ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

麻耶雄嵩「化石少女」/秋吉理香子「放課後に死者は戻る」

どうもこんばんは。暦は早くも三月ですね。明日はひな祭りですか。
ちなみに、私の実家では雛人形なるものを一度も飾ったことがありません。
兄妹三人で、うち二人が女なんですけどね^^;
あ、もちろんひなあられくらいは食べましたけどもね。だから、お友達の家の
七段飾りとか羨ましかったなぁ。まぁ、だからといって親を恨んでいるとかは
全くないのですけれど。そういう家だと思っていたしね。


読了本は今回も二冊です。奇しくも、二冊とも高校生が主人公の青春ミステリ。
しかし、読後感は正反対だったなぁ(苦笑)。黒いのと爽やかなのと。
どちらも面白かったのだけれどね。


では、一冊づつ感想を~。

麻耶雄嵩「化石少女」(徳間書店
麻耶さん最新作。化石に異様な愛情を寄せる、ちょっとエキセントリックな美少女まりあと、
理由あって高校入学と同時に彼女のお守役を仰せつかった挙句、無理矢理古生物部に入部させられ、
彼女に振り回されまくる幼馴染の少年・彰による学園ミステリー。
六話の短編+エピローグで構成されていて、連作形式になっています。毎回学校関係で殺人事件が
起き、その度にまりあが独自の推理で犯人を指名するのですが、その犯人がなぜか決まって生徒会の
人員の一人。学校内で絶大な権力を持つ生徒会の人間たちを犯人だと断言するまりあの推理に危惧感を
覚える彰は、毎回その推理を全力で否定。結局まりあは彰の説得に折れ、真実は有耶無耶に。
結局その時に起きた殺人事件の真相はわからないままに次の話に進んで行くので、ずーっと
もやもやした感情を抱えたまま読んでました。
でも、もちろん麻耶ミステリがそのまま終わる訳がなく。エピローグで麻耶さんらしい仕掛けが
施されております。でも、あー、やっぱりそういうオチかーって感じだったかなぁ。麻耶さん
だから、最後は絶対黒いのが来る!って身構えていたから、さほど驚きがなかったな。
『さよなら神様』と比べると、やっぱりちょっとインパクトは少なかったと思う。
十分ミステリとしては面白かったのですけど。一応前の話のもやもやにも最後でフォロー
がありましたし(とはいえ、実はそれほど全部納得している訳ではないのだけど・・・それに
ついては後述します)。
まりあのツンデレ(?)キャラは、最初はあんまり好感持てなかったのだけど・・・というか、
麻耶さんだから、もしかしたらまりあが実はすごい黒いキャラだったりするのかなーとか
疑心暗鬼になって読んでたところがあるから、受け入れられなかったのかもしれないのですが^^;
でも、彼女は最後までそのままの性格だとわかったので、今は結構気に入ってます。なんだかんだで
彰に言いくるめられちゃったりするところは、結局のところ彰には弱いのかなーと思わせるし。
お嬢様なのに化石が好き、という意外性も面白いですしね。なかなかいいキャラなんじゃないかな。
んで、結局のところ、エピローグで明かされる第六話の犯人が、一番腹黒で一番打算的な人物
だった訳ですよね。まぁ、ある人物を守る為の犯罪だから仕方がない・・・という大義名分はあるので
しょうけれど。
麻耶さんの作品って、殺人を犯した犯人が結局捕まらないで終わるパターンが結構多いような。
今回の話は、ほとんどがソレですもんねぇ。しかし、こんな学校やだなぁ。殺人事件多すぎ。
金田一少年の学校かよ^^;



以下、ネタバレあります。未読の方はご注意を!
















