ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

辻村深月「ハケンアニメ!」/森晶麿「黒猫の約束あるいは遡行未来」

どうもこんばんはです。
12月に入って、一気に寒さがやって来ましたねぇ。
朝起きるのがツライったらないです。
今日は早々に職場の忘年会でした。まぁ、忘年会って言っても、お酒飲む人が
いないんで(私も含めて)、単なる食事会なんですけどね。しかも焼肉屋(笑)。
お肉美味しかったなー。しかし、レバ刺しが食べられなくなったのだけが恨めしい。
そこの焼肉屋で人生初のレバ刺しを食べ、その美味しさに感動した日がなつかしひ・・・。
いつの日かまたレバ刺しが食べられる日が来るんですかねぇ。規制の法律が変わっちゃったから、
もう無理なんだろうなぁ・・・ぐすん(涙)。


さて、読了本は二冊。一冊はさっき読み終えたばかりですが。

 

一冊づつ感想を。


辻村深月ハケンアニメ!」(マガジンハウス)
天下の女性雑誌『anan』で連載された異色の作品。実は、ananたまーに読む機会が
あったんですが、その時はほとんどスルーしてたんですよね。細切れに読んでも・・・
ってのもあったし、アニメが題材かぁ、とちょっと若干引いてしまっていたところもあって。
いや、私だってめっちゃアニメ世代で、アニメで育った人間ではあるんですけども、
大人になってからはめっきりアニメの世界からは遠ざかってしまっていたので、最近の
アニメ事情についていけるかなぁ、とね。これがマンガだったらまた違っていたと
思うのですけれど。
でも、通して読んでみたら、全然とっつきにくいところもなく、とても楽しく読めました。
ハケンアニメ』という言葉、初めて知りました。最近のアニメ事情はそんな風になって
いたんですねぇ。『ハケンアニメ』のハケン』『覇権』でして、つまり、そのクールに
放映されたアニメの中で、業界やファンから一番支持されたアニメを指す言葉なのだとか。
構成は、三話+最終話という形で、三話それぞれに主人公が変わります。それぞれに女性が
主人公ですが、タイプは違えど、みんなアニメに携わる仕事をしており、アニメをこよなく
愛する女性ばかり。好きなものを仕事にするって、ほんと羨ましいなーと思いましたね。
もちろん、大変なことの方が多いくらいなのでしょうけども。
個人的には、三話の和奈のお話が一番好きだったかな。彼女と公務員の宗森君が二人で
『サバク』を盛り上げようと奔走するところにはワクワクしました。伝統ある祭で
『サバク』の絵が描かれた舟を出すという無謀なチャレンジにも体当たりでぶつかって、
見事成し遂げた時には胸が熱くなりました。
宗森君とのロマンス部分にもニヤニヤ。なんか、全体的に有川さん風のお話だなーと
思っちゃいました。でも、もともとこういうキュンキュンする恋愛パートを差し挟むのが
辻村流なのですものね。
一話目の王子のプロポーズにもニヤリ。っていうか、一話目の最後であまりにもさらっと
流されちゃったんで、あれ?と思ったんですけど、やっぱりあれってそうだったんですねぇ。
王子、あまりも可哀想すぎる・・・。っていうか、香屋子さんニブすぎ。この二人の恋愛は
なかなか手強そうですね(苦笑)。
三話目で前の二作のキャラたちが勢揃いするのは嬉しかったけど、さすがにちょっと都合
良すぎなんじゃ・・・と思わなくもなかったです。『サバク』の舞台と、王子の生まれた
町と和奈の職場が全く同じ町って・・・。しかも、新潟の。いくらなんでも、そんな偶然
あるかい?とツッコミたくなっちゃいました^^;そして、王子は宗森君の先輩で懇意の
関係だし。まぁ、痛快に読めたからいいんですけどね。
王子父がいい味出してたなぁ。そして、意外性の塊だった母。あの母にして、この子あり、
なのか、あの父にしてこの子あり、なのか(苦笑)。
とにかく、辻村さんの深いアニメ愛を感じる一作でした。登場人物たちのアニメに対する
熱意がすごかったです。ちょっと、これからアニメに対する見方が変わるかも、と思いました。
チヨダコーキの登場も嬉しかったですね。そういえば、『V.T.R』は確かにアニメ化向きの
お話でしたね。実際どっかがアニメ化してくれないかな。


森晶麿「黒猫の約束あるいは遡行未来」(早川書房
黒猫シリーズ最新作。なかなかいいペースで出してくれますね~。しかし、森さんは多作な
作家さんだね。もうすでに次の新作が出ているようじゃないか(もちろん予約中)。でも、
やっぱりこのシリーズが一番好きだな。
今回の舞台はイタリア。フランス滞在中の黒猫が、通訳のマチルドと共に、『成長する塔』の謎を
解明するべくイタリアに渡ります。
建築家が死しても尚、人知れず建築され続けているという塔とは何なのか。一方、付き人は
学会の為渡英。しかし、そこで出会った映画監督に自作の映画への出演を打診され、戸惑い
ながらも承知すると、撮影の為、ある都市へ渡ることに。離れ離れの二人の人生が再び交錯する・・・。
いやー、もう、成長する塔の謎なんて、最後にはどーでもよくなっちゃいましたよ(おい)。
ミステリ部分は、なんかいろいろツッコミたいところがなきにしもあらずではあるんですけど、
とにかく、付き人と黒猫の距離が!!ほんとに、一作ごとにちょっとづつ、ちょっとづつ
近づいて行っているところが、なんとも乙女心をくすぐるといいますか。作者、わかってる
じゃないか!女性のキュンポイントが!!(笑)
黒猫が付き人を見つけるシーンがなんともいいですねぇ。ラストで、マチルドが発見した
一瞬の黒猫の焦りと、喜びと。黒猫だって、ほんとはずっと会いたかったんだろうなぁ。
しかし、今回最大の萌えシーンは、何といっても、ホテルで黒猫が寝ついた時に、付き人がとっさに
やってしまったアレのシーンですよね。翌日の朝の黒猫の返しも含めて、キュン死するかと
思ったじゃない・・・っ。ここまでしていて、なぜお互いにはっきり気持ちを確かめ合わないのか。
うう、もどかしい。しかし、このもどかしさがこのシリーズの醍醐味なんでしょうね。
黒猫の『成長する塔』に関する考察にしろ、付き人の『メエルシュトレエムに呑まれて』に関する
解体にしろ、相変わらず美学部分は何が何やらちんぷんかんで、さらっと読み飛ばし(こら)。
そこがもっと理解できれば、きっともっと楽しめるのかもしれないですけどねぇ。アホな私には
何度読んでも理解不能なのでした・・・しーん。
次に二人が再会するのはいつになるのかなぁ。黒猫が半年フリーになるっていうから、やっぱり
一度は日本に帰って付き人と再会して欲しいところだけど。お互いがお互いを欲しているのだから、
素直になるべきだと思うけどなぁ。さて、次巻はどうなるでしょうか。