ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

森晶麿「黒猫と語らう四人のイリュージョニスト」(早川書房)

久しぶりの黒猫シリーズ。森さんの作品は、途中までリアルタイムで追いかけて

いたのだけれど、読むごとに合わない感が激しくなってきて、今となっては

この黒猫シリーズのみを追いかける作家になってしまいました。黒猫と付き人

の関係がとにかくツボだったし、ポオの世界を元に構築される作品世界が

好きだったからなのですが・・・(毎度、美学講義の部分はさっぱり意味不明

ですけどw)。

 

以下、ラストのネタバレ気味感想になっております。未読の方はご注意

ください。

 

 

 

 

 

 

 

前作で黒猫からアレをされた付き人ちゃん。幸せいっぱいなのかと思いきや、

なぜか突然黒猫が失踪。付き人は、唐草教授の頼みで、失踪直前に黒猫の

研究室を訪れたと思われる四人の人物(元歌手、俳優、現代画家、廃墟写真家)

と連絡を取ることに。黒猫と彼らはいかにして出会ったのか――?

 

それぞれの人物とのエピソードはそれなりに面白く読みました。ただ、黒猫が

やたらと理屈っぽいので、たまに彼らの会話が全然頭に入って来なくて、

こんな回りくどい会話しなくてもいいんじゃない?って思ったりはしました

けど^^;相変わらず、ポーを絡めた美学蘊蓄はさっぱり理解できないし。

どんなに黒猫がイケメンで頭の切れる人物でも、私だったらこんな面倒な男とは

絶対恋愛出来ないな~と思っちゃいますね。付き人ちゃんはほんと、モノ好き

だなぁ、と思ってしまいます。

とはいえ、この二人の恋愛模様を読む為にのみ、このシリーズを読み続けていると

言っても、正直過言じゃない訳で。

今回の失踪も、絶対付き人ちゃんのためだろう、とは思っていました。

表紙の折返し部分に、衝撃の結末って書いてあるから、まぁ、何かしらは

ドンデン返し的なものがあるんだろう、と思ってました・・・けど!!!

 

 

・・・まさか、こういうどんでん返しとは(絶句)。

は??何ソレ!って感じでした。

当然、これで終わりではないでしょうが・・・こんなどんでん返しなら、

ファンはいらなかったと思うけど。少なくとも、私は失望しました。

え、なんでそういう決断になるの!?って、まったく意味がわからなかった。

理由として、別れるまでは理解出来るけど。そこに灰島が出て来るのが

理解できない。完全に、愛より利害を取ったみたいじゃない。付き人が

こういう選択をしたこと自体にショックを受けました。ガッカリ。

そもそも、個人的にそういう決断をする前に、ちゃんと話し合わなきゃ

ダメでしょう。なんか、このカップルは、お互いにコミュニケーションが不足

しているとしか思えないんですが。突然失踪もだし、話し合いもせず大きな

決断をすることもそう。

もう、いろいろとツッコミどころが満載すぎる。わけわからん。

ただ、黒猫はこれで諦めるはずはない(と信じたい)。

こんな結末は、ファンは誰ひとり望んでいない(はず!)。

とにかく、次回作を待ちたいと思います。

あまり、ファンをガッカリさせないで欲しい。頼むよ、森さん・・・。