「Story Seller Vol.2」
日本のエンターテイメント界を代表する7人の作家による豪華書き下ろし作品集。読み応えは
長篇並、読みやすさは短篇並。面白いお話、再び、売ります。寄稿作家:沢木耕太郎、伊坂
幸太郎、近藤史恵、佐藤友哉、有川浩、本多孝好、米澤穂信。
長篇並、読みやすさは短篇並。面白いお話、再び、売ります。寄稿作家:沢木耕太郎、伊坂
幸太郎、近藤史恵、佐藤友哉、有川浩、本多孝好、米澤穂信。
前作が非常に読み応えのある作品集だったので、Vol.2も俄然期待が高まっていたのですが、
残念ながら、全体的に質が落ちてしまったな、というのが率直な感想です。そもそも、前作の
中でダントツで好みだった道尾さんが寄稿されていない。これは痛い。痛すぎる。道尾さん
の欠如だけでもテンション下がり気味だったのですが、その穴を埋めたのが沢木耕太郎氏
というのも・・・別に好きとか嫌いとかってことじゃなく、小説の穴埋めをエッセイでするのは
無理ってもんでしょう。そりゃ、沢木さんは大御所ですし、沢木ファンには嬉しいのかもしれない
ですけども。読み応えという点でもここで大幅ダウン。沢木さんのブラッディ・マリーに関する
エッセイは普通に面白かったですけどもね。
他は前作と同じ作家が寄稿されているので、そういう意味では今回も豪華な共演なのは確か
ではあるのですが(じゃ、なぜ道尾さんだけがはずされた?という疑問はさておき)。それに、
前作でかなり好印象だった有川さんが個人的に好みの作品ではなかったのも痛かった。確かに
読ませる力は相変わらずですし、今回珍しくベタ甘恋愛パートを一切排除した新境地作という
意味では評価したいところではあるのですが、ただただ嫌悪を覚えるばかりの作品で、オチも
うやむやな感じで好きではなかったです。リアリティがあるだけに、読んでるのがしんどい
というか。こんな嫌な話、わざわざ有川さんが書かなくてもいいんじゃないって思っちゃった。
前回の作品では、嫌な部分もあったけど、その先にある感動がそれを上回っていたから余韻の残る
良作だと思ったのですが。新境地というのは確かなんですけどね・・・今後、有川さんの作品は
ベタ甘をなくして、もっと黒さを出して行く作品が増えて行くのかなぁ。ヒトモドキの伯母さんまじで
怖すぎです。夢に出てきそうだもん・・・。私も甥姪のいるおばという立場にいるだけに、この話は
余計に嫌悪感が強かったです。
ただ、今回良かったのは伊坂さん。最初はころころ変わる文体と視点に戸惑っていたところも
あったのですが、ちょっと今までにない切り口の作品で面白かったです。そうそう、こういう
エンタメに徹した作品が読みたいのよ、私は!と思いました(偉そうだな^^;)。前作は
マンネリな印象があって、他の傑作に埋もれてしまった感じがしていたのですが、今回の中
では光っているように思いました。
近藤さんは今回も安定した面白さ。でも、石尾の話を読めば読む程、この後に起きる出来事を
知っているだけにちょっとやりきれない気持ちになります。ここまで引っ張るシリーズに
なるとは思わなかったなぁ。近藤さん曰く、これからも自転車ロードレースものは書いて行く
とのこと。一冊に纏まるのが楽しみです。
米澤さんは長編ミステリの冒頭部分ということで、キャラ紹介的な作品。これからどんな
物語が繰り広げられていくのか楽しみではありますが、この部分だけだとあまりインパクトの
ある短編って感じではなかったです。全体を読めるまで、評価は先延ばしにしておきましょう。
姉弟のハートウォーミングな作品になるのかな。いや、これから黒~くなっていくのかも。
問題の佐藤さんは、前回よりは面白いと思って読んでいたのですが、444匹の犬をさらった
動機に全く納得がいかなかったです。というか、それだったら犬だけをさらうってのは
おかしいと思うんですが。真相に納得いかない点が多くて、かなり消化不良。やっぱり、
ミステリとして評価できる作家ではないな、と思いました。
ラストの本多さんは、個人的には一番好きな作品でした。淡々と物語が進んで行くので派手さは
ないけれど、血の繋がらない親子のハートフルな物語。弥生さんと主人公の会話や関係がすごく
良かったです。弥生さんはとても小学生とは思えない落ち着きと礼儀正しさがあって、頭が
下がりました。そんな小学生の弥生さんに敬語を使う主人公も好きだったな。坂木司さんの
『ワーキング・ホリデー』を思い出しました。あれに出て来る進君と弥生ちゃんを引き合わせて
みたい・・・すんごーく、達観した大人な会話しそうです(笑)。
残念ながら、全体的に質が落ちてしまったな、というのが率直な感想です。そもそも、前作の
