ミステリ読書録

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児玉清/「児玉清の「あの作家に会いたい」 人と作品をめぐる25の対話」/PHP研究所刊

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児玉清さんの「児玉清の「あの作家に会いたい」人と作品をめぐる25の対話」。

小説って、本当に愉しいですね。芸能界きっての読書家・児玉清が、人気作家たちに根掘り葉掘り。
「PHP」誌で大好評の連載対談、待望の単行本化(紹介文抜粋)。


ずっと読みたい読みたいと思っていた児玉清さんの読書関係本。この間ついに隣町図書館の本日
返却棚で発見しました♪
公私ともに忙しい時期に、こういう、さくっと読める作品ってのはいいですねー。ただ、さくっと
読めるんだけど、深いお話も多くて、とても面白かったです。
思った通りというか、児玉さんって、本当に小説が好きなんだなぁっていうのが、どの作家の
インタビューからも伝わって来て、読んでるこちらも嬉しくなりました。それに、ご本人が
「あの作家に会いたい」と思われてオファーを出しているのだから当然といえば当然なのですが、
どの作家さんの作品もきちんと読まれて、作品を正当に評価されてるところはさすがだな、と
思いました。それに、作家さんが対話の中で挙げた他作家の作品などもほとんどをご存知で、
しっかり話について行けるところもすごい。本当に幅広いジャンルの作品を読まれていたの
でしょうね。

もう、冒頭のまえがきからして素敵なんですよ。児玉さんいわく、『面白い本を書いてくれる
作家はある意味で神に近い存在』だそう。そして、同時に作家というのは、『世に出るために
死闘を繰り返す中で生き残って来た戦士』でもあるとのこと。なんて、優しい目で作家さんを
見ているのでしょう。どの作家さんとのインタビューでも、児玉さんご自身がその作家さんとの
対話を楽しんでいらっしゃるのが行間から伝わって来ました。児玉さんの物腰の柔らかさと、
作家さんご本人への敬意の姿勢につられて、インタビューを受ける側も気持ちよく対話が出来て
いるのがわかりました。きっとインタビュー受ける側の作家さんも、児玉さんのインタビュアー
としての魅力に惹かれたんじゃないのかなぁ。ファンだからって、ミーハーな目線で対話するの
ではなく、しっかり作品の本質をついた質問をされていますしね。読書に関する知識の深さにも
脱帽でした。

今回、タイトルにもあるように、25人の作家さんとの対話が載っている訳ですが、好きな作家
がたくさん入っていて楽しかったです。東野さんや三浦しをんさんに、有川さん、万城目学さん、
北村薫さんに桜庭一樹さんなどなど。意外なところで夢枕獏さんなんかも。もちろん、未読の
作家さんもたくさんいましたけれど。やっぱり、好きな作家さんとの対話は面白かったですね。

印象に残った対話はいくつもあったんだけど、読んだのが少し前なので細かくは思いだせないや^^;
ただ、児玉さんほどの読書家をもうならせる、桜庭さんの読書量ってやっぱり半端ないんだなー
って思い知らされた感じがしました(苦笑)。

こんな素敵な読書家の児玉さんが急逝されたことは、本当に読書界にとって大きな損失だったと
言わざるを得ませんね・・・。児玉さんには、もっともっといろんな作品を幅広く読んで、
たくさんの本を紹介して頂きたかったですし、もっと違う作家との対談集なんかも読んで
みたかった。ただただ、残念でなりません。天国で、好きな作家の新作をにこにこしながら
読んでらっしゃるんでしょうかね・・・。

きっと、児玉さんご自身も本を書いたら面白い作品が生み出されたのだろうなぁ。『作家は
戦士』なんて発想が出て来ること自体、作家としての才能がありそうに思えるんだけどなぁ。
いつか、ご自身で小説を書いてみて欲しかったです。そういう意味でも、重ね重ね残念です・・・。

児玉さんの読書本は他にもいくつかあるみたいなので、借りられ次第読んでいきたいと思います。