ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

「0番目の事件簿」/講談社刊

イメージ 1

「0番目の事件簿」。

人気ミステリ作家11名のデビュー前原稿を大公開(当時を振り返るエッセイ付)!ミステリファン、
作家志望者必読のアンソロジー

有栖川有栖「蒼ざめた星」
……同志社大学推理小説研究会時代に執筆した江神シリーズ作品 

法月綸太郎「殺人パントマイム」
……京都大学推理小説研究会時代に執筆した犯人当て

霧舎巧都筑道夫を読んだ男」
……駒澤大学推理小説同好会会誌に収録された作品

我孫子武丸「フィギュア・フォー」
……京都大学推理小説研究会時代に執筆した犯人当て

霞流一ゴルゴダの密室」
……ワセダミステリクラブ時代に執筆したデイリースポーツ懸賞付き犯人当て

高田崇史「バカスヴィル家の犬」
……中学時代に執筆した作品

西澤保彦「虫とり」
……SF同人誌<HAL>に収録された作品

初野晴「14」
…… 第38回オール讀物推理小説新人賞に応募した初投稿作品

村崎友「富望荘で人が死ぬのだ」
……大学時代のミステリークラブ機関紙に収録された作品

汀こるもの「Judgment」
……追手門学院大学文芸部の卒業記念誌に収録された作品

綾辻行人「遠すぎる風景」
……京都大学推理小説研究会時代に執筆した『人形館の殺人』原型作品
(紹介文抜粋)



紹介文が長くてすみません^^;個人的な備忘録の為もあり、講談社HPに載っていた各作品の
出典をそのまま明記しておきました。
人気ミステリ作家さんのデビュー前の習作ばかりを集めたアンソロジーです。デビュー前のもの
ということは、=素人作品と同じということ。今でこそどの方も著名な人気作家さんですが、
やっぱりデビュー前の作品はまだまだ青さが残っている感じが否めないかなーと思いました。
オチがないようなものや、意味がよくわからないものもありましたしね。でも、好きな作家
さんの素人時代の貴重な作品が読めるというのは、やはり嬉しいもの。正直、出来にばらつきは
ありましたが、不出来なものもそれはそれで読む価値がある訳で、なかなか興味深い
アンソロジーでありました。
でも、一番楽しめたのって、作品自体よりも、各作品の後に収録されている、各作家さんの
このアンソロジーに向けてのエッセイだったかも。ほぼすべての作家さんが、収録されている、
ご自身のデビュー前作品の稚拙さに辟易し、恥ずかしそうに解説されているところがなんだか
とても微笑ましかったです(笑)。でも、未熟だと言いながらも、どの方も若き日の自分の
作品に愛着があるご様子。作品もさることながら、がむしゃらに作家目指して書いていた頃の
自分が愛おしいのでしょうね。
全体的に、大学のミステリサークル時代に書かれた作品が多かったですね。やっぱり、ミステリ
作家志望の方って、大抵が大学でミステリサークルに入るものなのね。

この中で一番完成度が高いと思ったのはやっぱり綾辻さんのかな。人形館の殺人の原型
だそうで、トリック等もほぼそのままだそう。読んだの昔過ぎて全く覚えてなかったので、
初読のように読めました^^;『不適切な表現』として伏せ字になっている部分に何が書いて
あるのか非常に気になりました。綾辻さんは前後の文章から類推出来るみたいなことをおっしゃって
ますけど、さっぱりわからなかった^^;
西澤さんのと汀さんのは何が書きたいのかいまいちよくわからなかったですね。どちらも、
もうちょっとミステリよりのものが読みたかったかも。
他のはまぁ、可もなく不可もなく・・・って感じでしょうか。素人時代の作品なので、荒削り
なのは仕方がないところですかね。有栖川さんのなんかも、文章がいかにも素人って感じで、
ちょっと読みづらかったかな。原稿は基本的にほとんど手直ししてはいけないという条件が
ついているので、みなさん読み直して手直ししたい衝動に身悶えられたようです(笑)。

作家さん泣かせの企画だったようですが(笑)、読む側は作家さんの貴重な初期原稿が読めて
楽しかったです。