ミステリ読書録

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伊坂幸太郎/「仙台ぐらし」/荒蝦夷刊

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伊坂幸太郎さんの「仙台ぐらし」。

地域誌『仙台学』の1号から10号まで(2005~2010年)の連載エッセイ「仙台ぐらし」
(全面改稿)と、単発エッセイ1編に、震災後のエッセイ「いずれまた」「震災のあと」「震災の
こと」、そして宮城県沿岸を舞台に移動図書館(ブックモビール)のボランティアを主人公とした
書き下ろし短編「ブックモビール a bookmobile」を収録。


随分前に買ってずっと積読状態だった伊坂さんのエッセイ。予約本が一段落していたので、よう
やっと重い腰を上げて読みました。長らく積んでた割に、読み始めたらあっという間に読み
終わっちゃいましたけどね^^;
仙台の地域雑誌『仙台学』に連載されたエッセイを中心にまとめられた一冊。震災前に書かれた
ものが多いですが、震災後に書かれたものも収録されています。

まぁ、なんというか、伊坂さんの人の良さと心配性なところが実によく出ている一冊ですね。
どんな人に対しても本当に丁寧に接していて、たまに、失礼なことを言われた時でも、
『なんでそこで怒らないのー!?』と叫びたくなるくらい、穏やかな対応で頭が下がりました^^;
私だったらあからさまにむっとした対応しちゃうと思うな・・・(伊坂さんのようには人間出来て
いないもので・・・^^;)。

あの東日本大地震が起きる数年前から、伊坂さんが宮城県沖地震が来ることに怯えて心配していた
様子が書かれています。それも、相当、堂に入った心配っぷりです・・・。これだけ地震が来ることに
怯えていたのだから、実際あの地震が起きた時の伊坂さんの心痛はいかばかりだったのでしょう。
ショックでしばらく執筆活動が出来なかったといのもよくわかります。心優しい伊坂さんの
ことだから、きっといろんなことにたくさん心が傷ついたのでしょうね・・・。
何にせよ、伊坂さんが少し元気を取り戻して、また小説を書く意欲が戻って来て本当に良かった
です。

野良猫をいつの間にか飼うことになってたエピソードが、なんとも伊坂さんらしくて微笑ましかった
です。基本的に震災前に書かれたエッセイはみんなくすりと笑えるものばかりでした。ただ、
震災後に書かれたものの方は、伊坂さんの心情が伝わって来て、涙が出そうでしたけれど・・・。

伊坂さん、本当にいろんなことを細々と心配するので、こんなに小心者で人が好くて、世の中
渡って行けるのかな、と私が心配になりました(苦笑)。
人に声をかけられる度に、毎回『自分の読者かな』と密かに期待するところが可愛かったです(笑)。
いつか、私が伊坂さんに会って、『大ファンです!!』っていきなりサインねだっても、きっと
一瞬面くらいながらも、照れくさそうに応じてくれるんだろうな(笑)。

伊坂さんの小心者っぷりと心配性っぷりがとっても良くわかるエッセイ集でした。
こういうエッセイ読む度に、伊坂幸太郎という作家がより大好きになる気がするな。
お人好し作家選手権とかやったら、伊坂さん、絶対ダントツ1位になれそうだ(笑)。
あと、今回も奥さんいい味出してました。きっと、とてもお似合いなご夫婦なんでしょうね^^