中でダントツで好みだった道尾さんが寄稿されていない。これは痛い。痛すぎる。道尾さん
の欠如だけでもテンション下がり気味だったのですが、その穴を埋めたのが沢木耕太郎氏
というのも・・・別に好きとか嫌いとかってことじゃなく、小説の穴埋めをエッセイでするのは
無理ってもんでしょう。そりゃ、沢木さんは大御所ですし、沢木ファンには嬉しいのかもしれない
ですけども。読み応えという点でもここで大幅ダウン。沢木さんのブラッディ・マリーに関する
エッセイは普通に面白かったですけどもね。
他は前作と同じ作家が寄稿されているので、そういう意味では今回も豪華な共演なのは確か
ではあるのですが(じゃ、なぜ道尾さんだけがはずされた?という疑問はさておき)。それに、
前作でかなり好印象だった有川さんが個人的に好みの作品ではなかったのも痛かった。確かに
読ませる力は相変わらずですし、今回珍しくベタ甘恋愛パートを一切排除した新境地作という
意味では評価したいところではあるのですが、ただただ嫌悪を覚えるばかりの作品で、オチも
うやむやな感じで好きではなかったです。リアリティがあるだけに、読んでるのがしんどい
というか。こんな嫌な話、わざわざ有川さんが書かなくてもいいんじゃないって思っちゃった。
前回の作品では、嫌な部分もあったけど、その先にある感動がそれを上回っていたから余韻の残る
良作だと思ったのですが。新境地というのは確かなんですけどね・・・今後、有川さんの作品は
ベタ甘をなくして、もっと黒さを出して行く作品が増えて行くのかなぁ。ヒトモドキの伯母さんまじで
怖すぎです。夢に出てきそうだもん・・・。私も甥姪のいるおばという立場にいるだけに、この話は
余計に嫌悪感が強かったです。
ただ、今回良かったのは伊坂さん。最初はころころ変わる文体と視点に戸惑っていたところも
あったのですが、ちょっと今までにない切り口の作品で面白かったです。そうそう、こういう
エンタメに徹した作品が読みたいのよ、私は!と思いました(偉そうだな^^;)。前作は
マンネリな印象があって、他の傑作に埋もれてしまった感じがしていたのですが、今回の中
では光っているように思いました。
近藤さんは今回も安定した面白さ。でも、石尾の話を読めば読む程、この後に起きる出来事を
知っているだけにちょっとやりきれない気持ちになります。ここまで引っ張るシリーズに
なるとは思わなかったなぁ。近藤さん曰く、これからも自転車ロードレースものは書いて行く
とのこと。一冊に纏まるのが楽しみです。
米澤さんは長編ミステリの冒頭部分ということで、キャラ紹介的な作品。これからどんな
物語が繰り広げられていくのか楽しみではありますが、この部分だけだとあまりインパクトの
ある短編って感じではなかったです。全体を読めるまで、評価は先延ばしにしておきましょう。
姉弟のハートウォーミングな作品になるのかな。いや、これから黒~くなっていくのかも。
問題の佐藤さんは、前回よりは面白いと思って読んでいたのですが、444匹の犬をさらった
動機に全く納得がいかなかったです。というか、それだったら犬だけをさらうってのは
おかしいと思うんですが。真相に納得いかない点が多くて、かなり消化不良。やっぱり、
ミステリとして評価できる作家ではないな、と思いました。
ラストの本多さんは、個人的には一番好きな作品でした。淡々と物語が進んで行くので派手さは
ないけれど、血の繋がらない親子のハートフルな物語。弥生さんと主人公の会話や関係がすごく
良かったです。弥生さんはとても小学生とは思えない落ち着きと礼儀正しさがあって、頭が
下がりました。そんな小学生の弥生さんに敬語を使う主人公も好きだったな。坂木司さんの
『ワーキング・ホリデー』を思い出しました。あれに出て来る進君と弥生ちゃんを引き合わせて
みたい・・・すんごーく、達観した大人な会話しそうです(笑)。
今回の個人的ランキングは、本多>伊坂>近藤>米澤>有川>沢木≧佐藤、かな。沢木さんと
佐藤さんはどっちがどっちとも云えないなぁ。エッセイよりは小説の方が面白かった気も
するし、でも、佐藤さんは不満が残る所があったし・・・みたいな。Vol.3が出るのならば、
是非とも道尾さんを戻してほしいです・・・。新潮社さま、よろしくお願いいたします。
佐藤さんはどっちがどっちとも云えないなぁ。エッセイよりは小説の方が面白かった気も
するし、でも、佐藤さんは不満が残る所があったし・・・みたいな。Vol.3が出るのならば、
是非とも道尾さんを戻してほしいです・・・。新潮社さま、よろしくお願いいたします。