
貫井さんの最新ミステリー。『愚行録』みたいな、ある事件の関係者たちのインタ
ビューだけで構成された作品。
マレーシアのインターナショナルスクールで出会って以来、日本に帰ってからも
二十年来の幼馴染として親しく付き合って来た五人、重成、総也、梨愛、夏澄、雛乃。
この度、海外赴任でウガンダに行くことが決まった重成の送別を兼ねて、葉山に
ある重成の別荘に集まることに。久しぶりに集まった五人は、食事をしながら
和やかに旧交を温めていたかに見えた。しかし、深夜、寝ている重成の元に梨愛が
やってきて、雛乃を殺してしまったと告白した。雛乃の部屋に行ってみると、彼女
が頭から血を流して倒れていた――。
梨愛の弁護士は、当時の状況や彼ら五人の関係性を探る為、加害者と被害者を
除いた、当時現場に居合わせた残りの三人の証言を聞いて行くのだが――。
事件関係者の独白のみで構成されているので、読みやすくはあったのですが、一見
事件とは関係なさそうな過去に起きた出来事なども語られる為、若干中だるみする
印象はありましたね。小学校の時の何気ない出来事とか。殺人事件の証言を聞かれ
て、あんなにだらだらと自分の過去を語る人っているのかなぁ。しかも、三人の
うちの一人だけじゃなくて、三人が三人とも。三人とも、自分のことを語るのが
大好きな人たちだったってこと?と、そこはちょっと違和感を覚えたのですけどね。
まぁ、一見無関係に見えた過去の出来事が、回り回って今回の事件に繋がっている
訳ではあるのですが。
なんか、五人が五人とも、一癖も二癖もある性格で、好感持てる人物はひとりも
いなかったなぁ。親の都合でマレーシアのインターナショナルスクールに通って
いただけあって、みんなそれなりにセレブでちょっと鼻持ちならないところが
あるっていうかね。まぁ、悪い人たちじゃないんだろうけど・・・。被害者である
雛乃の身勝手な性格には一番イライラさせられたけど。重成と付き合ってた時、
デートの度に友だち連れて来た時は、重成じゃなくてもムカムカしたわ。久しぶりに
重成と再会して、よりを戻したいけど、私はウガンダに一緒には行けないから、
あっちに行ってる間は彼女つくるなって、何言ってるの!?って呆れました。自分
勝手にもほどがある、と思いましたね。こういう性格が後に災いしたんでしょうけどね
・・・。
以下ネタバレ気味感想です。未読の方はご注意ください。
梨愛がなぜ雛乃を殺害しなければならなかったのか、その理由は、最後の最後で
明らかになります。まぁ、なんとなくこういうドンデン返しはあるだろうな、とは
思っていましたが。実は、最初読んだ時、いまいちピンと来てなくて。ん?あれ?
どういうこと?と、前に戻って読み直したりしましたよ^^;梨愛が愛している
人に関しては、完全に読み違っていましたし。え、そっち!?っていうか、伏線
どこにあったっけ?って、混乱しました。あんなの読み落としちゃうよな~・・・
あんな、一見どうでもいいと思われる過去のエピソードなんてさ(負け惜しみw)。
あと、ソフィーと日本のカフェで再会したのは、結局偶然じゃなかったってこと
ですよね。彼女は、梨愛がいるから、日本に来たんでしょうね。でも、意味深に
登場した割には、事件の真相にはあんまり関係なかったような。
彼女の登場によって、梨愛の『愛する人』を混乱させたかったのだろうけどね
(そして、まんまとミスリードに引っかかった^^;)。
最後の梨愛の独白によって、事件の真相がわかる構成。ちょっと混乱したけど(あほ)。
弁護士が各関係者の証言聞いて推理するんじゃないんだ、ってちょっと拍子抜け。
あのメモなんだったんだよ・・・。そこはせめて弁護士の推理→梨愛の独白の方が
ミステリーとしては面白かったのでは。
細かい伏線が効いているところはさすがだと思いましたが、ちょっとわかりにくさも
あって、もうちょっとすっきりするような書き方してほしかったなぁ。
梨愛の、あのひとへの愛が深いことだけはわかりましたけどね。なーんか、いろいろ
もやもやした終わり方だったような。梨愛がいくら今の証言を押し通したとしても、
いずれ真相はわかってしまうのでは・・・。証拠、結構残っているような?
面白かったけど、ちょっと腑に落ちない終わり方だったな。