ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

「不思議の足跡 日本ベストミステリー選集」/光文社文庫刊

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日本推理作家協会編「不思議の足跡 日本ベストミステリー選集」。

日常のすぐ隣りで不思議の世界は扉を開けている。光と闇、論理と非論理の境界線―ジャンルの枠を
越えた逸品15編(紹介文抜粋)。



「不思議」をテーマに選ばれたミステリーアンソロジー。既読も結構あったのですが、読んだか
どうか微妙なものは一応読みました。既読だとしてもほとんど内容覚えてなかったので、初読と
同じように楽しめました。ミステリーっぽくないのもありましたが、それぞれに味わいがあって
楽しめる作品ばかりでした。初めましての作家さんは高橋克彦氏だけかなぁ。もしかしたら
どっかのアンソロジーとかでは読んだことがあるかもしれませんが。ただ、評価としてはちょっと
微妙。以前から気になっている作家さんではあるのですが・・・(『ゴッホ殺人事件』とか)。
長編も読んでみたいって気にはならなかったなぁ^^;
『不思議の足跡』ってタイトル通り、ちょっと変わった不思議なお話が多かったです。好きな
作家さんの作品はだいたい楽しめましたね。
いろんなタイプの作家の作品をちょっとづつたくさん楽しめるっていうのが、アンソロジー
醍醐味。バイキングとか、中華の点心食べてるみたいに、いろんな味を一度にちょっとづつって
のがいいんですよね。最終的にはお腹いっぱい。出来に多少バラつきはあるものの、手堅く
まとめられた作品も多く、バラエティに富んでいて、読み応えのあるアンソロジーでした。



以下、各作品の感想。
既読の作品で読み飛ばしたものは、過去の記事に飛べるようにしておきます。
読んだか不確かでも、読み飛ばさなかったものは感想を載せておきます。

伊坂幸太郎『吹雪に死神』
『死神の精度』に収録されてた作品なのかな?全然内容覚えてなかったけど^^;久しぶりに千葉
に会えて嬉しかったです(*^^*)。

石持浅海『報い』
地球外生命体であるムーちゃんのキャラは多分どっかで出会っていると思うんたけど、どこだったか
思い出せない^^;痴漢男が死んだ理由は、完全に自業自得でしたね。タイトル通りの作品。

恩田陸『あなたの善良なる教え子より』
既読。いのちのパレード

鯨統一郎『ナスカの地上絵の不思議』
多分既読なんで、再読。あのナスカの地上絵の謎を解き明かすトンデモ推理には目が点。最近
このシリーズの新作が出たので、早く読みたいと思ってます。

桜庭一樹『暴君』
桜庭さんらしい作品ではあるんですが・・・ちょっと書きたい焦点が絞りきれておらず、結局
何が書きたかったのか、よくわからなかったです。短編で収まる作品じゃないのかも。

柴田よしき『隠されていたもの』
前に有川浩さんの短編で読んだゴミ屋敷の話を思い出しました。嫌悪感もあの時と一緒・・・。
こんな隣人がいたら、ほんとに気が狂いそうです。ホラーとしてはなかなか完成度の高い一編。

朱川湊人『東京しあわせクラブ』
これもぞくっとさせるオチがいいですね。クラブの名前はほのぼのしてるのに、その実態は・・・
なんて悪趣味なんでしょう^^;『しあわせ』の漢字って、もしや『死合わせ』・・・?

高橋克彦『とまどい』
ショートショートと言ってもいい位の短さ。なんだかパンチに欠ける。即行で内容忘れちゃいそう^^;

畠中恵『八百万』
稲荷神の主人公一行のキャラは良かっし、畠中さんにしては(失礼^^;)、ミステリとしても
面白かったのですが・・・しゃばけシリーズの二番煎じって印象はあったかな^^;

平山夢明『オペラントの肖像』
既読。独白するユニバーサル横メルカトル

松尾由美『ロボットと俳句の問題』
『ハートブレイクレストラン』の続編?読んだの昔過ぎて、どうやって終わったか覚えてないんで、
もしかしたら、この作品が最後に収録されていたのかも・・・?^^;久しぶりにハルさんや
ライターの寺坂さんに再会出来て嬉しかった。またこのシリーズ書いてくれないかなぁ。

道尾秀介『箱詰めの文字』
これ、絶対どっかで読んだ記憶があるんだけど・・・どこでだったか全然思い出せない^^;
さすが、終盤のゾクリとさせるどんでん返しは巧いですね。道尾さんにしては大人しめでは
ありましたけど。救いのない結末にゲンナリ

宮部みゆき『チヨ子』
これは可愛いお話で良かった。ほのぼの。でも、良く考えるとちょっと怖いような気も。私だったら
間違いなく、たれぱんだの姿に見えるでしょうね・・・(苦笑)。

山田正紀悪魔の辞典
これはダントツワースト。読みにくいわ、結局何が言いたいのかよくわからないわで、一番
つまらなかった(黒べ)。

米澤穂信『Do you love me?』
菜摘みたいに、事あるごとに『私の事好き?』って聞いて来られたら、普通は鬱陶しくて
仕方ないでしょうねぇ。とんでもない愛の確かめ方もあったもんだ・・・。幽霊が視えて、
万年不機嫌の渡良瀬のキャラは気になりました。シリーズ化されるのかな。



良かったのは柴田さん、朱川さん、松尾さん、道尾さん、宮部さんで、ワーストは山田さんかな。
久しぶりに再会出来たキャラも何人かいたので、懐かしかったし嬉しかったです。
好きな作家さんが多かったので、楽しく読めた一冊でした。