ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

乙一/「銃とチョコレート」/講談社刊

17歳で衝撃のデビューを飾った奇才・乙一のミステリランドシリーズ「銃とチョコレート」。

リンツは11歳の時父を亡くした。父が亡くなる直前、二人で市場に行った際に胡椒を買った露店で
1冊の聖書を手に入れる。父の遺品となったその品をリンツは大事にしていたが、ある時その聖書の中から古びた手書きの地図を見つける。その地図の裏には風車小屋の絵が描かれていた。新聞記者見習いの
マルコリーニから、当時世間を騒がせていた怪盗GODIVAが犯行の際に残して行くカードの裏に風車小屋が描かれているという極秘情報を教えてもらったリンツは、その地図を怪盗GODIVAが書いたものだと確信し、GODIVAを追うヒーロー探偵・ロイズに詳細の手紙を書くのだが・・・。

久々の乙一新作。待ってましたー。ミステリランドものとしてはとても良い出来ですね。リンツ少年の冒険にワクワクドキドキ。でも、さすが乙一、そんじょそこらの児童書ではありません。ヒーロー・ロイズの意外な素顔にびっくり。そう来るか!?普通そうはならないだろう・・・。「名探偵ロイズは僕らのヒーロー!」この帯の惹句はこれで良かったのだろうか・・・。
あとはドゥバイヨルのキャラクターもすごい。ほんとに少年・・・?途中、誰が敵で味方なのか、訳わからない状態でした。
人間の嫌な所もさらけ出させ、微妙にブラック要素を盛り込むあたり、乙一さんらしい作品と言えるかもしれません。ラストで明かされる、お母さんのある行動にもびっくり。母さんすごすぎ。
怪盗GODIVAの謎も面白かったですね。

それにしても、噂には聞いてましたが、子供向けを謳った本とは思えない程挿絵がホラー。
冒険ものですよね?何故にこの絵・・・?子供読んだら、夢に出てくるって・・・。
あとは子供向けというだけあり、ひらがなが多くてちょっと読み辛い。漢字って大事なんですねぇ・・・。

題名のせいか、すごくチョコレートにこだわった作品でもありますね。登場人物の名前がほとんど有名なチョコレート屋からつけられているし。ジャン・ポールさんの奥さんがエヴァンだったりね。
個人的にはマルコリーニのチョコが食べたい・・・。

美味しいチョコレートをつまみながら読みたい本ですね。