ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

森絵都「できない相談」(筑摩書房)

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久々の森絵都さん。もともとは好きな作家さんですが、最近はなんとなく

スルーしちゃう作品が多かった。これはなんとなく新刊情報のところ読んで、

読みやすそうな感じがしたので借りてみました。

うん。確かにめっちゃ読みやすかった。なんせ、一話が5ページほどの

掌編ばかりを38編も集めたショートショート集。いろんな人々の、日常の

譲れない拘りを描いたものばかりが集まっています。

わかるわかる、と思える作品もあれば、理解出来ない~と叫びたくなるものも

あり、バラエティに富んでいます。ただ、それほど強烈に心に残るものは

なかったなぁ。さらっと読めて、さらっと忘れて行く感じ(苦笑)。

一発目の夫婦のお互いの拘りと、それを相手に言えないもどかしさみたいな

感じはすごく共感出来ましたけどね。言いたいけど、まぁ、我慢できる範囲

だし、変に波風立てたくないし・・・みたいなのって夫婦とか家族なら誰でも

あると思うなー。6話目のヘルマン・ヘッセの小説の感想文のやつは、人に

よって感じるものが全然違ってて、面白かった。最後の生徒の、感想文を

『強制的に』書かされる生徒の立場に立って皮肉った感想は、先生が読んだら

一本取られた!と思うところでしょうね。こういうことが書ける子は、普通に

感想書いても上手く書けそうですけどね。

17話目のパソコンのアップデートのやつもあるあるでしたね。うちのPCも

何度か同じ目に遭わされてます・・・。勝手にアップデートすんなよ!って

その度に叫びたくなりますもの。何度も何度も再起動するのを絶望的な気分で

眺めるあのなんとも言えない時間・・・ああ、思い出したくない。とはいえ、現在

うちのPCもテンくんなんですけどね(苦笑)。

ラストのトイレの電球の話も夫婦のあるある。これに関しては、うちでは電球

とか変えるのは相方が全部やってくれてるんで、こういう諍いは皆無なんですが、

トイレットペーパーに関しては大いに共感できました。自分が使い切ったら

ホルダーに補充しておくのは当然のエチケットだと思うんですけど、それを

度々忘れられるんですよね。すぐ後ろの棚に替えが置いてあるのにさ。その度

ちょっとイラっとさせられるんですよねぇ。え、心狭いですか?ま、他の家事は

料理以外はほとんどやってくれるから小さなイラッとなんですけどね(苦笑)。

中にはあんまりピンと来ない作品もちょこちょこありましたけど、女性視点や、

夫婦のあるあるみたいなものを描いたものは共感できる作品が多かったですね。

些細な日常を切り取るのが本当にお上手な作家さんだな、と思いました。