ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

伊坂幸太郎/「PK」/講談社刊

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伊坂幸太郎さんの「PK」。

その決断が未来を変える。連鎖して、三つの世界を変動させる。こだわりとたくらみに満ちた
三中篇を貫く、伊坂幸太郎が見ている未来とは―。未来三部作(紹介文抜粋)。


えーと、昨日記事全部書いて、確認ボタン押して記事確認しようとしたらフリーズしてしまい、
あまりのショックでふて寝をしたワタクシ。仕方がないので再度書きなおし・・・(ToT)。
最近全然やってなかったから、久しぶりに目の前が真っ暗になるあの茫然自失の気持ちを思い出した
次第であります・・・(コピーしながら書け、とアドバイスされてしばらくはそうしてたんです
けどね・・・最近はパソコンの調子も悪くなかったから、完全に油断してました(><))。


まぁ、前書きはそれとして。伊坂さんの最新作。エッセイの『仙台ぐらし』の方も買って手元に
ありますが、今予約本超ラッシュ期間な為、一体いつ読める余裕が出来るのか、自分でも全く
わかりません^^;1、2日で一冊ペースでないと、ほんとに追いつかない状態なので、今
必死で読んでます^^;明日はまた二冊引取りに行かねば。

紹介文に『未来三部作』とありますが、別に未来の話って訳でもないです。ある人が過去に
こういうことをしたから、未来がこうなった(こうなるだろう)、という、因果応報小説って
感じでしょうか。あるいは、バタフライ・エフェクトがテーマと言ってもいいかな。ある人の
些細な行動を発端として、巡り巡って大震災や大戦争が起きることになったりするっていう。
三作の中編が収められていまして、それぞれに微妙にリンクしているので、伊坂さんらしい
仕掛けの一冊になっていると思います。
ただまぁ~、私が面倒くさがりな性格なのもあって、いまひとつ人物関係把握しきれないまま
読んでたところがあるので、完全に全部が綺麗に繋がったって感じはしなかったんですけどね^^;
多分、一つ一つ突き詰めて行くと、すごく良く出来ていると思うんですけどね。

それに、正直なところ、基本的にメッセージ性というのかテーマ性というのか、そういうのが
強いタイプの伊坂作品はあんまり好みじゃないので、これもいまいち乗り切れない部分が
ありました。個人的には、完全にエンタメに徹したような、単純に楽しめる伊坂作品が
好きなので^^;政治色が強いのも好きじゃないですし。って、別に本書は大臣が出てくる
だけで、それほど政治色が強いって訳でもないんですけども^^;
だからって訳でもないんでしょうが、三作三様、出だしは何が書きたいのかよく分からず、
戸惑いながら読んでた感じでした。最後まで読むと、書きたい方向性が見えて来て、それなりに
納得出来る結末になって行ったんですけどね。

っていうか、この作品って、三回くらい読み返してやっと本当の面白さがわかるのかも^^;
実は、昨日記事を書くに当たって、三作の人物関係を自分なりに整理してみて、やっと
全体の繋がりがなんとなく把握出来たんですよね。多分、もっと細かく読み込んだら、
もっと感心出来るのかもしれないなーと思ったので。
漠然と一作づつ読んでいるより、三作通しての面白さを見出した方が、ずっと印象は良くなり
ました。まぁ、単に一回で読み取れない私がバカってだけです・・・(ToT)。







以下、個人的な覚書として、三作の人物関係をまとめておきます。
未読の方は読み飛ばした方がよろしいかと思います(つまりはネタバレなので)。
















☆一作目の大臣と作家は兄弟。父親は作家。子供たちに恐怖を植えつける為次郎君の話をする。
☆大臣が三十歳の時に救った、窓から落下した子供は本田毬夫。
☆大臣が本田を救った場面を横から見ていたのは当時子供だったサッカー日本代表選手の
小津と宇野。大臣から勇気をもらう。
☆三作目の蜜使(例の黒いヤツね)が派遣されたのは、大臣の父親と母親の家庭。一作目では
滞りなく密使が送られ、三作目では時間スリによって派遣が阻止された未来(分岐された未来=A’)
となり、一作目の未来では死ぬ筈だったある人物の命が助かる。

ちなみに、二作目の最後に出て来た『俺』って、スーパーマン?猫が消えたのは、彼が
連れてったってことでしょうか。



何か誤読があったらご指摘ください^^;自分でも、こういう解釈で合ってるのかどうか全然自信
ないんで^^;;
















タイトルの『PK』は、超能力のPKと、サッカーのPKをかけているのでしょうね。
珍しくあとがきがあるなぁと思ったら、この作品が震災後ではなく、震災前に書かれたものだと
告げる為でした。確かに、言われなかったら震災後に書かれたものかな、と思い込んでいたかも。
大震災とか大洪水とかって言葉が出てきますしね。でも、わざわざいつもは書かないあとがき
書いてまでそれを伝えるところが、伊坂さんらしいな、と思いました。


『勇気とは、勇気を持っている人間からしか学ぶことができない』
『臆病は伝染する、そして、勇気も伝染する』


心に残る言葉ですね。
伊坂さんらしい、趣向を凝らした一作でした。

なんか、昨日の記事と全然違うこと書いてるような。まぁ、いっか。