先日めでたく完結した心霊探偵八雲シリーズ。完結を記念して刊行された、八雲
シリーズの魅力が凝縮されたファンブック。
先に言っておきますが、シリーズ全巻読破してから読んだ方が絶対いいです。
一部完全にネタバレしてますから。最終巻の後日談となる書き下ろし小説なんかも
収録されてますし。一巻から追いかけて来たファンには、とても嬉しい内容になって
いると思います。
個人的には、冒頭の、著者と京極夏彦さんとの対談が嬉しかったですね~。京極
さんが八雲シリーズを読まれているとは驚きでしたが。神永さんは昔から京極さん
の大ファンだったそうで、対談すること自体がとても嬉しそうなのが伝わって
来ました。12巻のあとがきでもその旨が書かれていて、私も読むのを楽しみに
していたんですよね~。京極さんが、神永さんを始めとする若い作家さんたちが
頑張ってくれるなら、自分はもう引退してもいい、みたいにおっしゃっていて、
「だめだめだめ~~~~っっっ!!」と叫びたくなりました。京極堂シリーズ
を完結させるまでは、絶対作家をやめないでもらわないと。ファンは首を長く
しすぎて、ろくろっ首になるくらい待ってるんですからねっ。
京極さんの、『(ご自身の)感覚は新人と変わらない。自分より後にデビューした
作家はみんな同期という気がする』という言葉に感銘を受けました。
デビューして二十六年経って、数々の華々しい賞を獲っている大作家といっても
いいくらいの位置にいる方なのに。この謙虚な姿勢がほんとに素敵。でも、
キャラクターにもう少し愛着持って欲しいけどw(京極さんは、全く自身の
キャラクターに思い入れがないらしい。よって、主要キャラでもばんばん殺す)。
京極さんは八雲シリーズがほんとにお好きなようで、作品の分析なんかもすごく
的を射ていて、すごいなぁと思いました。八雲と晴香のじれったいつかず離れずの
関係を、『メゾン一刻(響子さんと五代くんだね)』に例えていたのが面白かった
(笑)。
あとはやっぱり、書き下ろしの後日談が読めたのはファンとしてもかなり嬉しかった。
後藤さんが探偵を辞めて○○になるかどうかが気になります。また転職するんかい。
そして、最後はやっぱり八雲と晴香のラストシーンにはニヤニヤが止まりません
でしたね。長かったもんな~~。いろいろあったし。晴香ちゃんの想いが報われて
良かったです。
で、本書には、今となっては幻と言われる、自費出版バージョン『赤い隻眼』の
第一話が収録されているのも嬉しい。一作目なんてすっかり忘れていたから、
初回の二人の出会いを読み返せたのも良かったです。こんなに険悪なところから
始まっていたんだっけ。これを読んで、改めて後日談の『伝えたいこと』の部分を
読むと、より感慨が深まること請け合い。八雲も素直になれて良かったよ。
ちなみに、一番最後に収録されている、読者からのお祝いコメントページは、字が
あまりにも小さいので読むのを諦めました(うっ、小さい字が辛い年頃なのよぉ~
・・・涙)。
シリーズを完読したファンなら、絶対読むべきファンブックだと思いますね。