ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

相沢沙呼「マツリカ・マトリョシカ」/河野裕「いなくなれ、群青」

どうもこんばんはー。台風が過ぎ去って一安心かと思いきや、また週末は台風襲来だそうで。
土曜日は、アサヒスーパードライスペシャルライブに当たったので行く予定なんですけれど
・・・(もちろん、すべて飲んだのは相方の方。出演者はめっちゃ豪華で、福山・布袋・柴崎(コウ)
コブクロ、狼バンド(正式なバンド名はよく知らず←おい)。
ま、東京ドームだかライブ中は雨関係ないけど、行き帰りで雨はツライんでね。
なんとか、もって欲しいなぁ。生福ちゃん楽しみだなぁ。えへへへ。


読了本は今日も二冊ですー。


相沢沙呼「マツリカ・マトリョシカ」(角川書店
シリーズ第三弾。出るのを心待ちにしていました。とはいえ、メインキャラのマツリカ
さんと主人公の柴山君くらいしかキャラクターは覚えていなかったのだけれど^^;
とにかくマツリカさんがツンデレキャラってことできゃーきゃー言ってた覚えしかない
という(何じゃそりゃ)。
しかし、今回その肝心のマツリカさんの出番が非情に少ない。そこはちょっと
物足りなかったなぁ。最後でがっつり活躍してくれはするのですけど・・・私としては、
柴山君とマツリカさんの絡みを楽しみにしている訳で、それが途中ほぼ皆無ってのは
やっぱりちと不満でした。もちろん、ちらほらとは出て来るのですがね。
密室状態の美術準備室の中で、制服を着せられたトルソーが倒れているのが発見された。
周りには蝶の死骸が散りばめられ、側には刃が錆びたカッターが落ちていた。着せられていた
制服は、テニス部の三年生、七里観月のものだった。第一発見者である柴山や友人の松本
まりかが犯人だと疑われ、柴山たちは密室殺トルソー事件の解明に乗り出すのだったが――。
事件が発生してから、一章ごとに関係者が独自で考えた推理を開帳していく多重推理形式。
もちろん、前の章の推理は順次論理的に否定されて行き、最後の一つが真実である訳ですが。
ラスト、柴山のピンチを救うべくマツリカさんが登場した時は、ラスボス感が半端なかった
です(笑)。めっちゃかっこいー!そして、理路整然とした推理に陶然。細かく張られた
伏線がきっちりと回収されるので、気持ち良かったです。ま、明らかにこれ伏線だよなー
と思った箇所がいくつかあったので、やっぱりあれは伏線だったか、って感じでもあったの
ですけれど。女子のプリーツがあんなに重要な要素だとは思わなんだ。胸ポケットにスマホ
入れた状態で自転車の鍵が入るか問題も、マツリカさんの推理を聞いて、なるほど~~と
思わされました。
今回も相変わらず柴山君は根暗でヘタレで、超ネガティブ。そのくせ、憧れのマツリカさん
への邪な下心が止まらない普通の健全な男子高校生の面もあったりする。彼の内面心理は、
概ね応援したくなるのだけれど、たまにイラっとさせるところもある。あまりにも
ネガティブ過ぎてね。でも、それはやっぱり彼の心に姉の死を防げなかったという負い目が
ずっと根を張っているからで、それは可哀想になったりもするのだけど。もっと、楽に
生きてもいいのにな、とも思う。姉が自殺して、これだけ自分を責める弟ってのも珍しい
のじゃないのかなぁ。でも、今回の事件を通して、彼は少しそこの部分とも折り合いを
つけることが出来て来たのかな、とも思えました。彼には素敵な仲間がいるのだからね。
そして何より、マツリカさんがいる。マツリカさんは、なんだかんだいって、柴山君の
ことがとても気に入っているのでしょう。柴山君のピンチを救いに、わざわざ学校まで
足を運んでくれるほどに。推理の間、柴山君を陥れようとした犯人をずっと睨んで、怒りを
表していたというのがその証拠でしょうね。
マツリカさんの出番が少なかったのはちょっと不満ではあるけれど、最後の最後に
どかーんとかっこいい出番があるので、それで相殺かな。
ひとつ気になったのは、タイトルのマトリョシカ。作中にまったく出て来てないけど、
どこから来たのかなぁ?入れ子のように推理が重なって行くからとか??
柴山君とマツリカさんの関係が、ますます気になって来ました。さらなる続編に期待です。


河野裕「いなくなれ、群青」(新潮文庫nex
タイトルが印象的で、話題になっているようなので借りてみました。シリーズものらしく、
何作が出ている模様。この作者さん、少し前に映画になったサクラダリセットの方
のようです。ま、映画も本も未体験ですけれど^^;
奇妙な島にある日突然連れて来られた人々の物語。って、説明漠然としすぎ?^^;
その島に連れて来られた人は、みんな何かを失くしていて、それを見つけなければ島から
出られない。しかし、島に来た人はみな、一定期間の記憶を失くしていて、自分が何を
失くしたのかは思い出せないのだ。そんな不思議な島『階段島』に、ある日突然現れた
真辺由宇。僕、七草は、彼女とだけはこの島で会いたくなかった。僕と由宇は、かつて
毎日一緒に過ごした仲なのだ。彼女はどこまでもまっすぐに生きるひとだったのに――。

 

うーーーーーん。なんだかなぁ、この観念的な世界観。正直、苦手でした。主人公の
七草を始め、どの登場人物も本心がよくわからなくて、会話が禅問答読んでるみたいに
噛み合わない感じがして、何か据わりの悪い気持ち悪さがありました。ファンタジー
割り切って読むべきなのでしょうけども。
一応、階段島の謎は最後に明かされるのですけどね。なるほど、と思える部分もあるけど、
だから?って感じでもあるし。シリーズの一作目ってこともあるのでしょうけど、
結局何も解決していないような・・・。七草と由宇が再び一緒にいることになっただけで
いいってことなのかな。
とにかく、文章を読んでいても、すべてがピンと来ないんですよね。キャラも、物語も、
会話も。すべてが漠然としてるっていうか。ファンタジーの世界なんだから、漠然と
してて当たり前なのかもしれないけど。好きな人はすごく好きな世界観なんじゃないかな。
読書メーターの感想見てたら、どなたかが、村上春樹風って評していて、ああ、そういう
ことか、と妙に腑に落ちるものがありました。といっても、私自身、村上春樹ってほとんど
読んだことがないので、なんとなくの印象で苦手って思ってるところがあって、ちゃんと
比較は出来ないんですけどねー・・・^^;なんか漠然と春樹の文章とか世界観、苦手だろうな
ーっていうのがあって、読まず嫌いみたいなところがあるんですよねぇ。でも多分、本書
みたいな世界観なのだとしたら、やっぱりダメだろうなぁって思う。
主人公七草の掴みどころのない性格も苦手なんだけど、それよりもヒロイン由宇の空気
読めない自分本位な性格がダメだった。特に、子供の頃の、いじめられっ子の家に行って、
いじめっ子に謝らせる為に外から石を投げて窓を割って部屋に入ったエピソードには
どん引き。そんな風に家に入って来られたら、はっきりいって子供心にトラウマに
なるよ・・・恐怖。今だったら、由宇みたいな子供は発達障害だと思われるだけのような
(空気読めない、人の話聞かない、他人を泣かせても謝らない・・・etc)。
続きも何作かあるみたいなんだけど、もうこの先はいいかな・・・。
先に述べたように、好きな人はすごく好きな世界観で、どっぷりハマれる作品じゃないかと
思う。でも、私はダメでした・・・ファンの方、すみません・・・。