ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

南綾子「ぬるま湯女子会、38度 ときどきちょっと熱い」/「アリス殺人事件 不思議の国のアリス ミステリーアンソロジー」

どうもこんばんは。すっきりしない天気が続いてますねぇ。
早くすっきり秋晴れの天気にならないかなぁ。


読了本は今日も二冊です。


南綾子「ぬるま湯女子会、38度 ときどきちょっと熱い」(双葉社
以前に読んだ『婚活1000本ノック』が面白かったので、借りてみました。
本書に出て来る四人の女性も、日夜婚活に励むアラサー・アラフォー。婚活に失敗しては、
四人ないし三人で集まって、愚痴大会を繰り広げる。出て来る失敗談の数々に
大いに笑わせてもらいました。それにしても、彼女たちが出会う男性が、見事にみんな
絵に書いたようなダメンズばっかり。もうちょっとましな人、世の中にいくらでも
いると思うんだけど・・・^^;
とはいえ、彼女たち自身にも問題は大いにありまして。その言動を読む度に、そりゃ、それじゃ
結婚出来ないわ、と呆れること数知れず。本人たちは至って真剣に婚活に取り組み、幸せな
結婚がしたい!と切実に思っているのはわかるのですけれど・・・。
モテるのに、ダメな男ばかりにアタックする派遣OLのメーコ。元劇団女優で、理想が高い割に、
付き合った男にすぐ身体を許してしまうコールセンター勤務のカワイ、彼氏いない歴=年齢で、
恋愛感情がよくわからないという太めの事務員、サモさん。全身ブランド品を身につけ、
メガバンクに勤める、身持ちの堅い成田屋。それぞれに、それぞれの理由で婚活は難航する。
同じ志を持った同志、といった四人の関係が良かったです。これが学生時代からの友人
とかだと、もっとお互いに複雑な感情を持つと思う。四人は、ある婚活パーティで
知り合った『婚活仲間』。定期的に女子会を開いては、お互いの婚活近況を報告し合い、
ダメ出しをしたり、アドバイスし合ったりして、励まし合うのです。あくまでも『同志』
だから、腹蔵なくダメなものはダメと言い合える。友達じゃないからこそ、言いたい
ことがあけすけなく言えるのです。
私も結婚が遅かったクチなので、身につまされる部分がたくさんあったなぁ。
まぁ、共感出来ない部分も、もちろんたくさんありましたけど・・・^^;
アラサーを過ぎてから、結婚に焦りだす気持ちはすごくよくわかります。私も、
独身の友達も多かったのだけど、大学時代の友達なんかはみんな先に結婚しちゃって、
一人取り残された、みたいな気持ちに何度もなりましたもの。一定の年齢超えると、
開き直る境地になって行くんですけどね・・・(それが、また結婚を遠のかせる一因
だったりして^^;)。
四人が四苦八苦しながら婚活に取り組む姿は、今時の婚活事情が見事に反映
されていて、非常にリアルでした。
四人のうち、婚活に成功出来るのは何人いるのか。その結末もまた、実にリアル
な数字だなぁと思いました。
そういえば、これを読んで、ついついスーパーでちくわの磯辺揚げを買って来て
しまった。今まで、食べたいと思ったこともなかったのに(笑)。でも、久しぶりに
食べた磯辺揚げはやたらに旨かったです。それにしても、女三人で60本の磯辺揚げを
平らげるって・・・すごすぎ^^;カロリーが怖ろしいです(><)。こんなこと
やってるから、結婚できんのじゃないのか・・・と思ったことは言うまでもありません(笑)。
あ、あと、私もジャッキー・チェンの映画昔大好きだったんで、多分サモさんの鼻歌には
気づけたと思います(笑)。サモ・ハン・キンポーの名前、久しぶりに目にしたなぁ。懐かしー。
婚活に悩む女子必読だと思います。女の本音と実態満載で面白かったです。


「アリス殺人事件 不思議の国のアリス ミステリーアンソロジー」(河出文庫
タイトル通り、不思議の国(+鏡の国)のアリスをテーマにしたアンソロジー
ルイス・キャロルのアリスシリーズは私も大好きなので(もちろん、原作も読んでます)、
こういうアンソロジーにはついつい飛びついてしまいます。
ただ、本書も収録作の多くが既読。とはいえ、読んだのが昔のものばかりだったので、
今回も初読みたいに読めたので問題なかったですけどね(苦笑)。

では、軽く一作づつ感想を。

有栖川有栖『ジャバウォッキー』
ワッカナイやナハの意味にはなるほど、と思いました。犯人が、火村センセやアリスに
いちいち電話をかけて来るのがちょっと意味不明だったけど。止めて欲しいなら、最初から
計画するなよ^^;面倒な犯罪者だなぁと思いました。

宮部みゆき『白い騎士は歌う』
マサシリーズ久しぶりー。登場人物とかすっかり忘れてた。蓮見さんとマサのことはさすがに
覚えていたけども。でも、こんな性格だったっけ?って感じだった。
白い騎士の真相が切ない。犯人の身勝手な動機にも腹が立ちました。

篠田真由美『DYING MESSAGE<Y>』
建築探偵シリーズのスピンオフ。蒼が主人公の青春ミステリー。これはなんとなく
読んだ覚えがありました。といっても、オチとかほとんど覚えてはいなかったのだけど。
ただ、ダイイングメッセージの<Y>の意味には、なんとなく気が付きました。こういう
切羽詰まった状況で、こんなメッセージを残すものかなぁという腑に落ちなさはありましたけど。
でも、久しぶりに蒼に再会出来て嬉しかったです。

柄刀一『言語と密室のコンポジション
これも遥か昔に読んだ作品。覚えてないんだけどさ。地の文で思い描いたことが実体化する、
という設定は面白い。清音の部屋での地の文を読むのは面倒くさかったけど(心のなかで
濁音つけて読みました)。ミステリ的にはかなり凝った作品だと思うんだけど、ちょっと
わかりにくかった。

山口雅也『不在の御茶会』
『ミステリーズ』収録作品だから、これも一度は読んでいる筈・・・ですが、
さっぱり覚えてない^^;っていうか、こんな不条理な作品、覚えてる訳がない^^;
メタ過ぎて、何が何やらって感じでした。こういう作品は苦手だなぁ。

北原尚彦『鏡迷宮』
これだけが、初めましての作家さん。ミステリというより、幻想小説でしょうか。だんだんと
舞台と現実が混沌となって、一体化して行く。解説でも述べられていますが、作家のルイス・
キャロルが出て来る珍しいタイプのオマージュ作品。不思議の国・鏡の国、両方のキャラクター
も続々と登場して、このアンソロジーの中では一番主題に沿った作品かもしれません。