ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

高田崇史「QED 源氏の神霊」(講談社ノベルス)

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QED最新作。もう、シリーズ何作目なのかわからない^^;そもそも、第一部の

最終巻を未だに読んでないしね・・・。

しかし、冒頭からびっくりな情報が。タタルさんと奈々ちゃんが京都の宇治に

旅行に来るのだけれど、その理由が、なんと!!奈々ちゃんの妹沙織ちゃんの

結婚式で、しかも、その相手が小松崎さん!!!おーい、一体いつそんな関係に

なったんだい!?まぁ、前作だか前前作だか忘れたけど、沙織ちゃんが結婚

したという情報を知った時に、相手が熊つ崎(小松崎さんのアダ名)さんじゃ

なかったことにがっかりしていたので、この展開は私としては嬉しいのだけれど。

すっかり忘れていたけど、タタルさんたちが以前に金沢で事件に巻き込まれた時に、

そういえば沙織ちゃんの旦那さんが関係者として深く関わっていたんだよね。

その時の記事読み返してみたら、自分の感想でも、沙織ちゃんたち夫婦の今後

が心配だ、みたいなことが書いてあったのだけど、その憂いの通り、二人はその

事件の後離婚することになってしまったらしい。しかも、その時お腹の中には

赤ちゃんが宿っていたという。まぁ、その事件から5年、紆余曲折あって、沙織

ちゃんは熊つ崎さんと再婚することになったようで。熊さんなら安心して沙織

ちゃんを任せられますね。子供も可愛がってくれるでしょうし。遠回りしたけど、

収まるところに収まって良かった、良かった。

まぁ、冒頭からいろいろびっくりな情報がもたらされて面くらわされましたが、

それ以外の内容は、いつものシリーズと何ら変わらず。今回は源頼政木曽義仲

がメイン。歴史にあんまり興味ないから、歴史部分は相変わらずさらっと読み飛ばし

てましたが、上記の二人が、世間のイメージと実際は違う人物だった、というくだり

は面白く読みました。義仲に関しては、昔読んだ田村由美さんの漫画のイメージが

あって、私はもともと好印象を持っていましたけれど。頼政に関してはほとんど

イメージがなかったので、鵺退治のエピソードなんかを知って(どこまで史実かは

置いておくとしても、歴史資料上に記述があるのは確かだと思うので)、たしかに

魅力的な人物だなぁと思いました。今回、タタルさんが解き明かした頼政

実像(あくまでタタルさんの考察という条件つきですが)を知って、ますます興味

深い人物に感じられました。

いつかまた京都に行く機会があったら、頼政塚は訪れてみたいなぁ。

松尾芭蕉が義仲のことが大好きで、自分の死後、自分の墓を義仲が葬られている

寺(義仲寺)に作って欲しいと遺言を書いていた、というエピソードには驚き

ました。こちらも機会があったらいつか訪れてみたい。このシリーズ読んでいると、

いろいろ行ってみたい寺院や神社が増えて困るなぁ(とはいえ、読み終わると

すぐに忘れちゃうんだけど^^;)。

殺人事件の方は、今回も歴史考察のつけたしみたいな扱い(苦笑)。初期の頃は

もう少し文学・歴史部分とミステリ部分が融合していた気がするんだけど・・・。

ま、私はタタルさんと奈々ちゃんが楽しそうに歴史考察しながら名所探訪している

姿が読めればそれで十分なんで(笑)。

それにしても、この二人はいつ結婚したんでしょうか。途中で知り合った女子大生

に奈々ちゃんが『奥さん』と呼ばれて否定してなかったから、結婚した後みたい

ですけど。なんか、このシリーズの年表作って欲しいです・・・。二作目の六歌仙

から今回の事件までで12年が経っている設定らしいので、奈々ちゃんはもうアラフォ

ーくらいになってる筈だと思うんですけど(沙織ちゃんが本書で32歳みたい

ですが・・・って、奈々ちゃんといくつ離れてるんだっけ???)。

子供とか作らないのかなぁ。年齢的に出来ないのかもしれませんけど。タタルさん

との結婚生活とか、全然想像出来ないな。奈々ちゃんは普段から一歩引いた良妻

って感じはありますけどね。

とはいえ、結婚したという表現が出て来る訳でもないから、実際のところはよく

わからないんですけど。冒頭でも、奈々ちゃんの紹介は棚旗のままだしなぁ。

どうなってるんだろ。二人が結婚するっていう事自体は間違いない筈ですけどね

(どれかの短編に結婚した後の二人が出て来るやつがあったから)。

それがいつなのかは・・・うーん、謎。