ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

坂木司/「ウィンター・ホリデー」/文藝春秋刊

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坂木司さんの「ウィンター・ホリデー」。

届けたい。間に合わないものなんてないから。一人から二人、そして…。父子の絆の先にある、
家族の物語。父親は元ヤン・元ホスト・現宅配便ドライバー、息子はしっかり者だけど所帯じみてる
のが玉にきずの小学生。冬休み、期間限定父子ふたたび(紹介文抜粋)。


坂木さんの新刊が出たってだけでも嬉しいのに、それが大好きな『ワーキング・ホリデー』
の続編と知った時の喜びったら、もう。予約に乗り遅れて大分遅くなってしまいましたが、
ようやく読めました。

もう、最初から最後まで、楽しくて楽しくて、職場で読んでても、早く続きが読みたくて
うずうず。だってねー、主人公ヤマトと息子の進君の関係ったらね。もう。アンタたちは
新婚ホヤホヤの熱々カップルかよ!って、何度ツッコミ入れたくなったことか!!いや、ヤマト
本人が心の中でツッコミ入れてるんだけどさ。もう、進君の、出来た新妻ぶりったら。そして、
ヤマトの息子萌えなデレデレぷりったら!!なんなの、この親子ーーーー!!ってじたばた
したくなりましたよ。それを周りの人たちが微笑ましそうに受け入れてるとこがまた素敵で。
ああもう、ほんと好きだわ、このシリーズ。

ひとつひとつのエピソードがみんな、心に響いて、あったかい気持ちになりました。いい子
過ぎて、ヤマトにわがまま言えない進君の健気なとことか、遠く離れた二人の親子の微妙な
行き違いとか、所々に切ない気持ちになったりもしましたけど。お互いに嫉妬し合う所は、
やっぱり血の繋がった親子なんだなぁって思ったし。更に母親の由希子さんも同じような
嫉妬してるとこには苦笑しちゃいましたけどね。三人三様、似たもの親子なんでしょうね(苦笑)。

今回新登場のヤマトの後輩、大東君も最初はムカつきましたけど、ハチさん便で働くにつれて、
だんだんいいキャラになって好感持てました。やっぱり、ヤマトを始めとするハチさん便の
みんなが仕事に一生懸命で、かつあったかい人たちだからですよね。彼がおせちを落として
失敗した時は、ああ、やっぱりやったかーー!って思いましたけど(^^;)、その後で
みんなで協力しておせちの三の重を作り上げたところは感動的でした。協力してくれた根岸さん
老夫婦の寂しい年末を賑やかにしてあげたところも良かったな。みんなでワイワイ、おせちを
作るという共同作業をして、終わった後は全員で年越しそばを食べて。なんか、いい年末の
過ごし方だなぁと思いました。

最後、進君がいなくなってどうなることかとヒヤヒヤしましたが、またもみんなの助けで解決
してほっとしました。と同時に、彼が姿を消した理由がわかって、胸がきゅん、としました。
子供は子供なりに、小さな胸の中でいろんな想いがあるんですよね・・・。特に、進君みたいに
出来た子なら尚更。なんかねー、もう、進君みたいな子には、あんまり考えすぎないで、子供
らしくいつでも笑ってて欲しいなってしみじみ思っちゃいました。私も、完全にヤマト目線で
読んじゃいましたよ^^;その為にも、ヤマトには父親としてしっかり進君を支えて行って
欲しいですね。最後にコウタが仕掛けたモノが実際に使われる日が来るといいのにな。ヤマトと
由希子さん、なんだかんだでお似合いな感じするんだけどな。由希子さんの言動って、かなり
ツンデレっぽい感じするんですけど・・・多分、ヤマトと昔付き合ってた時はもっと素直な
印象だったんでしょうけどね。今はまだヤマトに素直に向き合える状態じゃないのかもしれない
ですが・・・少しづつ、二人の距離が縮まって行くといいな、と思います。お互いの誤解で
別れたってことがわかった訳ですしね。

ヤマトが出席した結婚式の新婦で、元ヤン時代の仲間のサクライさん、現在和菓子屋さんでバイト
してるってことはまさか・・・と思って、『和菓子のアン』の記事を読み返してみたら、やっぱり。
すっかり忘れてましたけど、アンちゃんのバイト仲間さんでした。こういう、ちょっとした
ニヤリとするリンクを作ってくれるのも、坂木作品ならではですね。坂木ワールドは繋がって
るんだなーと思えて嬉しかったです。
もちろん、その他のハチさん便の仲間たちや、ジャスミンさんや雪夜さんといったホスト時代
の仲間たちもみんなそれぞれに個性的で素敵でした。ほんと、坂木さんの作品は脇役キャラ
までが一人一人光ってて、大事に描かれてるところが好きだなぁ。


とにかく、読んでる間中ニヤニヤしっぱなしでした。ヤマトと進君のラブラブな親子関係に終始
当てられまくった一冊でした。

やっぱり、坂木さんの作品はいいなぁ。もう、大好きだーー。
読み終えて、じんわりほかほか気持ちがあったかくなりました。
面白かったー!