腑に落ちないのは、エピローグで彰が夏合宿の事件の検証をして、まりあの推理が正しかったことを
証明した後、他の事件もすべてまりあの推理どうりだったのではないかと独白するところ。
ひとつの検証が正しかったからといって、他の事件もまりあの推理が正しかったとは限らない
わけで。他の事件に関しては、結局真相は闇のままってことですよね。
それに、いくらなんでも、度重なる事件の犯人がすべて生徒会のメンバーってのは、
ご都合主義的すぎるんじゃないでしょうか・・・。それぞれの犯人の動機もいまいちわからない
ままだしね。
結局、つもりにつもったもやもやが完全に晴れることはありませんでした。まぁ、その辺りは
読者に委ねる形なんでしょうけどね。
麻耶さんとしては、前の5つの事件は、最後の事件の前座みたいなものなんでしょうし。
でも、できれば生徒会側の動機なんかも、もうちょっと深く掘り下げて欲しかった気がするな。















秋吉理香子「放課後に死者は戻る」(光文社)
『暗黒女子』で話題になった作者の新作。実は、そっちの方はいまだに読めていないのだけど^^;
ずっと気になってた作家さんだし、面白そうだったので、借りてみました。
非情に読みやすくて、ぐいぐい世界に入っていけました。読書メーター見てたら、『暗黒~』よりも
読みやすいと書いてる方がいたので、書き慣れた分読みやすくなっているのかも?
季節外れのイケメン転校生・高橋真治の中身は、実は2ヶ月前の始業式の夜、崖から落ちて死んだ
根暗なキモメンオタク・小山のぶおだった――事故の際、のぶおを助けようとして誤って一緒に
落ちた真治の身体に、のぶおの意識が移ったのだ。しかし、のぶおは覚えていた。のぶおが
落ちたのは事故ではなく、のぶおを呼び出したクラスメートに突き落とされたのだと。
真治の身体で目覚めたのぶおは、転校してもとの学校に戻り、小山のぶおを殺した犯人のクラスメート
を捜し始める――。
と、こんなストーリー。イケメン君の身体にキモメンオタクの魂が宿る、という設定が面白いですね。
中身は同じなのに、外見が違うだけでクラスのヒエラルキーでの立場も変わるという、皮肉な事実。
その理不尽さに歯がゆい思いを抱きつつ、高橋真治の容姿の恩恵で新たな友だちが出来て、今まで
一方的に苦手だと思っていたクラスメートが実はいいやつだったと知るきっかけが得られたりして、
のぶおは新しい世界を知る。自分だって、外見だけで人を判断していたのだと気付くのです。
終盤、のぶおはすべての人物が疑わしく思えて、疑心暗鬼になって、誰も信じられなくなって
しまいます。けれども、そこには、思いもよらない真実が隠されていました。最後のたたみかける
ような展開には驚かされました。特に、丸山さんに関してはあっと言わされましたね。まぁ、
よくある手法なので目新しさというのはないのだけど。でも、前に戻って読むと、とても上手く
スリードさせるように書かれているのがわかりますね。全く腑に落ちない部分がない訳では
ないのだけど・・・。
最後は上手く行きすぎな感も否めないのだけど、青春小説としては痛快でした。ある人物のこと
だけが悲しかったけれど。
終盤の、のぶおと真治と吉雄の関係が素敵だった。吉雄は、のぶおの模型を盗んだ件で完全に
嫌な奴という印象がついてしまっていたのだけど、いろんな意味で誤解だったことがわかって
嬉しかったです。
ちょっと可哀想だったのは、文化祭の準備の時に真治(の顔をしたのぶお)に怒られた城崎さん。
あとで考えると、完全に理不尽な怒られ方してるのに、翌日わざわざ早起きしてフォローしに来た
ところが意外でした。まぁ、日頃の行いを省みた結果なのでしょうけどもね。
反省の言葉が、『許してあげる』という上からの言い方なのが彼女らしかったけれど(苦笑)。
細かい伏線もきちんと張ってあって感心しました。ミステリとしても、青春小説としてもなかなか
読ませる良作だったのではないかと思いました。
『暗黒~』の方はもっと黒いらしいけれど、そちらも読んでみたくなりました。
今後の活躍も期待したい作家さんですね。