、
とてもこのシリーズに愛着が湧いてらっしゃるようで、嬉しくなりました。でも、今回の作品の
中に、ドラマから生まれたキャラが出て来ると書いてあって、どのキャラかすごく気になりました。
『シークレットなあの人の側にいた』って書いてあったけど・・・誰なんだーー!?^^;;

今回は一作ごとに新キャラが出て来て、またも晶さんの活躍は控えめ。でも、どのキャラもなかなか
個性的で好感が持てたので、また一回りインディゴの世界が広がったかな、という感じがしました。
ストーリーとしては相変わらず先の展開が読みやすく、ミステリを期待すると大きく肩透かしを
食らわされるお話ばかりなのだけど、キャラの良さでそれをカバーしている感じ。ただ、キャラが
軽い割に、文章はそんなに読みやすいと思わないんだよね、この方・・・^^;でも、夜の世界の
お話な割にあっけらかんとしたインディゴの世界は大好きなので、今後も追いかけたいシリーズ
ですね。


以下、各作品の感想。

『7days活劇』
エコ女のチープすぎる都市伝説には苦笑しきり。このビジュアルでどうやって怖がれっていうのだ^^;
ことの真相もちょっと肩透かし。まぁ、だいたい毎度のことなんだけど。二部の若手ホスト、手塚
以外は誰が誰だか。今後はもっと他の二部キャラも個性が出て来るのかな。手塚のキャラは、
どうしても図書館戦争シリーズのあの手塚を頭に思い浮かべてしまう自分がいました・・・。

『サクラサンライズ
カリームの正体は誰もが予想がつくでしょうね。伏線があからさますぎ。当然その通りのオチ。
いい意味でも悪い意味でも、奇を衒わないストーリー展開。こういうのがドラマ化された理由
なんだろうな、とは思いますが。カリームと手塚の友情は良かったですね。手塚は冒頭の『7
days~』ではあまりいい印象がなかったのだけれど、この作品で一気にいい印象に変わりました。

『一剋』
晶と常に敵対している刑事の豆柴(柴田)のピンチをインディゴのメンバーが救うお話。
東京創元社の著者解説を読んでいたら、どうやらこのお話に出て来るキャラがドラマから生まれた
キャラらしいというのがわかりました・・・ってことは、スイーツ刑事・早乙女君のことか?
確かに、ドラマにそんなのがいた気がしてきたぞ・・・(何回かは観たことがある)。早乙女君、
なかなかにいい性格の好青年なので、今後も活躍して欲しいですね(彼のスイーツ、食べたいゾー)。

『Dカラーバケーション』
インディゴ始まって以来、初めて憂夜さんが一週間の休暇を取ることに。憂夜さん不在のインディゴ
に憂夜さん絡みの事件が起きるお話。ついに憂夜さんの謎が明らかに・・・!?ってことで期待して
読んだのですが、最後まで読んでも結局彼の謎は深まるばかりでした・・・。なぎさママ大活躍。
43万円ことまりんちゃんも元気です^^
そして、存在をすっかり忘れていた(^^;)カリスマホストの空也が再登場。なんとなく、空也
のビジュアルはソフィアの松岡君を思い浮かべてしまう(苦笑)。インディゴにとって、いかに
憂夜さんが大きな存在かがわかります。それにしても、気になるのは憂夜さんの年齢。今まで
せいぜい30代くらいだと思っていたのだけれど、25年前に成人していたってことは・・・!?
表題作だけあって、この作品が一番好きだったかな。宝石鑑別の薀蓄も勉強になりましたしね。
新キャラの宝石鑑別士・章司君もナイスなオカマキャラで気に入りました。また登場して欲しいな。



それにしても、今回も晶さんのおばさん発言は痛いのが多かったなぁ。今時の40歳はここまで
おばさん発言しないと思うんだけどなぁ。この辺り、完全に作者のオヤジ趣味が反映されて
ますね・・・^^;
どんどんキャラが増えて行くので、更に名前とキャラが一致しなくなりそうですが(^^;)、
まだまだインディゴのメンバーたちには渋谷の街で大暴れして欲しいですね。