ミステリ読書録

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垣谷美雨「うちの子が結婚しないので」(新潮文庫)

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コロナ禍で図書館休館中の為、古本屋で購入した垣谷さんの本第二弾。こちらも

100円也。ただ、この間の『老後の資金がありません』のように、ドッグイヤー

はついてなくてほっとしました(当たり前なんだけど、何せ100円だからさw)。

その代わり、若干水濡れっぽいよれがあるような・・・(どっちもどっち)。

タイトルが面白そうだったのでまぁいいやとこっちも買ってみました。他人の

婚活話とか大好きなんで(笑)。

婚活といっても、今回のテーマは親婚活。30を目前に控えた娘の婚活に

乗り出す夫婦のお話。28歳の娘が未婚でも今の世の中はそれほど変な目で

見ないとは思いますけど、主人公の千賀子が、あまりにも男の気配がない娘が

このまま結婚せずに老後を迎えた時のことを考えて、なんとか結婚させたいと

思うのは、しごく自然なことなんだろうなと思いましたね。自分の娘が老後

一人で頼る人もいなくて孤独だと考えたら、やっぱり親としては心配しますよね。

華やかな容姿とか、一人でも生きていけるような職業に就いているとかでも

ない限りは。多分、私の親も同じだったと思いますね。私なんか、千賀子の娘

友美よりも遥かに婚期も遅かったから、そりゃー心配かけたと思うと申し訳ない

気持ちにもなりますけども。

私だけじゃなくて、今は全体的に晩婚化しているから、千賀子夫婦のような

立場の人はとても多いんじゃないかな。娘や息子を持つ親なら、かなり親近感

を覚える内容じゃないでしょうか。

で、始めは抵抗していた友美も、両親揃って老後や仕事のことを諭されて、

結婚に対して前向きになり、千賀子の親婚活から始めることを了承。まぁ、

大抵はここで子供側の抵抗にあって終了ってパターンだと思うんですが、友美は

割と素直に親の言うことを聞く子なんですよね。私だったら多分親に婚活して

もらうなんて絶対拒否するだろうけど^^;あと、普通なら父親はこういう話に

ノータッチって場合が多いと思うけど、どちらかというと千賀子の夫の方が

積極的に婚活に乗り出す。そこは面白いところだな、と思いましたね。

ただ、始めは千賀子がひとりで親婚活の場へ。友美の容姿は正直ぱっとするもの

ではなく、学歴や年収も高いとは言い難い。ただ、唯一の強みはまだ二十代だと

いう点(28歳)。婚活の場では二十代は人気があるとはいえ、やっぱり最初は

なかなか上手く行かず、玉砕して帰る羽目に。高学歴や高収入の親からは見下された

目をされたり、共働き希望なのに嫁になる人には家事を全部負担して欲しいと

言われたり。自分たち本位の親ばかりで、イライラしました。友美は友美で婚活

パーティに挑むけれども、そちらも美人のサクラらしき女性にすべてを持って

行かれたりして玉砕するばかり。ただ、家族一致団結して婚活に挑むうちに、

婚活を通じて家族がひとつになって行くところは良かったですね。地道に婚活を

続けて行くうちに、友美は何人かの男性と連作先を交換し、食事に行くまでになる。

ただ、結婚するにはいい人なんだけど、生理的に受け付けないから先に行けない

と悩む友美の気持ちはとても共感出来ました。両親があれだけ頑張ってくれてる

から、自分も妥協しなきゃいけないのかと焦る気持ちも。結婚って、一生一緒に

いることが前提でする訳ですからね(まぁ、そうじゃない人もいますけども)。

最後はちょっとあっさり上手く行き過ぎな気もしましたが、家族揃ってあれだけ

頑張ったのだから、ああいう結末で良かったです。まぁ、千賀子たちのようには

上手く行かずに、ずるずる何年も続けざるを得ない人もたくさんいるのでしょう

けど。多分、どんな結末にせよ、自分の子供が幸せになれるならば親は満足する

んじゃないかな。結婚したからといって、幸せになれるとも限らないですし。

結婚はあくまでもスタートで、そこから幸せになれるかどうかは本人次第です

もんね。

垣谷さんは、まだまだ気になる題材の本がたくさんあるので、今後もいろいろ

読んでいけたらいいなーと思ってます。早く図書館再開しないかなぁ。