ミステリ読書録

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加藤実秋「メゾン・ド・ポリス4 殺人容疑の退職刑事」(角川文庫)

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シリーズ第四弾。ひよりとおじさんたちの関係もどんどん良くなってますね。

それぞれのビジュアルは、完全にドラマのまんまで読んじゃいました。ひより役

高畑充希ちゃんもハマってましたし、おじさんたちそれぞれのビジュアルも

ぴったりでしたもんねぇ。夏目さんはもう、西島さんにしか思えない!でも、

五十過ぎの設定なんですよね。西島さんってもうちょっとお若いような。

今回もメゾン・ド・ポリスのおじさんたちが大活躍の5話が収録されています。

一話目は、父親が宇宙人に誘拐されてしまったと訴える少年を助けるお話。

誘拐犯を宇宙人に見間違えた理由はちょっと無理があるような。誘拐の

顛末もちょっとあっけなさすぎて拍子抜け。

二話目は、人間ドックにやってきたおじさんたちが、検査を受けた病院に対する

悪質な書き込みの謎を解決するお話。

おじさんたちの人間ドックの様子が面白かった。年齢的にも、毎年の検査が

大事ですよね。口コミ評価の悪意ある書き込みは、現実にもよくありそうで、

リアルでした。

三話目は、独居老人から金品を巻き上げる集団の犯罪を明らかにするため、夏目

が囮になる話。

こういう、老人の心の隙間を狙う詐欺行為も、現実にたくさんありそう。

普通の詐欺とは違って、老人側が喜んでいるところがちょっと他の詐欺犯罪とは

違っているけど。独居老人なんて、みんな誰かと話したくて寂しい人ばっかり

でしょうしね・・・だからこそ、卑劣とも云えるけれど。

四話目は、神社の石段下で男性が殺された事件の犯人として迫田が逮捕されて

しまうお話。

ピンチになっても、全然慌てない迫田さん。警察OBは伊達じゃないですね。

ま、自分は無実だとわかっているし、仲間が助けてくれるってわかっても

いるからでしょうけど。フクロウの鳴き声がああいう風に関係してくるとは

思わなかったです。

五話目は、夏目が幼い頃から九年間一緒に暮らしていた親戚の男性が亡くなり、

遺品整理を頼まれ、三十四年ぶりに帰省する話。

夏目さんの過去が思いの外重かったです。あんなにお世話になっていた加賀谷

さんと三十四年も音信不通になっていたのは、さすがに不義理じゃないのかと

ちょっと憤慨していたのだけど、もしかして夏目さんは、加賀谷さんの何かを

嗅ぎ取っていたから、敢えて距離を置いていたのかな、と最後まで読んで思い

直しました。夏目さんの両親の事故の真相まではわからっていなかったでしょうが。

でも、やっぱりせめて死に目には会えたら良かったのにな、と残念に思いました。

加賀谷さんは、あれだけ夏目さんのことを思っていたのだから。それは、夏目

さんに対する罪悪感だけじゃなかったんじゃないのかな。刑事として活躍する

夏目さんのことを自慢の息子だと話していたくらいなのですから。

夏目さんが過去にけりをつけて、メゾン・ド・ポリスに戻って来てくれたので

ほっとしました。次は伊達さんの過去が明らかになりそう。5巻は今年の夏頃

発売だそうで。楽しみに待ちたいと思います。