以前に写真がオチになる作品を出された道尾さんですが、今回は、冒頭に一枚の
写真があり、そこから物語が発展していく形の作品集。短いので、一瞬で読めます
(笑)。一回ですぐにそれとわかる作品がほとんどではありますが、何回読んでも
ピンと来ない作品もいくつかありました。これは、読んだ人と答え合わせしたい
なぁ。え、え、どういう意味!?って、読み返して考えて、結局放置した作品も。
前の作品と繋がっていて、補足的な作品になっているものも。まずは写真があって、
そこから物語を考えて行ったのかなぁ。そうだとしたら、想像力が豊かすぎる。
しかも、どれもが不穏な方向の想像力(^^;)。言葉の意味がわかると、ぞーっと
するものがほとんどだった。特に、生き餌シリーズと、ハツカネズミシリーズは
怖い。ハツカネズミはサイコパス過ぎて・・・。『弟は野良猫とビーグルのあいだ
だった』のタイトルの意味がわかった時にはもう。ぞぞぞ。壊したって言い回しがね。
怖すぎる。ひぃぃぃ・・・。妹がビーグルより大きくなったのも怖すぎる。多分、
ゆくゆくは両親とかになるのかな。ひー。
ショートショートって感じなので、何度も読んで意味を考えるのも良いのかも。
写真と連動した物語ってことで、写真だけ見るとほんわかした写真も多いの
だけど、そこに文章をあてはめることで、一転、不穏な物語が隠されていることが
わかる。面白い趣向だなぁと思いました。あっという間に読めちゃうので、食い
足りなさみたいなものはありますけどね。道尾さんって、ほんと本でいろんな
仕掛けを考えるのが好きな人ですよね。新感覚ミステリーって、まさにこういう作品
のことなんじゃないかな。