ミステリ読書録

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神永学/「心霊探偵八雲 <6> 失意の果てに」/文芸社刊

神永学さんの「心霊探偵八雲 <6> 失意の果てに」。

前回の事件から数ヶ月。拘置所に収監され、裁判を待つ身となった八雲の姉を名乗る女・
七瀬美雪がもう一件の殺人を予告した。謁見の指名を受けた後藤・石井の両刑事は拘置所
に出向く。そこで美雪が告げた名は、斎藤一心、八雲の叔父であった。拘置所に収監されて
いる美雪に一心が殺せる筈がない――しかし、予想に反して一心は襲われ、凶器のナイフ
には美雪の指紋がついていた――果たして、美雪が行ったのは遠隔殺人なのか!?人気
シリーズ、待望の新章スタート。


八雲が帰って来ました。相変わらず口が悪くてどこまで行っても天邪鬼。晴香ちゃんとの
仲も進展を見せず・・・でも父親の正体ははっきりしましたね。ちょっとあっさり明かされ
すぎって気もしましたが。しかし、○○だったから何?という感じですねぇ。きっと彼の
犯罪は繰り返されるだろうし、八雲を追いかけるだろうし。正体がわかったからこそ余計に
得体が知れなくなってしまったような。こんな父親とあんな母親とそんな姉(!?)を持った
八雲が、ひねくれて育ってしまったのは必然でしょうか・・・でも口は悪くても根は優しい
彼の本当の性格はやはり叔父の一心さんの賜物でしょうね。それだけに今回の結末はあまり
にも切なかった。なんとなく読めてはいたけれども。
それにしても、石井さんの間抜けさはなんとかならないんでしょうか。あまりにもデフォルメ
しすぎてちょっと引いてしまうなぁ。いい大人が毎回駆け出そうとして転ぶか?後藤刑事
とのやりとりは、ほんとにコントですね。必要以上に間抜けに書きすぎてて、読んでて気の毒
になる程です。神永さんはここで笑いを取りたいのかもしれないけど、どうも空回りしている
ように思えてなりません。シリアスな話なだけに、ちょっと浮き上がってしまうというか。
石井さんの今後が心配でなりません・・・。

でもこの作品で一番気になるのは何といっても七瀬美雪。前回出て来た時はのけぞりました。
神永さん、あの有名な漫画を知らないのでしょうか・・・。何もこの名前をつけることも
ないでしょうに。しかもこの強烈な悪キャラに。読む度にあの漫画の美雪ちゃんがちらついて
仕方なかったです。180度違うキャラですけど。喧嘩売ってないですよね・・・?(苦笑)

完全にキャラ萌え的に読んでる本シリーズ。はっきり云って、この作品に小説としての
水準を求めてはいません。どちらかと言うと、ドラマの小説化とか、漫画原作のような感覚
で読んでます。文章の欠点を挙げたらキリがないですから。以前から漫画向きなのになーと
思ってましたらば、やはり今度漫画化されるそうです。誰が絵を担当するのかわからない
のですが、花ゆめ系作家のよう。楽しみにしたいと思います。